毛利甚八 写真日記 旅する天体

作家・毛利甚八が、ニコンD600とオリンパスペンを手に、あの町この村、あの川この海をパチリと撮って、ぽつりとつぶやく。

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第6回 ニコン用アダプター

2011年09月29日 01時01分00秒 | カメラ・レンズ
 2011年9月中旬に宮本製作所のニコンFマウントをマイクロフォーサーズ用に変換するアダプターを手に入れた。
 ライカ用アダプターを手に入れる時に、「ニコンの大口径レンズを使う時に、オリンパスペンのマウントが持つのか心配だ」と相談すると、「近く三脚座付きのアダプターを発売します」との答えが返ってきて、待っていたのである。

 機材の詳細については、いずれ写真つきで紹介するつもりだが、三脚座付きのアダプターはとても使い勝手がいい。欠点は、三脚から外して、カメラとアダプター、レンズだけで机に置くと、安定が悪いこと。三脚につけたままでは、カメラがつっかえて、カメラだけをマウントから外すことはできないということ。ま、慣れの問題ですね。

 三脚座は正解で、ニコンのAi-Sニッコール180mmF2.8を三脚座を介さず、オリンパスペンを三脚に直接つけたままレンズを装着すると、レンズの重さのせいか、プレビュー画面に画像が現れず真っ黒になったままになる。たぶん、接点がずれているのだろう。

 さて、大喜びでニコンの20mm、28mm、50mm、85mm、105mmマクロ、180mmを装着してみる。いずれもマニュアルフォーカスのレンズで、画角は倍になる。
 超広角は準広角に、標準は準望遠に、準望遠は望遠となる。

 ニッコール20mm F2.8をつけて試しているうちに、ふと6x6が似合うのではないかと考えた。


レンズ/Ai-sニッコール20mm F2.8 絞りF8 絞り優先AE ISO1600

 フィルムではローライフレックスを愛用してきたから、6X6はすごく好きだ。
 これって、まるでベビーローライじゃないか、と嬉しくなった。

 ニッコールレンズで一番のお気に入りは85mm F1.4である。
 大きなレンズだが、すっきりとした描写で、ピントの山がとてもわかりやすい。

 
レンズ/Ai-sニッコール85mm F1.4 絞り開放 絞り優先AE ISO1600

 6x6で作品を統一してみるのもいいなぁと思った。
 下は台風一過の9月下旬の空。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞りF8 絞り優先AE ISO200

 同じ空をニッコールの85mmでも映してみる。


レンズ/Ai-sニッコール85mm F1.4 絞り8 絞り優先AE ISO200 ポップアートフィルター

 「ポップアート」で撮ると、空の色がドンピシャリという感じだ。

 雲の写真はまるでロールシャッハ・テストみたいだ。

 では、本日はこのへんで。
 

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第5回 臼杵石仏

2011年09月27日 04時19分49秒 | 旅行
 8月28日に大分県臼杵市にでかけた。
 目的は臼杵石仏を撮影すること。

 場所は臼杵ICから車で5分。
 小高い山に六十体以上の石仏(磨崖仏)が鎮座している。
 大きなものは高さ三メートルを超える。
 平安後期から鎌倉時代にかけて彫られたといわれていて、これだけの石仏群を彫る財力がこの地方にあった証しと言える。この地方には炭焼き小五郎という長者伝説が伝わっている。なんでも黄金がざくざくあったらしい。

 下は「ホキ石仏第一群第二ガン」。「ガン」は「合」の下に「龍」を書くが、ワープロで出ない。
 如来三尊像の中央の阿弥陀如来。
 なんだかインドの大金持ちみたいな顔だ。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞りF8 絞り優先AE 後処理でアンシャープマスクをかけた。

