ニューロンくん がんばれ!

筋萎縮性側索硬化症:ALSに罹患した「ドイツ語うさぎ」と、その夫「くまさん」の日記。

『センス・オブ・ワンダー』

2010年04月13日 19時35分00秒 | 読書・翻訳

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・L. カーソン、新潮社、1996)



詩情溢れた名著にコメントするのはさしひかえて、お気に入りのフレーズを書き留めておこう。

「地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう」


ひとつだけ書いておくと、わたしがこれまでに虫食い読みしていた理解では、本書は「子どもへの自然教育の書」だったのだが、全文をゆっくり読んでみて、まったく誤解していたことにすぐ気付いた。
これはレイチェルを圧倒していた感動の告白であり、センス・オブ・ワンダー(=神秘さや不思議さに目を見張る感性)の感覚が、人生の終焉にまで伴いうる価値あるそれだということを記している書で、大人向けなのですね。

重度障害を得た人たちが、自然の恵みに心打たれてさまざまな作品群を世に発表している。レイチェルが言うセンス・オブ・ワンダーが、かの人々の精神力をみずみずしく潤し、生かしているにちがいない。彼らのセンス・オブ・ワンダーの深さに驚嘆を禁じ得ないのは、わたしだけではないだろう。

ブログに書くわけ

2010年04月13日 19時28分19秒 | ぴょんぴょんオフィス立ちあげ/ Ich AG

「ぴょんぴょんオフィス」(仮称)立ちあげの話、ブログでなるべく報告しようと思います。

「女性患者としてあがいている様子」を、社会に伝えていかなければならないと思うから。

ここまで10ヶ月、ALSな生活をしてみて、女性患者さんの顔が本当に見えてきませんでした(操さん以外)。例のNHK特集もありましたし、篠沢教授以来、わりと立て続けに各地の患者の様子がニュースになったりしてました。

しかし、そのすべてが「男性患者」でした。家にとどまってのALS生活、家族愛、職場の理解、などメディアとして報道しやすいのだろうと思います。けれど、有病率、男:女=58:42から考えるならば、ちょっと寂しいのです。

そういう流れの中、なんだかわからないけれど、女性患者は男性患者に比して明らかに呼吸器装着しづらく、つけたにしても病院療養を選択なさったり(病院での療養生活を批判しているわけではありません、どうぞそこのところを誤解なさらないでください! 100%ケアの素晴らしい病院がたくさんあることでしょう)。地域で暮らす女性患者はもしかして、とっても少ない??

これは実は女性患者ばかりの問題ではないでしょう。これからALSを発症する世代は妻もフルタイムで働き、かつ、シングルライフも多い。そうすると、家族ケアが前提になれないケースが増える。シングルでALSになっても地域で生きていかれる社会が望まれるし、それは高齢者問題や障害者問題全般にもプラスにはたらくでしょう。


うさぎ家に家族愛が無いから、わたしが社会的ケアを求めているのかというと、まったく正反対です。
朝寝、昼寝が趣味のくまさんが、わたしのために、あれもこれもと手をうち、膨大な時間を消費していることはみなさんご存じの通りです。これまでにもわたしは彼の手を極力借りないように、友人にもいろいろお願いしてきましたが、それでさえも、もっとも身近にいる人たちほど、ひろっくまの努力を目の当たりにして脱帽しているはずです。子どもたち3人も何の問題もないいいヤツラばかり。
けれど、ひろっくまが「ひとり」で「仕事、家事、育児、介護」をこなすのは不可能です。仕事柄、超長時間睡眠が必要で、その生活パターンも変えさせるわけにはいきません。子どもたちは学校がある。

あれやこれやそういうわけで、すでにできあがった成功例としてではなく、悩み、つっかかり、まちがえ、軌道修正し・・・、そんなわたしと友人とケアスタッフさんたちの、小さな温かな歩みをおおいに報告していこうと思うのです。

このブログ、発症初期の方も、けっこうご覧になってます。
そういう人たちの考えるよすがになってくれれば、それも幸い。

みんなへ

2010年04月13日 00時06分30秒 | みなさんに書いたメール MAILEN
さきの「秘密会議」を知った、わたしの反応:



みんなへ

今晩、とてもだるくて、食事もできずに22時にいったん寝せてもらいました。けれど、痛みがひどくて寝られなかったし、空腹で胃も痛くなりそうだし、経管栄養用だけれど経口でも飲める飲料だけでも飲もうと思って、長男に起こしてもらったところです。


そしてみんなのメールを発見して、ただ、涙・・・
みんなが話し合ってくれた内容に、ただ、涙・・・

わたしがどれだけ泣いたか、みんなにはわかるでしょうか。
橋本操さんは告知のときに一週間泣いたあとは泣かなかった、って言ってますが、あんなのウソ、絶対。自分のためには泣かなかったかもしれないけれど、支えてくれる人ゆえに涙しないはずがない。


いったいみんなにどうやって感謝をしたらいいのかわかりません。
けれど、ポジティブな気持ちで病気と付き合い、わたしにしかできないミッションを少しでもこなせるように努力し、障害をもった女性当事者として感じることを社会に伝え、そしてユーモアを忘れずにいることだよね。

