願い事

七夕を前に

保育園ではクラスに１本

竹を準備して

ひとり一枝になるようにビニールテープで名前付けて

顔だけ描いた織り姫、彦星

願い事を書いた短冊

折り紙の飾りを吊した

竹を切ってから

お部屋ごとののテラスに縛り付けてあったから

数日で葉はカリカリ

去年の園ではバケツの水に差してあって

持ち帰りの日もイキイキしてたけど

それでも

かあちゃんは先週末の金曜日

けんちゃんの笹の葉を持ち帰るのを楽しみにしていた

 

その期待を裏切るのが使命なのか？

そうのなのか？

 

お迎えにいくと

先生が

これ、けんちゃんの

って渡してくれた竹の一枝

ブン！と受け取ると

 

これとる！

 

 

飾りを吊している紐を外しはじめた

 

先生もかあちゃんも意味分からず

どうして？って聞く

 

だってちゃー

 

けんちゃんは何やらけんちゃんなりの

理屈を付けて

取る！に徹していて

なかなか解けないってなると

かあちゃんに外すように言う

取り合えず

降園の挨拶済ませたくて

けんちゃんが格闘する飾りをひとつ外してやった

 

じゃあ帰ろう！

 

挨拶を済ませて

金曜日恒例の昼寝ふとんの持ち帰り

中に上靴も入れて抱えた

 

 

園の門をやっと出たところで

けんちゃんまた立ち止まりふたつめの取り外しにかかって

器用に

外しながら歩いたり

立ち止まったりしながら

 

おかあちゃん

まってよぉ

ちゅちゅまないでよぉ

 

と怒っている

 

家でやってください！

 

説得してたどり着いた途端

 

飾りも短冊もすべて外され

何やらブツブツと理屈を並べながら

けんちゃん

はさみを持ち出し

枝に付くさらに細い枝を伐採

すべて

 

一枚の葉も残らず切り落とし

笹の葉がバラバラと散る中に座るけんちゃん

手にはハサミ

って図

ただの細い竹竿になった笹飾り？

いえ

作業は続いていて

その竹の棒さえ切り刻む

なんの儀式？

 

それでもけんちゃんは誰かになりすまして

ブツブツ

楽しそうに使命を果たした

 

ちょっと

けんちゃんソレいらないなら

ごみ箱に入れてね

あーい！わかったぁ！

 

いらないんだ･･･

ただの解体作業だったの？

そんなわけで

 

 

七夕の今日

けんちゃんちには笹飾りはない

 

願い事が書かれた短冊は

床に放置

 

叶わないよ

願い事