華胥の国

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宮廷の諍い女――第21話 安陵容の歌 菩薩蠻

2013-07-24 14:12:08 | 宮廷の諍い女

華妃に情の長さを歌った曲がいいと言われ、

安陵容が披露した歌は菩薩蠻でした。

詞の作者は唐の詩人、温庭筠です。


小山重疊金明滅

小山のように折れ曲がった屏風が

太陽に照らされ、きらきらと光っている

鬢雲欲度香顋雪

寝乱れた雲のような髪が、

雪のように白くて香しいおとがいに懸かっている

懶起畫蛾眉

物憂く起きて、すんなりと伸びた眉を画く

弄妝梳洗遲

ゆっくりと髪を梳き、化粧をする

照花前後鏡

合わせ鏡で容姿を眺め、

花面交相映

花の簪と美しい顔があい映っている

新帖繡羅襦

新しいうすぎぬの上着には

雙雙金鷓鴣

つがいの金鷓鴣の刺繍があった

 

最後の句「雙雙金鷓鴣」は、仲睦まじい夫婦のことを暗示しています。

しかし、ものうく起きてゆるゆると化粧するなどの描写から、

女性は一人でいることが分ります。

艶めいた化粧をしても、見せる人おらず、

つがいの鷓鴣の刺繍を見れば、さらに寂しくなる。

一人で閨房にいる女性の寂しさを詠っています。

個人的には、安陵容が言った「情を交わした後の女の歓び」にはとても見えなくて、

華妃の言うとおり、「情の長さに言及してない」と思います。

 

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