0314_悪魔の祈り(006)裕也の冒険-悪魔の世界-
-はじまりへの問いかけ-
裕也は、魔法陣と掛け軸の説明を受けた。
裕也の曼陀羅みたいなものらしい。
なんとなく似ているが、悪魔の世界の言葉で書かれているので意味は分からない。
裕也は、魔法陣の真ん中に座り、
横の魔法陣に少女デルアドと女王アノクダルが座った。
裕也は、真ん中の『ナム ミュルロドォ イドルハァナムキョ』に向かって
『南無妙法蓮華経』を唱えだした。
この世界を創った主がいるはずだ。
(悪魔の主。出現し賜(たま)え)
一心(いっしん)に祈った。
30分、1時間、1時間半、2時間を祈ったところで返事がした。
(小僧、我に何の用だ)
裕也は、慌(あわ)てずに問い返す。
(悪魔の主ですか?)
(そうだ。私はデリル。悪魔の世界を納める神だ)
(悪魔の世界に表の世界の欲望が流れないと言っています。
そのため、土地が枯れかかっています。
何か原因があるのですか?)
(どこから話せばいいのか。
まず、悪魔の世界の成り立ちから説明しよう。
我々は、普通に人間の世界にはびこっていた。
ある時に、
十字架にかけられ昇天された方が出現したとき、
世界を平定(へいてい)したのだ。
世界を平定した者は神に召(め)されて世界の掟(おきて)を更新できる。
悪魔と人の世界を分けた。
地球の裏側の世界を創った。
悪魔は、人間の欲望のエネルギーを食う。
だから、欲望の流れを作った。
今、その流れが途絶(とだ)えようとしている)
裕也は、なんとなく悪魔の世界の生業(なりわい)が理解できた。
(それは、なぜですか?)
悪魔の主にその理由が分かっているのか、裕也には分からなかった。
(神や仏の信力が無くなってきているためだ)
(そう言えば、覚えがある)
イエス様の力が弱まったことを思い出した。
(一人の神の力だけに頼っていてはだめだということが分かった。
欲望を呼び込むには、
悪魔の世界の四か所に信力石(しんりきいし)を埋めないといけない)
(デルアド。広場にある石の所へ案内しなさい)
(はい。裕也。ついてきて)
少女デルアドは、嬉しそうに歩き出した。
裕也は、その後をついて行く。
部屋を出て、階段を降り城を出て、街の中央の広場に来た。
そこには、人の三倍はあろうかと言う石があった。
(それに、祈りを込めて欲しい)
裕也は、迷う。
(悪魔への信仰か?
悪事に加担(かたん)することになるのか。
そんなはずはない。
でも、デルアドやアノクダルは、いい人だ。
悪魔の世界も守りたい。
逆に、それが、人間界を守るっことになるはずだ。
決まった。
全ての者を愛し守る善の意思だ)
裕也は、祈りを込めた。
「南無妙法蓮華経。
ナムミョウホウレンゲキョウ。
…)
石が光だし世界が輝きだす。
つづく。
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