50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「ママ、帰ろうよう」・・・

2015-02-07 18:20:07 | 小説
「ママ、帰ろうよう」
股間にまつわりついた子を引っぱって、華奢な胸の女が帰っていった。
「なまいきなの」
「よほどクモが憎いのね、あの方は」
「そうね。そうかも知れないけど、田舎を憎んでいらっしゃるんじゃないかしら」
「いわれてみればあの方、前にこういってらしたわよ。故郷の、地方都市では誰彼なしに足を引っぱって、頭を叩いてしまう、嫉妬の渦から首都ににげだしてきました」
「あの美貌ですから。クモがお嫌い・・・・・・」

(つづく)