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合田佐和子展 帰る途もつもりもない(三鷹市美術ギャラリー)

2023年03月14日 20時08分38秒 | 展覧会・美術関連

三鷹市美術ギャラリー「合田佐和子 展 帰る途もつもりもない」を観たのでございます。
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20230128/

初期のオブジェから晩年の鉛筆画シリーズまで、217件の様々な作品(一部展示替えあり今は後期)と50件の資料で紹介する、合田佐和子の大回顧展。
作風の変化も、創作活動の軌跡もよく分かり、たいそう興味深うござります。

構成は以下の通り。
気になる作品がありすぎてとても書ききれぬゆえ、ごく一部をリスト順に。

★Ⅰ 1940-1984
【Ⅰ-01 焼け跡からの出発】

《来訪者》1958年 毛糸、鎖、ビーズ
活動の原点となった編みぐるみ人形。手足と目、鼻、口は小さいビーズを使用。

《Watch-Angels》1964年 鉄、ガラス、ビーズ、機械部品、ワイヤーほか
拾い集めたガラクタを組み合わせたオブジェ。上部には人形の頭、懐中時計もぶら下がっておる。 

《ミュータントたち》1966-67年  布、綿、サインペン
34点のミュータント達は、全て形も表情も違って楽しゅうござります。

《母になったミュータント》1970年 石膏、繊維、綿、布、サインペンほか
八重洲にあったアイリスメガネのディスプレイを飾るために制作された作品。
全長2m60㎝ものヘビと、5点のマスク。

【Ⅰ-02 妖しき絵姿】

《祖父母たち》1972年 油彩・カンヴァス
初めて着手した油彩画だそうな。ニューヨークで拾った銀板写真を、等身大スケールのキャンバスに描き写したモノトーンの作品。

《寝台》1971年 油彩・カンヴァス
最初期の油彩画で思い入れが強く、最後まで手元に置いていたそうな。
ベッドに座る女性。モノトーンの画面に赤い唇とピンクのハイヒール。

《もの思うベロニカ》1972年 油彩・カンヴァス
本展のメインビジュアル。

《フランケンシュタイン博士のモンスター》1974年 油彩・カンヴァス
ボリス・カーロフ扮するフランケンシュタイン。騙し絵チックな窓に2羽の鳥。

【Ⅰ-03 演劇・映画の仕事―唐十郎と寺山修司とのコラボレーション・ワーク】

《中国の不思議な役人》1977年 油彩・カンヴァス
資料『演劇実験室天井桟敷・パルコプロデュース「バルトークの中国の不思議な役人」ポスターデザイン:鈴木清二』1977年
《青ひげ公の城》1979年 油彩・カンヴァス
資料『演劇実験室天井桟敷・パルコプロデュース「バルトークの青ひげ公の城」ポスターデザイン:鈴木清二』1979年
どちらも、作品とそれをもとにしたポスターが並べて展示され、嬉しゅうござります。

【Ⅰ-04 変化、模索―ポラロイド写真、スケルトン・ボックスを中心に】

《蛸のために》1982年 紙、貝、金属部品、ガラス、木箱ほか 
標本箱に様々なものを入れた「スケルトン・ボックス」シリーズ。

《花の子》1981年 拡散転写方式印画(ポラロイド写真)
ポラロイド写真16点を組み合わせた作品。

【エジプト体験】
1978年に初めてエジプトを訪れ、1985年エジプトに移住。
それ以降、作品にエジプトの影響が強く表われ、作風もガラリと変わってビックリ。
このコーナーの資料も興味深うござります。

★Ⅱ 1986-2016
【Ⅱ-01 「12進法(シュールレアリスム)」時代の幕開け】

《ヌビアン・ダンサー》1986年 アクリル絵具・カンヴァスボード
エジプトからいったん帰国した年に描かれた作品。色彩がこれまでと全く違うバラ色に変化。

《眼玉のハーレム(10点組)》1987年 紙粘土、義眼、つけまつげ、アクリル絵具
卵形の紙粘土に埋められたグラスアイは、「ホルスの眼」のアイメイクじゃ。

【Ⅱ-02 「レンズ効果」】

《ネフェルチチ》1994年 油彩・カンヴァス
エジプト第18王朝のファラオ、アクエンアテンの第1王妃。
光にとりまかれたお顔はほっそり細く、微笑んだような表情、白い左目。
合田は、ネフェルチチを深く敬愛していたそうな。

《ラ・マスケラ(ヘレナ・ボナム=カーター)》1992年 油彩・カンヴァス
ヘレナ・ボナム=カーターも、オレンジの背景も美しい。

《イシスの舟》1996年 油彩・カンヴァス
ピンクの花崗岩の崖、水色の空、不思議な文様の波にファルーカ(帆掛け舟)、3つのヒエログリフ。

《あけぼの B》《あけぼの C》《約束》《告知》《ばらの天地創造》1997年 油彩・カンヴァス 
虹色グラデーションのバラの油彩が5点並んで美しゅうござります。

【Ⅱ-03 色えんぴつのダンス】

《瀧口修造の肖像》1969年 鉛筆・紙
初公開となる最晩年の鉛筆画シリーズ。
合田が瀧口について「先生の目は触覚のようだった。」と語っていた通り、左目から触覚が。

ホールでもビデオが流れておりまする。

エネルギーに溢れた、たいそう観応えある展覧会でありました。
会期は3月26日まで。
この充実の内容で、観覧料は600円ですぞ。