〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

大和!

2006-01-20 | Weblog
映画「男たちの大和/YAMATO」が大人気になっているとのこと。

おお! これはうれしい。いろんな意味で。ぜひ見に行きたいものだ! もう見に行ってきた人は、これは泣けるという。個人的に畏れている職場の係長も、見て感動して泣いたという。マジすか!

前に見た「亡国のイージス」が、前評判のわりにはイマイチだったので、今回もどうかなという気がするけど、だけど「大和」を取り上げようというその気概だけでも買った!

なぜ「大和」なのか、それはきっと男心(マニア心ではありませんよ)に触れるものがあるからに違いない。

まず艦容がかっこいい。同時代の「ビスマルク」とか「アイオワ」級に較べて、なんというかとても「絵」になる。きっと設計者はデザインにも配慮したに違いない、なんて思われてしまいます。

それから最後が悲劇的なのが、ロマンですね(同胞・ご先祖様の死なのに不謹慎かもしれませんが…)。

大戦末期に生還を期さない沖縄水上特攻作戦に出撃しましたが、その途上、群がる米国の艦載機から放たれた多数の爆弾・魚雷を受け轟沈。二十歳前後の若者が大部分の、乗員2500名のほとんどが戦死しました。

我が国のいにしえの名前を冠したこの艦の死は、水上戦力のほとんどを喪失した日本海軍の死、そして近代日本の死を象徴するものでした。

一般的に、「大和」の建造は、空母による航空戦力が艦隊決戦の主流になる中で、時代遅れの大いなる国費の無駄遣いとして揶揄されたりしがちですが、しかし同時期の大西洋の戦いがいまだ戦艦を中心とした水上兵力中心のものであったことや、大和の後で建造された米国の戦艦が最近まで現役だったのを見ても、当時の趨勢がけっしてそうではなかったことがわかります。

さきの戦争の降伏調印が東京湾上の戦艦「ミズーリ」で行われたのは、米国にとって象徴的な意味があったと思われます。日本近代は黒船来寇に始まり、そして終止符が打たれたといえるかもしれません。

そう考えてみると、この映画の副題のようについている横文字の「YAMATO」、とても気に障ります。一体何なんだ!
しかし、たしか当初はタイトルが「男たちのYAMATO」になっていたと思うので、ちょっとは作り手の側もがんばったのかな。
まあ、横文字のほうがアピールするんだろうけど、情けないな。

…内容のほうがそんな妥協をしていませんように。

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3 コメント

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大和は国のまほろば (北海道のM)
2006-02-08 06:42:55
 去年、広島出張の帰りに大和ミュージアムと広島平和資料館を見てきました。「男たちの大和/YAMATO」の冒頭のほうでも大和ミュージアムが出てきましたね。映画のほうはあまり期待していなかったので想像していたよりは良かったと思います。もっとも軍隊経験のある父や終戦がもう少し先に伸びていたならば知覧から出撃していた筈の叔父が見たら何と言うかわかりませんが。



 ところで確かに「YAMATO」は引っかかりますよね。いっそのことカタカナで「ヤマト」にしておけば……って、それじゃあ宇宙戦艦になってしまいますか。でも大和ミュージアムの三階にはヤマトもアナライザーもいましたよ。
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Unknown (type1974)
2006-01-22 19:25:13
りょうさん、熱きコメントありがとうございます!とくにこのことにいただけるというのはヒジョーにうれしいであります。

山本五十六の書、ぜひ見せてくださいね。そんな立派なものが掲げられているとはスゴイ。鈴木大拙の書にもビックリでしたが。

当時の人の「至誠奉公」というのは、おおくはとても本気だったのだと思われてなりません。そしてそういう同時代の内面への理解と共感がないところでは、どんな立派な歴史研究も結局のところ意味がないように思います。いや、いまの歴史学の基本的なスタンスは、そういう「意味」自体をなくすることにあるのだからそれはむしろ当然のことなのでしょう。それは読み方として無自覚な錯覚があるうえに、とても退屈です。そんな歴史学なら学ばない方がマシのような気がしています。

さきに書かれていた「祖国愛」という言葉、じつにいいですね。これならみんながあまり違和感なく合意して使えそうな表現です。あとは自分にまだまだ祖国愛が足りないこと。祖国愛が私たちの「志」になるといいですね。
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山本五十六氏の書 (りょう)
2006-01-21 22:32:47
大和、なかなか盛況のようですね。

ところで当寺の本堂には、山本五十六氏の書が掲げられています。

今度、当寺にいらしたときにぜひご覧ください。「至誠奉公」と書かれています。

立派な字です。

滅私奉公はいけませんが、つながりのために、自己の目先の欲望を超えて公に尽くす心は、やはり美しいと思います。

「憂国の士」、もはや死語ですが、この志がいまこそ必要になってくるのだと思います。
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