ウェネトさまの館

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「ピエール・ボナール展」(国立新美術館)

2018年11月26日 06時00分22秒 | 展覧会・美術関連

お供のEが絶賛寝込み中ゆえ、かなり前に観ていながら書きそびれた展覧会の話でございます。

国立新美術館「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/bonnard2018/


 

オルセー美術館のコレクションを中心に、約130点の展示。
ボナールは好きでけっこう観ておるが、本展では約30点が初来日だそうで、楽しみだったのじゃ。

構成は以下の7章。主なお気に入りもリスト順に挙げておきまする。

【1.日本かぶれのナビ】
浮世絵に大きな影響を受けたボナールらナビ派の画家たちは、批評家から「日本かぶれのナビ」と言われたのでございます。

《庭の女性たち》
昨年、三菱一号館美術館「オルセーのナビ派展」でも観た作品。
4点連作の縦長の掛け軸チックな装飾パネルで、衣装や背景の描き方も装飾的。

《黄昏(クロッケーの試合)》
こちらも「オルセーのナビ派展」で観た、ちょっと不思議な雰囲気の作品。
黄昏らしからぬグリーン基調の色彩の中で、クロッケーをする男女とワンコ、遠くで踊る女性達。

《白い猫》
お供のEは数年前に観て、この猫に再会したがっておったのじゃ。
びよ~んと伸びたジャミラチックな猫は不思議な眼差しで、長い前足は人間の女性の足のよう。

この作品だけでなく、ボナールの描く猫や犬やウサギなどの動物は大好きでして、たとえばこの章の《ブルジョワ家庭の午後 あるいはテラス一家》に出てくる猫も、微笑んでいるような母猫と、お乳を飲む子猫と女性にじゃれる子猫が可愛うござります。

【2.ナビ派時代のグラフィック・アート】
初期のボナールが取り組んだ、リトグラフのポスターや、本や雑誌の挿絵など。

【3.スナップショット】
1890年代初頭から写真を撮り初め、1905年を境に殆ど撮らなくなったそうじゃが、如何なる心境の変化かのぅ。

【4.近代の水の精(ナーイアス)たち】
裸婦多し。

【5.室内と静物「芸術作品―時間の静止」】
「不意に部屋に入ったとき 一度に目に見えるもの」を描きたかったそうな。

《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》
画面手前に広がるテーブルの上に前足をついて身を乗りだし、横の女性(マルト)を見上げてお皿の魚をねだる白猫がキュートすぎてジタバタ。
クリーム色のテーブル、温かみある赤い壁、緑の服と、明るい色彩も綺麗。
一部分がこのポスターにも使われておるぞよ。


 

《ル・カネの食堂の片隅》
画面手前の赤いテーブルに果物と花、右奥の後ろ向きの女性の黄色いショールと、やはり色彩が綺麗。

《花》
国立西洋美術館の常設展でお気に入りの一枚。

【6.ノルマンディーやその他の風景】
ノルマンディーのヴェルノンに購入した家“マ・ルロット(私の家馬車)”を描いた作品は、お気に入り多し。

《セーヌ川に面して開いた窓、ヴェルノンにて》
マ・ルロットの赤っぽい壁の室内にはワンコもおり、大きな窓の外には青空や緑の木々やセーヌ川が広がるという、室内と外の対比も素敵。こんな家に住みたいのぅ。 

《はしけのある風景》
こちらもマ・ルロットで、テラスから見下ろした庭の風景。

【7.終わりなき夏】
ル・カネの丘の上に建つ、地中海を見渡せる家“ル・ボスケ(茂み)”を購入し、制作。
ボナールは自らを画家=装飾家とみなしていたそうで、大きな装飾壁画も展示されてございます。

《地中海の庭》
実業家の注文で描いた装飾画で、鮮やかな色彩と広がりがツボ。
ミモザが咲き乱れる黄色い庭の奥に、影の濃い木々、さらに奥に地中海。
手前のテラスには、オレンジ色の美人さんもおるぞよ。 

《夏》
スイスの富豪の注文で描かれた大きな作品。
絵の中に歩いて行って寝っ転がりたい。 

《南フランスの風景、ル・カネ》
ル・ボスケから見下ろすまるっとした坂道の向こうにまるっと広がる町並みや木々、見上げると青い山々と空という構図がツボ。

《花咲くアーモンドの木》
ボナールの遺作。

会場では「ボナールの生涯」なる映像も流されておりました。
壁に猫やウサギなどの動物が描かれていたりするのも楽しゅうござります。

特設ショップも充実。
《飛行機に乗ったユビュおやじ》の風呂桶を思わず買いそうになるも、その後あちこち行かねばならず、荷物になるゆえ思いとどまりましたのじゃw
会期は12月17日まで。

同じ国立新美術館「東山魁夷展」も観ようと思うたが、平日なのにけっこうな混雑で断念したのでございます。
魁夷展は12月3日で終わってしまいますのぅ。

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