前回の続き
「なぜその習い事を子どもにさせたの?」
の一例として…
私の母親は大変な田舎の戦中生まれで、
ものや食べ物がない中育ちました。
音楽もピアノやオルガンがないので、
紙に描いた鍵盤を押さえて弾く真似を
していたそう。
高校を卒業して上京し、専門学校へ。
その後就職し結婚。
そして私が生まれたのですが、
私が4〜5歳の時に私の父の父、
母にとっては義父が、孫へ何か買ってあげなさい、とまとまった額のお小遣いをくれたそう。
それで母は私にピアノを習わせてあげようと、
アップライトピアノを買ったとのこと。
こうして5歳から私はピアノのレッスンへ通うことになりました。
特に芸術家の家でもなく、父は普通のサラリーマンで才能があるわけではありませんでしたが、私はピアノを弾くのは好きでした。
結局、高校生の途中までの12年間、ピアノのレッスンに通ったのですが、小学校時代は二年間音楽クラブ(今の部活のような)に所属し、放課後や土曜日、時にコンクールに出たりと楽しいクラブの生活を送りました。
母にとっては、ピアノなんて田舎で貧しい生活空間にはなく、弾きたくても弾けなかった。さらに、田舎から都会に出てきて、自分が音楽などの教養がないことも劣等感や引け目を感じたのかな、とも思います。
「自分が与えてもらえなかった、得られなかったもの(環境)を子どもには与えてあげたい」ということだったんだろうと思います。
さらにさかのぼれば、母の母は、田舎の農家で米や農作物は作っていましたが、特にお金があるわけではないので娘(私の母)が東京で働きたい、と言った時に自分には得られなかったもの(環境)が得られるなら…と上京して学校に行くお金を出してくれたのだと思います。
その後、高度経済成長を経て、一億総中流の時代になって、今、私の母のような経験をする人は少ないとは思うのですが、人生で何を選択するか、子どもにどんな道を選択するか、は百人百様ながら面白い、と思うのです。
ただ、単に「好き」だから選んだだけではないストーリーがあるんですよね。