 次は臼杵石仏の大スター、古園石仏の大日如来。
 長らく頭部が下に落下しており、地面に頭だけが座っている姿が有名だったが、今は元に戻されている。この石仏を発見し、中央の学会に紹介したのは湯川秀樹の父親(地理学者)だったそうだ。
 民俗学者・宮本常一も戦前にこの頭だけの大日如来を見ている。
 宮本常一の本を書いていた1997年ころ、私は初めて大日如来に対面したが、その時にはもう頭が上に載っていた。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞りF8 絞り優先AE 後処理でアンシャープマスクをかけた。

 私の絞りはいつもF8で、読んでる人は拍子抜けするかもしれないが、あんまりボケを狙ったりしない。当然だが、前後の5.6や11は試しに撮っている。時には16も試す。でもだいたいF8で撮るのが基本だ。取材では、ぶれずに、ぼけない写真を撮ることが一番だ。ピントが合っていないと、また撮りに来なければならなくなる。
 もちろん仕方なしに(暗くて)、開放やF4で撮ることもあって、そういう時に素晴らしいボケ味にびっくりしたりもする。でも、わざわざボケた写真を撮る余裕はありませんでしたね。ライカM6はレンジファインダーなので、撮る時にはボケがわからないのです。

 今回、一番感動したのは次の「地蔵十王像 ホキ石仏第一群第四ガン」。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞りF8 絞り優先AE 後処理でアンシャープマスクをかけた。

 これだけ「凄い仏師が彫ったのではないか」と思わせる緻密な彫りだ。他の仏像より後の鎌倉期に彫られたそうだから、様式が違うということですね。服の描写が唸らせます。
 中央の地蔵菩薩を、「冥府にあって亡者の罪を裁き救済する」十王像が囲んでいる。
 赤い彩色がまだ残っていて、なんとも言えない渋い色だった。

 では本日はこのあたりで。

 

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第4回

2011年09月24日 03時45分18秒 | 旅行
 長崎で撮った写真を少し紹介してみる。
 オリンパスペンを買って二十日たった頃。

 写真は佐世保市の「海きらら」という水族館の人気者。
 地元の漁師が捕獲したというタマカイというハタの仲間。
 ここ10年ほど、この水族館のトップアイドルだった。


レンズ/ズイコー 17mm F2.8 iAOUT 後処理で明るさ-25

 この水族館は数年前にリニューアルして、大水槽やクラゲ博士がノーベル賞を取ったのにあやかったクラゲ館などが増築された。


レンズ/ズイコー 17mm F2.8 iAOUT 後処理で明るさ-20


 小さなカメラマン。


レンズ/ズイコー 17mm F2.8 iAOUT

 イルカプールもできて、人なつこいイルカが観客とキャッチボールをする。


レンズ/ズイコー 17mm F2.8 iAOUT

 長崎から大分に帰る途中、わざわざ佐賀市まで行ってデパート玉屋近くの三九ラーメンを食べた。
 写真は大盛りラーメン。今、九州で一番食べたいラーメンかもしれない。


レンズ/ズイコー 17mm F2.8 iAOUT

 長崎の旅ではほとんどコンパクトデジカメの感覚で使っている。
 オリンパスペンで、どう映るのか、半信半疑で撮っていた気がします。

 本日はこの辺で。

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第3回

2011年09月22日 06時59分03秒 | 日記
 今年7月下旬にオリンパスペンを買った直後の写真をふりかえってみたい。

 買ったのはE-PL2のブラック・パンケーキセットだった。
 いつも量販店の店頭で見ていたシャンパンゴールドのデモ機に比べると、黒いボディのほうがずっとフィルムカメラの質感に近くて気に入った。


 はじめはズイコー17mm F2.8 一本で撮ることにした。

 本格的な試し撮りをしたのは宇佐神宮で行われた夏越祭りの奉納演武大会だ。
 地元の二天会を中心に、二天一流剣術や関口流居合術、全剣連居合などの演武が行われる。
 会場は境内の能舞台。

 次の写真は能舞台の前のハス池。


レンズ/ズイコー17mm F2.8 ISO200 AF F11 絞り優先AE

 ズイコーの純正レンズは、どこか中判カメラのような描写をする。
 みっしりと物質が詰まっているような絵ではありませんか?

