ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

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0311_悪魔の祈り(003)裕也の冒険-南国の老女②-

2022年11月16日 15時28分04秒 | 裕也・冒険日記(自作小説)

0311_悪魔の祈り(003)裕也の冒険-南国の老女②-

-南国の老女②-

部屋の中には、天井まで届く本棚が所狭(ところせま)しと並んでいる。
梯子(はしご)が所々(ところどころ)かかっている。
古びた木と紙の香り。
『もほう』と香(かお)ってくる。
少女デルアドは、最初に目に入った本を眺(なが)めた。
「もっと普通に字が分かると思ってたのに。
 分からない。
 どうしよう?」
少女デルアドは、方々(ほうぼう)の本棚を見て回る。
悪魔の世界に学校があるわけではない。
地位や能力で応じた知識がそなわる。
一通り本棚を見た。
「何か奥の大きな本棚の後ろに空間がる」
少女デルアドは、後ろを覗いて見る。
奥に小さな本棚があった。
(なぜか読める気がする)
読めると言うよりその本棚は意識を発していた。
その中の一冊が『最初に読む本』と言う題に思えた。
小さな本である。
取り出し開いてみる。
「ピョン」
その中から手のひらぐらいの小さな妖精が現れた。

「はじめまして、
 私は、書庫の案内人です」
背中に透明(とうめい)な羽が生えた膝上丈(ひざうえたけ)のワンピースを着た女の子が答える。
「妖精さん。
 どうしたら良いか分からない。
 字が読めないの」
「お安い御用」
妖精は、手に持った魔法の棒を一振りして、
少女の米神(こめかみ)に当てた。
頭に凄(すご)い文字形と読みの知識と意味の知識が流れ込む。
(字が読める)
少女デルアドは、次のページを捲(めく)った。
そこには、本の棚の案内が書かれていた。
(たぶん、召喚するには、魔法の絵を描くのね。
 あ!魔法陣)
本棚の四角い絵と中に文字が書いてある。
魔法陣の文字を探した。
中央の棚を形どった長方形の中に魔法陣と言う文字を見つけた。
別のページには、魔法陣の題で内訳が詳しく書いてある。
1段目から2段目は、防御(結界、広域、盾、闇)、
3段目から4段目は、攻撃(破壊、広域、槍、光)、
5段目から6段目は、召喚(魔物、神、人、異世界)、
7段目から8段目は、結識(けっしき)(神、鬼、悪魔、人、異世界、宇宙の主)
とある。
少女デルアドは、中央の本棚の所に行くことにした。
中央の本棚につく、その本棚の場所は少し明るく見えた。
(どの本が良いか分からない)
各段に見出しがついている。
少女デルアドは、とりあえず、下の段の結識(けっしき)と書いた段の本を読んでみることにした。
召喚と同じように魔物や神の名前がある。
ざっと題名を読んでいった。
一つだけ金のカバーで覆(おお)われた違う本がある。
『宇宙の主(あるじ)』と書いてある。
その本を開いて読むことにした。
中に祈りの主(しゅ)とある。
(これだぁ)
少女デルアドは、夢中で読み進める。
三界の王であることを望み、全宇宙の幸福を祈りし者が1000年に一度現れる。
祈りの主は、南の異界にいて幸福を祈り、望(のぞ)みを叶える。
祈りの主と意識を通じるには、
意識の魔法陣を描いて、
それに向かい祈るべきである。
無意識に成れたなら、それは彼の意識の中に居る。
と書いてあった。
その後に意識の魔法陣の絵と説明が書いてあるページを見つけた。
場所は、召喚の部屋に飾ることと書いてある。
(難しそう。
 そうだ、さっきの叔母(おばあ)さんに聞こう)
そう思い、振(ふ)り返ると奇麗(きれい)な女性が後ろに立っていた。
「すいません」
少女デルアドは、不意に謝った。
「いいのよ。お嬢ちゃん。
 珍しいもの見てるわね」
「召喚したい人がいるの?」
「私は、クィン アノクダル。ここの女王よ」
「勝手に入ってすみません。
 お婆さんに鍵をもらって」
「あれ、私よ。
 命の苔をありがとう」
「え!
 いえいえ。とんでもないです。
 本当に?
 お婆さんですか?」
「そうよ。おかげで、元気が出たわ」
御婆さんが若返ったと言うより、元の姿を現しただけかもしれない。
「この魔法陣を描けますか?」
「意識の魔法陣ね。
 どれどれ」
女王は、手を合わせ、そして腕を開いた。
開いた手の間には、紙が現われ、
それを床に置き、
そして、女王アノクダルは、人指(ひとさ)し指を噛んだ。
指から血が滲(にじ)んだ。
本のぺーじを見ながら指を紙に当て描き始める。
「中央に、南の宇宙の不可思議な法。蓮の華を咲かす心の軌跡」
(ナ スゥ ミル フィユ レッキ ニュオ)
「上の段から、五人の世尊」
(悪魔の世界の5人の世に尊ばれた賢者でいいのかしら)
「次の段に、海陸天の神」
(この地を司る神の名前ね)
「その次の段に、十色の鬼」
(青、桃、黒、柿、白、緑、黄、赤、茶、紫でいいのよね)
「その次の段に、九(ここのつ)の龍の名」
「光と闇の神」
(言い伝えの名前ね)
「四隅に四つの柱の主」
(これは、名前が書いてある)
「中央の下に南北西東の方位を書く」
「左下に祈りの作用として、
 『身に神仏魔人ありと悟りて善と一致するなり』
 としたため、
 心を込めて『我心本妙』と記すこと」
「これで書けた」
もう一度、良く魔法陣を見た。
「完成」

それでは、召喚の部屋に行きましょう。
女王アノクダルは、本と意識の魔法陣を描いた紙をもって、
少女デルアドを連れて書庫をでた。

つづく。次回(悪魔の祈り)


#裕也の冒険 #自作小説 #悪魔の祈り #裕也 #デルアド #南国の老女

 

 


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