秘密会議

2010年04月13日 00時04分21秒 | ぴょんぴょんオフィス立ちあげ/ Ich AG
そして数日後、わたしに何の連絡もなく、以下のようなっことが・・・・

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うさぎさん

Yです。
実は今日、うちで集まりを持ちました。
~さん、~さん、~さん、~さん、~さん、と私の6人です。
普段顔を合わせて話をすることがないので、こういう機会をもつことにしました。

今日の話の中で、うさぎさんに伝えたいこと、お願いしたいことを以下にまとめ
ました。どうぞ、読んでください。

1.事業所化について

(1)川口有美子さんに事業所化のノウハウを教えてもらう
橋本操さんを支援している川口有美子さんに、どのようにすれば可能なのか、う
さぎさんから聞いてもらえますか?
メールだけでもある程度答えてもらえるかもしれないし、何か資料があれば、そ
れをもらってみてください。

(2)南区の患者さんに会うことと、事業所化のノウハウを調査すること
南区にTさんというALS患者の方が事業所化を実現していると聞きました。うさぎさんはその方に会うことは可能ですか?
橋本操さんは東京のケースなので、同じ地元のケースであれば、そちら
の方が参考になります。事業所化するために、具体的にどのようなことが必要な
のか、あらゆることを知る必要があります。そのために、早急に会いに行けるよ
う働きかけてみてください。それはケアマネさん経由ということになるの
か、私にはよくわかりませんが、ぜひ。
知りたい内容は、ざっと思いつく範囲でも、以下のことがあります。

・事業所化の要件
 有資格者の人数、資格の種類、最低構成人数(専従スタッフ)、出資金、
 事務所をどこにするか(うさぎさん自宅?)、口座開設、定款の準備。。。

・手続き窓口はどこになるのか? 複数?
 区役所、市役所、福祉事務所、税務署、法務局

このように、あらゆることを知る必要があります。
組織を設立するということは一つの大仕事です。その予備知識、事前準備として、
先駆者から出来るだけ情報を取る努力をうさぎさん自身もしてください。
南区の田中さんに会いに行くときは、うさぎさんだけでなく、ぜひ、ご主人も同席
してください。主体はうさぎさんです。そして、私たちの誰かの同行が必要な場
合はもちろん同行します。

(3)ケア者と家族の関係性
事業所化が実現すると、これまで以上に、いろいろな人が参加することになって
きます。組織運営のための業務(事務、経理)も発生し、ケア者をコントロール
する担当者や、ケアする多数の人たちが関わってきます。
橋本さんの場合もたくさんのケア登録者がいるぐらいですから、うさぎさんもあ
る程度理解していると思います。
そうなってくると、ますます、うさぎさんの家族(ご主人と子どもたち)の生活
リズムや感情面の問題も生じると思うので、事前に両者(私たち支援者側と家族
側)間で意思のすりあわせが必要になります。また、自宅でのケアで考えるなら
ば、24時間体制になった場合には、夜間の人の出入りが煩わしくならないよう
な運用上の配慮も必要になるでしょう。
当然のことながら、家族は無関係ではあり得ないので、お互いの意思疎通は定期
的に確認しあっていくことが望まれます。
家族ケアだけに頼って疲弊してしまわないよう、事業所化まで考えている、うさ
ぎさんに共感して、私たち友人の支援者は存在しています。
なので、家族との関係が良好に築いていけることは私たちの願いです。

2.話し合いについて
もしもケアマネさんからすぐに切りだされないような場合は、うさぎさんから話し合いの日程を打診してください。参加対象は、うさぎさん、ご主人(家族代表として)、ケアマネ(&重要スタッフ)、支援者(友人ボランティア)だろうと私は考えていますが、それでいいのかも含めてケアマネと相談してみてください。
会合の必要性は、それぞれ立ち位置の違う人たちが一堂に会して、情報共有し、
今後どうしていくか、を具体的に話し合うためです。
うさぎさんから見れば、皆の顔が見えるでしょうが、関わっている人たちには、
それぞれがバラバラに動いているので、今、何が、どのようになっているのか、
わかっていません。
私たち友人レベルですら、今日久しぶりの顔合わせになったくらいですから。
わからなくても出来るレベルのことではないので、話し合いの場は必要です。
その場で何を話し合うのか、何を決めるのか、を予め準備しておくといいでしょ
う。レジュメがあると当日の進行がスムーズかもしれませんが、それもケアマネ
さんと相談してみてください。過去の経験から、アドバイスももらえるかもしれ
ません。うさぎさんも不明なことがあれば、必ずケアマネに事前確認しておいて
ください。うさぎさんは傍観者ではなく、中心的立場なので。
皆が時間を作って会合に参集するので、その心づもりでいてください。

***

長々と書きました。多少キツく感じたかもしれませんが、これで気が遠くならず
に、むしろ立ち向かっていく心構えで、この先のレベルに皆で一緒に臨んでいき
ましょう。