50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

指さしていて、御堂筋の鳩を和子が珍しがるようだが、・・・

2016-07-16 14:25:37 | 小説
指さしていて、御堂筋の鳩を和子が珍しがるようだが、啓の気分をその小柄な体の豊かな胸が表してゆれている。それは暗黙のうちに和子の気持ちを言い、セックスを言うことだろうと、啓に、まじめな二十八歳の男がるだけでは嫌とかと言うのかも知れなかった。
鳩が、と言った後で啓の声を待つ和子。啓はそびえ立つビルに、半裸のイチョウに鳩に、
「何やおなかすいたん忘れる、ええながめや」
「そやけど何やケンカしてはるようよ」

(「南幻想曲」つづく)