 次は豊後高田市の山神社にお邪魔して盆踊りの太鼓の練習を撮ったもの。
 マニュアルで撮ったのは、太鼓のバチがぶれるのを防ぐため。


レンズ/ズイコー17mm F2.8 ISO800 AF F4 1/125秒 モノクローム 後処理で赤フィルターをかけ、コントラスト+25。

 ISO感度が設定できる本格的なデジカメは初めて使う。ISO800でこれほど滑らかに写るのが新鮮な驚きだ。フィルムカメラではトライX(モノクロフィルム ISO400)を常用してきたが、800に増感すると絵が荒れるので敬遠していた。

 「九州の法隆寺」と呼ばれる豊後高田市の国宝「富貴寺」にでかけ、石仏をモノクロームで撮ったのが下。


レンズ/ズイコー17mm F2.8 ISO800 AF F8 絞り優先AE モノクローム 後処理で赤フィルターをかけ、コントラスト+25、明るさを-20。

 次はお盆の月を長崎で撮ったもの。
 この時、宮本製作所のライカ用アダプターが手元にあって、ズミクロン50mm F2を100mm望遠として使用した。オリンパスペンの受光部はちょうど35mmフィルムの半分にあたるので、レンズの画角がちょうど二倍換算になる。


レンズ/ズミクロン50mm F2 ISO200 F8 絞り優先AE 露出補正-2 三脚使用

 この時、絞りや露出補正を何段階も試して、月がきっちり見えるように撮った。
 「ナチュラル」カラーで撮ったが色はなくなっている。
 100mmの画角から言って、画面のなかにちいさな豆のような月が写っているにすぎないのだが、このブログに合わせた長辺640ピクセルにトリミングするとこんな感じになる。

 プレビュー画面で満月を拡大してみて、「けっこうちゃんと写るんだなぁ」と驚いた。
 そう思いませんか?

 次回は長崎の写真を紹介します。
 

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第2回

2011年09月21日 18時34分47秒 | 日記
 第1回のつづきです。
 スマートフォンで確かめたところ画像が大きすぎるようなので、3分の2にしてみました。
 これでもパソコン以外は大きいかもしれませんが、レンズの描写特性を伺い知るにはこの程度の大きさは必要かと思います。御容赦ください。

 ISO感度は特にことわりのないかぎり、200です。

 前回、「ドラマッチシーン」と書いたのは「ドラマチックトーン」の誤りでした。
 訂正して、お詫びします。

 さて、宇佐神宮でオリンパスペンを試して、帰ろうとすると、
 社殿前の鳥居にふたつの日傘。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞り8 絞り優先AE 緑が際立つよう彩度を+10にしてある。

 その後、いつも夕陽を眺める真玉の海岸へでかける。

 真玉の海は周防灘に面している。瀬戸内海の最西部だ。
 海水はねっとりとして、干潟の成分が混濁するせいか薄濁りしているのが常だ。
 晴天の日は波がほとんどなく、日没後の残照を映す海を高台から見ると絹織物のような繊細な色合いを見せる。そのうち、天気に恵まれれば、そんな海も撮りたい。

 さて、この日はこんな景色だった。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞り8 絞り優先AE 青が際立つよう彩度を+17にしてある。

 みれば、アオサギが海の中にひとり。


レンズ/ズミクロン35mm F2 絞り8 絞り優先AE 青が際立つよう彩度を+56にしてある。

 写真の加工は、オリンパスペンに付属していたソフトで行っている。
 彩度を上げると緑や青が際立っていく。
 デジタルというのは、こういうものか。

 写真はすべてLサイズのファイン撮って出しで、後で加工している。

 これはズミクロン50mmで撮ったままの、渋い海の色。
 見た眼に近く、瀬戸内海らしい。


レンズ/ズミクロン50mm F2 絞り8 絞り優先AE

 加工したのが写真か、しないのが写真か。
 楽しいけど、迷いますね。

 今回はこの辺で。