goo blog サービス終了のお知らせ 

宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

勝手に趣味ブログ
のんびりしようよ

リーフ 41

2008-10-19 14:48:56 | 小説 リーフ
 待ってるの食堂の方にしておけばよかったかな。レムは、ぼんやりと考えながら、ホールでカルが戻るのを待っていた。と、
「よお、火の玉娘がこんなところでどうしたんだ?」
 協会に魔道士として名前を登録している奴らが、声をかけてきた。
「そう言えば、お前、弟子取ったんだって」
「あたしの弟子じゃなくって、マリーヌの弟子よ・・・・って、そんな事なっで知ってるの?」
「そういえば、俺見たぜ。黒髪の小ちゃい娘。この間、どこの村だっけ?乱闘騒ぎ起こしてたろう」
 そこで、レムが頷いた。どっかで見たことのある顔があると思ったら、こいつだったのか。
「ほお、良かったな。ちいちゃいお仲間が増えて」
「それにしても、この火の玉娘に喧嘩売るとは、よほどの命知らずか本当に何も知らん奴だよな」
「余計なお世話よ」
「で、火の玉娘の弟子って言うと、豆台風にでもなるのか」
 レムのまわりで、わはわは笑い声がこだまする。
「ええぇい、うるさいっ。とっとと、仕事に行けっ」
 ひとを火の玉娘だのちっこいだの、言いたい放題・・・・・、言われてるの知ってるけどさ、ふん。
 レム、ちょっとご機嫌斜め。
 カルが、荷物と杖を持って戻ってきたのは、うるさい奴らがホールを出て行ってすぐのことであった。
「あれ?」
 レムは、その姿を見て驚いた。
 厚手のブルーのズボン、淡いブルーのシャツ、丈の短い黒い上着、五芒星のペンダント。それは、初めて会った(ラウルに拾われた)時に着ていた格好だ。
「どうしたの、それ?」
 他にも、替えの服はあるはずなのに。
「う・・・ん。なんとなく、何か思い出しそうな気がして。もしかしたら、これ着たら何か思い出すかな・・・・なんて」
 少し首をかしげて、何か考えながら話すカル。
 そう言えば、レムにも心当たりがあった。
 街中でじーっと突っ立っていたり、ぼーっと一点を見ていたりと、妙な行動が目立つようになっていたのだ。
 もともと、じーっと突っ立ってるとか、ボーっと歩くとか(そのせいで、塀や柱にしょっちゅう激突している)は、いつものことだが、走ってきた馬車にすら気づかないほどではなかったのだ。以前は、それが・・・。
「なにか、思い出したの?」
 と、レムが聞いても、あいまいに首を振るばかり。だけど、急にどうしたんだろう?
 レムは、頭が少々混乱してしまっていた。
 そういえば、前にあのペンダントを欲しいと言った時、記憶が戻ったらあげてもいいって言ってたけど、もう、忘れちゃったかな。でも、どうしてあんなの持ってるんだろう? 記憶をなくす前、やっぱり何か魔術に関係する事やってたのかな? マリーヌは、カルの何に気が付いたんだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 家庭菜園4 鷹の爪 | トップ | リーフ 42 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説 リーフ」カテゴリの最新記事