ジャン=ジョエル・バルビエ：エリック・サティ

OEUVRES POUR PIANO: Jean-Joel Barbier

　ええー、前回スコット・ジョプリンと似ていると言っていたのでエリック・サティを引っ張り出して聴いてみました。似たような曲は２、３あるのですが、洗練さがまるで違います。はっきり言っちゃうとスコット・ジョプリンの負け。まあジャズに品の良さを求めるのは、ＭＪＱとかエリントンのタキシード姿のステージ衣装を除いて、酷のような気もするし、クラシックとポピュラー音楽の違いと言ってしまえば簡単なのですが．．．、わたしはエリック・サティという音楽は１９世紀から２０世紀に跨って活躍した人だから、現代音楽の範疇に入れているわけで、それまでのクラシック音楽の持っているハイ・ソサエティの高尚な持ち物とは違うと考えていたのですが．．．、スコット・ジョプリンを聴いた後でエリック・サティを聴いてしまうと、まだまだ鼻持ちならない高尚さが厳然と残っているではないかとなってしまうのです。

"Eric Satie:Oeuvres Pour Piano"
                             Music_Interior(JPN)VIJ-4052
Quatre Ogives / Trois Sarabands
Fete Donne Par Des Chevaliers Normands
Trois Gymnopedies / Trois Gnossiennes
Trois Nouvelles Gnossiennes
Prelude D'Eginhard
Trois Preludes Du Fils Des Etoiles
Sonnerie De La Rose-Crois
Premier Prelude Du Nazareen
Prelude De La Porte Heroique
Pieces Froides / Fetite Ouverture A Danser
Je Te Veux "Valse"
Trois Morceaux En Forme De Poire*
Poudre D'Or / Le Picadilly
Passacaille / Songe Creux	
Prelude En Tapisserie / Aperqus Desagreables*
En Habit De Cheval* / Nouvelles Pieces Froides
Deux Reveries Nocturnes
Preludes Flasques "Pour Un Chien"
Veritables Preludes Flasques "Pour Un Chien"
Descriptions Automatiques / Embryons Desseches
Croquis Et Agaceries D'Un Gros Bonhomme
Les Trois Valses Distinguees Du Precieux
Chapitred Tournes En Tous Sens
Vieux Sequins Et Vielles Cuirasses
Menus Propos Enfantiins
Enfantillages Pittoresques
Peccadilles Importunes
Heures Seculaires Et Instantanees
Sports Et Divertissement /Avant-Dernieres Pensees
Sonatine Bureaucratique / Cinq Nocturnes
Premier Menuet
La Bell Excentrique -Fantaisie Serieuse*
Jean-Joel Barbier (p)
*Jean-Joel Barbier, Jean Wiener (p) 1971/12

　曲名がエリック・サティらしさがあるのですが、わたしのデータ・ベースは上のようにフランス語もどきです。がんばって邦題を打ち込んでみましょう。

４つのオジーヴ / ３つのサラバンド / ノルマンディの騎士たちによって催された祝宴（若き乙女を讃えるために－11世紀） / ３つのジムノペディ / ３つのグノシェンヌ / ３つの新グノシェンヌ / エジナールの前奏曲 / 星たちの息子の３つの前奏曲 / バラ十字教団のファンファーレ / ナザレ人の第１前奏曲 / 天国の英雄的な門の前奏曲 / 冷たい小品集 / 舞踊のための小序曲 / おまえが欲しい《ワルツ》 / 梨の形をした３つの小曲《４手連弾》 / 金の粉 / ピカデリー / パッサカリア / うつろな空想 / つづれ織の前奏曲《４手連弾》 / 馬の装具で《４手連弾》 / 新・冷たい小品集 / ぶよぶよした前奏曲《犬のための》 / ぶよぶよした真の前奏曲《犬のための》 / 自動記述法 / 乾からびた胎児 / でぶっちょの木製人形に対するスケッチとからかい / 嫌らしい気取り屋の３つの高雅なワルツ / あらゆる意味にでっちあげられた数章 / 古い金貨と古い甲冑 / 短い童話 / 絵に描いたような子供らしさ / ひと迷惑な微罪 / 世紀ごとの時間と瞬間の時間 / スポーツと気晴らし / 最後から２番目の思想 / 官僚的なソナチネ / ５つのノクターン / 第１のメヌエット / 風変わりな美女

邦題を打ち込んでみました。ぶよぶよとかでぶっちょというような表現が目に付くと思います。エリック・サティは現代音楽だという根拠は、これなんです！
時代としたら、ダダとかシュールリアリズムという芸術運動があって、絵画も彫刻も音楽も文学もすべてが影響され、既成の古い概念が一掃されたのです。
なお、サティには「ヴォクサシオン」という終わりのない楽曲が知られているのですが、この作品集には含まれていません。理由としては、それがピアニストをおちょくった作品だからでしょう。興味があったら聴いてみてください。こんな楽曲を作ってしまうのも芸術運動のひとつの現われです。
エリック・サティはヨーロッパの人だから影響が大きかったが、スコット・ジョプリンはアメリカという田舎に住んでいて、民族的なこともあり泥臭さが抜けなかった、ということかも知れません。

マル・ウォルドロンが手がけたサティの感想は、こちら　→　プレイズ・エリック・サティ

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2005/09/10 ものずき烏 記