苦難は優れた教師である

　孟子はこんな言葉を残している
「天の将（まさ）に大任を是（こ）の人に降（くだ）さんとするや
必ず先（ま）ずその心志（しんし）を苦しめ
其（そ）の筋骨を労（ろう）せしめ
其の体膚（たいふ）を餓（が）せしめ
其の身行（ふるまい）を空乏（くうぼう）せしめ
其の為（な）さんとする所を佛乱（ふつらん）せしむ。
心を動かし性を忍ばせ
其の能（よ）くせざる所を曾益（ぞうえき）せしむる所以（ゆえん）なり。」

この言葉の意味は
「天が重大な任務をある人に下そうとする時には
必ず初めにその人の精神を苦しめ　その筋骨を疲れさせ
肉体を飢えさせ　生活を困窮させ
行うことのすべてを　その意志と食い違うようにさせる。
これは　天がその人の心を発奮させ　辛抱強くさせて
今まで出来なかった事も　できるようにする為の試練である。」

　この言葉こそが今回の主題なのです。
いきなり不審に思った方もいるかもしれませんが、今回のテーマは“困難は大切”です。
　よく「大自然の中で裸の人間ほど弱い動物はいない」と言われているように、
人は単体ではとても弱い生き物です。
確かに、ヒトは犬より速く走れないし、魚より速く泳ぐことも、空を飛ぶことさえできない。
しかし、ヒトはその困難に耐え、乗り越えてきた。
そして、犬より遥かに速く走れる車を、魚よりも速く泳げる船を、大空を自由に羽ばたく翼を創り出した。
　人は“どんな動物よりも弱い”という無力さ故に鍛えられたのである。
踏まれた麦はより強く、厳しい冬を越した梅こそ美しく咲くと聞きます。
皆さんにも経験があるのではないでしょうか？


《Tomiyama tenyou》