月の光の中で別の存在に変化をしていくトシ。
蒼く輝く外装に包まれ、触覚と白く透き通る翅が月の光に輝かせて。夕陽色に輝く瞳でこちらを見て、そして・・・・。
「ミイコ」
突然、手で目元を覆ったミイコの顔をマドカが覗き込んだ。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ」
「う~。大丈夫」
じゃない、頭痛てー。これは、かなり強烈だ~。むりやり、ねじ込まれた感じ。何なのこれ。
「部屋、戻るか?」
マドカの言葉にミイコが頷いた。
「じゃ、ちょっと待ってろ。これ、戻してくるから」
マドカが二人分のお盆をカウンターに戻し、ミイコを抱えるように立ち上がらせる。
ミイコとしては、しばらく休めば頭痛が引くのは分かっているが、出来れば静かなところでゆっくりと確認してみたかった。
「それじゃ、隣の部屋に居るから、何あったら知らせろよ」
ミイコを寝かせ、毛布をかけたマドカがそう言ってドアを閉める。すぐに、隣の部屋のドアの音が聞こえた。
それを聞いたミイコ、ふぅ と息を吐き、目を閉じて呼吸を整えると意識を集中する。
さっき見た蒼いその姿をもう一度脳裏に映し出す。少しずつピントを合わせるようにその姿を呼び起こしていった。
薄暗い廊下を泣きながら男の子が歩いている。
あぁ、この子は・・・・。月の光の子だ。
右手であふれる涙をぬぐう。
その子が顔を上げて言った。
「左手が、動かないんだ」
見ると、その左手というか左腕は、子供の腕とは思えないほど細く筋張り青緑に変色していた。手の指は細く爪は尖り、だが全く動く気配はなく、モノのように肩からぶら下がっていた。
蒼く輝く外装に包まれ、触覚と白く透き通る翅が月の光に輝かせて。夕陽色に輝く瞳でこちらを見て、そして・・・・。
「ミイコ」
突然、手で目元を覆ったミイコの顔をマドカが覗き込んだ。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ」
「う~。大丈夫」
じゃない、頭痛てー。これは、かなり強烈だ~。むりやり、ねじ込まれた感じ。何なのこれ。
「部屋、戻るか?」
マドカの言葉にミイコが頷いた。
「じゃ、ちょっと待ってろ。これ、戻してくるから」
マドカが二人分のお盆をカウンターに戻し、ミイコを抱えるように立ち上がらせる。
ミイコとしては、しばらく休めば頭痛が引くのは分かっているが、出来れば静かなところでゆっくりと確認してみたかった。
「それじゃ、隣の部屋に居るから、何あったら知らせろよ」
ミイコを寝かせ、毛布をかけたマドカがそう言ってドアを閉める。すぐに、隣の部屋のドアの音が聞こえた。
それを聞いたミイコ、ふぅ と息を吐き、目を閉じて呼吸を整えると意識を集中する。
さっき見た蒼いその姿をもう一度脳裏に映し出す。少しずつピントを合わせるようにその姿を呼び起こしていった。
薄暗い廊下を泣きながら男の子が歩いている。
あぁ、この子は・・・・。月の光の子だ。
右手であふれる涙をぬぐう。
その子が顔を上げて言った。
「左手が、動かないんだ」
見ると、その左手というか左腕は、子供の腕とは思えないほど細く筋張り青緑に変色していた。手の指は細く爪は尖り、だが全く動く気配はなく、モノのように肩からぶら下がっていた。