展示フロアが5階から2階まで降りて来る形なので、後半の3階から。
◇山川賀壽雄(やまかわ・かずお)
「朝(はじまり)」
3階入り口入ってすぐ振り返って右の壁。うううう~。きれいな青。
青い湖面に朝の光の帯。
千住博の「ウォーターフォール」を初めて見た時を思い出した。
最初の一枚は感銘を受けたんだけど、その後何十枚(何百枚?)と同じテーマで
描いていて、食傷した。
そしたらその隣に千住博の「フォーリングカラー」(←赤い滝)があって笑った。
◇高村光太郎
「十和田湖乙女の像の試作」
堂々たる中年婦人像。1メートル20センチくらい?智恵子をモデルに。
◇舟越保武
「田沢湖のたつこ」
これも試作かな。1メートルちょっと。
◇平松礼二
「路 晩秋のポエム」
菊菊菊。でかい作だが全体の色使いは薩摩焼を髣髴とさせる。デザインっぽい作品。
◇東山魁夷
「春静」
魁夷の青と緑。白馬はいない。
◇横山操
「峠の道」
浮かぶ立山。ヒマラヤみたいに見える。手前は枯野。木が細かい。
◇加山又造
カニとひよこの切り絵。
「雪」雪の積もった森。白い枝。黒い幹。リズミカルに折れ曲がる道?川?
奥の森には絶対何かある。
「飛翔」
「雪」とはまったく違って、モチーフは丹頂鶴。伝統的な日本画のモチーフ。
そして次に並ぶ「狼」はまた全く違った作風で呆れる。キュビズム+ルソー。
デザイン化された日本画。背景のさらに遠いところの山が額縁のように引き締めてる。
加山又造は前から思っていたけれども、ものすごく作風に幅がある人だなあ。
「飛翔」と「狼」なんて、絶対同じ人の作品とは思えない。
◇片岡球子(かたおか・たまこ)
「喜多川歌麿」
大きな2枚屏風の右側に喜多川歌麿の肖像を、左側に歌麿風の女と子どもを。
歌麿の絵よりだいぶデフォルメされているけれども。
加山又造の「狼」と並べて飾られていると、そのミスマッチにむしろ面白さがある。
◇田中一村
「黄昏」
夕暮れ、もう暗くなってからの南国の民家と芭蕉。
川瀬巴水の色使いとゴーギャンの濃厚な匂い。南国がテーマだからだな。
ここから2階。
疲れたので2階は次にして帰ろうかと思った……
◇東山魁夷
「唐招提寺障壁画 濤声」
この絵があるのは2Fの小さな小さなロビーで、3枚のリトグラフがある。
唐招提寺の障壁画をリトグラフにしても見られるのはうれしい。
ただしちょっと光が良くない。きれいな翠の海。
◇小林古径
「瓶花」
少しエキゾチックな花瓶に生けられた花。花材はスイートピー。
この絵が可愛くて可愛くて。これも欲しい。家に飾るにはちょっと大きい。
◇横山大観
「霊峰不二」
大観は何枚かあったけど、ものすごくいい大観とは言いかねる気がする。
この絵もあんまり力を感じなかった。
◇上村松篁(うえむら・しょうこう)
しまった。松園と取り違えていた。
「蓮池群鴛図」
大きさに対して蓮と鴛の位置のバランスが悪い気がする。
蓮がくすんで
地味なのは鴛を目立たせるためにありかなと思うが。
鴛のオレンジ。カワセミの翠。
5メートルくらい離れた時にふと見たら良かった。
◇川端龍子
「海流」
海の中に投げ込まれたような海鳥。少し画題が謎な絵。
◇平山郁夫
「金曜孔雀明王」
紺紙に金色の線画で描かれた孔雀明王。
「マルコ・ポーロ東方見聞行」
すごくでかい絵。4メートル×2メートルくらい?
平山郁夫は多くて、出ているだけでも6、7枚あった。
いい作品が多い。平山郁夫も好き。
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とにかくいい絵が多いです。
そして有名画家の絵も多いです。
で、有名画家となると、てきとーな絵が1枚だけという美術館も多いなか、
けっこう何枚もあります。
これ誰の選択で買ってるんだろうね?
このレベルの絵だったら選ぶの楽しいだろうなあ。いいなあ。
まあでもわたしは思い切りよく買えないけどね。
図録も買って来た。
買って後悔はしないきれいな図録だが、これが5年前の発行で、
今回「いいな~」と思って見ていた絵がほとんど載っていない……。カナシイ……。
でも考えようによっては入れ替えする絵がたくさんあるっていうことだもんね!
ちなみに入れ替えについて訊いてみたところ、不定期にちょこちょこやるようです。
楽しみ。
いや、長々と書いたが大変満足すべき美術館でした。
たまに行こう。