毛利甚八 写真日記 旅する天体

作家・毛利甚八が、ニコンD600とオリンパスペンを手に、あの町この村、あの川この海をパチリと撮って、ぽつりとつぶやく。

毛利甚八 写真日記 オリンパスペンと旅する 第54回 マクロレンズの活用

2013年06月19日 00時20分37秒 | カメラ・レンズ


これは一円玉である。

このところ出番の少なくなったオリンパスペンに、

アダプター経由でAi マイクロニッコール55mm F2.8と

偶然そうなったのだが、手元にあった105mmマイクロ用のオート接写リングPN-11をつなげてみた。

マニュアルフォーカス時代ののマイクロレンズは、単体の最大接写比率は実物の2分の1倍で、

オート接写リングをつけると等倍になった。

しかし、55mmに105mm用をつけると倍率はどうなるのだろうか?

いちおう等倍になったという仮定で話を進めよう。

オリンパスペンは3/4のフォーマットだから、レンズの焦点距離は2倍換算になる。

等倍を2倍にすれば、マクロの2倍になる、というつもりで撮り始めた。

(でも受光部がFXの半分なのだから、倍率は相殺されるかも)



これは有明海の販売所で買ったムツゴロウを意匠にした箸置き。



被写界深度はメチャクチャ浅い、手持ちでは画面がぶるぶる揺れるので、

レンズを机に据えて、被写体をそろそろ動かしてピントを合わせる。

なかなか面白い。撮り方も変だし、見えてくる画像も変。

上は私の、漫画原作用のメモの走り書き文字。

「左雲」と書いてあるのだが、漫画のコマの左側にあるフキダシという意味で、校正の時のもの。

0.5mmのシャーペンの文字がなにやら書道の文字みたいに見える。



備前の徳利の、注ぎ口の一部。


下は備前のオテンバ女性作家の粉引ぐいのみの、ヒビのアップ。

ものすごく自由な作風で、買ってから2週間、ずっと眺めているのだが、

傑作なのか、駄作なのかがわからない。

でも嫌な気がしないのだから駄作ではないはず。

でもわからない。


毛利甚八 写真日記 D600と旅する 第53回 写真と時間

2013年06月15日 05時07分52秒 | カメラ・レンズ
ちょっと哲学的な話。



写真とは人間にとって何なのか?

ここで紹介するのは、先日、東京に旅したとき、

新幹線で東京に向かった際、

ふと思い立って、新横浜駅から東京までのほんの20分ほど、

新幹線の昇降口の窓から、

D600+24mm f2.8で撮影したもの。



オートフォーカスを停止し、焦点距離∞の少し手前に置きピンした。



アラーキーも言っているが、写真は常に過去であり、死んだ時間の記憶である。

しかし、人間は数十年の人生の、わずか10数分の記憶をこれほど鮮明に、克明に記録することはできない。



私たちはカメラという機械を通して初めて、「自分」という個人の視覚を、

もしかしたら、万人に共有できるかもしれない、物体として提出することができる。



写真ってなんだろう?

ふたつの本

『プルースト/写真』(ブラッサイ著 上田睦子訳 岩波書店 2001年 )

『箱型カメラ』(ギュンター・グラス著 藤川芳朗訳 集英社 2009年)

を、ちらほら拾い読みしながら、考える。

毛利甚八 写真日記 D600と旅する 第52回 羊をめぐる質問

2013年06月08日 02時02分20秒 | 旅行

ある夜、ほろ酔いでぶらぶら歩いていると、声をかけられた。

「誰かと思ったら、田中君じゃないか」、ではなく羊だった。



たぶん羊だと思うが、山羊だったらゴメンナサイ。

でもやっぱり角がグルグルしているから山羊か?

まぁ、いいや。方向転換。山羊で行こう。

左の山羊が言った。「原発賛成」

右の山羊が言った。「原発反対」

私は酔っていたので、発言を控えた。

もし、考えていることを喋りだしたら、

興福寺が燃えて、平清盛が灼熱地獄で死んで、奈良公園の鹿が腎虚になって、三輪山の蛇が降りてきて、

ケロロ軍曹みたいな春日神社の仮面踊り子が一万人ぐらい飛び出してくるような、気がした。

気がしただけなので、あまり真に受けないでください。

ま、この羊か山羊の写真が出てきたので、紹介しただけなんです。

さて、この羊(山羊)は奈良県にいるのですが、彼らが守っているビルの業種はなんでしょう?

特に賞金はありません。



毛利甚八 写真日記 D7000と旅する 第51回 柳川の旅

2013年06月03日 23時35分29秒 | 旅行


これ、なんだかわかりますか?

九州で一番でかい内海に棲んでいます。

一番でかいといえば有明海ですね。(九州沿岸ですが、瀬戸内海はのぞきましょう)

その泥の中に棲むワラスボくんです。

干物にもなるし、刺身にもなる。刺身はツルッとした舌触りでしたね。

柳川にある魚市場でのワンカット。

「のぞみ」の食材を探しに、有明海の魚があがる柳川へ来てみた。



アラーキーの新婚旅行の写真で有名な、柳川の川下り。

有明海の写真を写そうと海辺にあるムツゴロウの名前のついた公園へ行くと、そこはほとんど廃墟。

一人も遊んでいない公園に、西都原古墳と同じ、マーガレットのような野草が咲いていた。



早く花の名前を調べなくては‥‥‥。