DOWN IN SMOKE 猫馬鹿無用編

再開!…忘れた頃に…そして、たぶんまた存在を忘れる…

映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」(CLOVERFIELD)

2008年04月13日 | 映画感想

「9.11」のあったとき、アメリカのシットコム「フレンズ」は「ニューヨークに住む人々を元気づける番組でいよう」と番組を続行することにしました。
ただし、ドラマの舞台はマンハッタンですが「9.11」には一切触れず、画面に貿易センタービルが映らなくなったほかはドラマ上の変化はなかったんですけどね。
でも、あのドラマの中でシリアスに「9.11」を扱ったらこんな風味になったんじゃないでしょうか…



【ストーリー】
とあるニューヨークの夜、日本への転属が決まり、赴任することになったロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)のために、大勢の仲間たちがサプライズ・パーティーを開く。そのパーティーの最中、突然、とてつもない爆音が聞こえ彼らが屋上へ行くと、まるで爆撃を受けたかのようにニューヨークの街がパニックに陥っていた。(シネマトゥデイの映画紹介より)

…しかし、東宝特撮SF映画 が好きだな、製作者。
でも、わかる。わかるぞ!
私も「ゴジラ」とか「サンダ対ガイラ」とか「世界大戦争」が大好きだ!
大人風味の「マタンゴ」なんか見ると女性と海に行きたくなるし<それはちがうぞ

この作品を帰宅してからは家でのんびりゴハン食べながら春の新ドラマ「オトコマエ!」とWOWOWで映画「Gガール」を見るつもりだったのですが、あの伊福部なエンディング曲を聞いたら1954年製作の「ゴジラ」を無性に見たくなったので、晩ゴハンの視覚的なオカズは高層ビルのなかったころの東京大破壊というハメになりました。
製作者も「日本が水爆のメタファーとしてゴジラを作ったように、僕も9.11での恐怖を盛り込んだんだ」と、発想や企画意図はスピルバーグの「宇宙戦争」と全く同じだという意味の発言をしてましたからこれはしょうがない。
でも、実際の出来事で人々が体験した恐怖を映像的に娯楽化するという試みとしては「宇宙戦争」より成功してると思います。
「宇宙戦争」以上に「身近な個人的恐怖体験」の再現に力入れたのが勝利の鍵かと。



中盤以降、主人公たちの行動の動機となるのは「ケンカ別れした彼女から、一番危ない地域でケガしてて動けない」という連絡が携帯に入ったので助けにいくというディザスター映画の定番中の定番なもの。
でも、阪神大震災の3日目に被害の多かった地域の公園で、カップルが集団で静かに抱き合ったりくっつきあったりしてる場面を見たことがある私としては、「よくあるパターン」として陳腐なものに思えません。
あとで聞いた話ですが、あの時も「そんな動機」で行動した人はけっこう多かったし。
ただ、この作品の場合は観客が見ているのは「この映画の体験者が撮ったビデオ映像」というのが基本設定で、映画の冒頭で観客に説明される場所が場所だけに、バッドエンディングな予感に対するハラハラドキドキ感を増してくれます。

世間で退屈に感じる人が多いのでは心配されてる前半のシーンも納得できるデキになってます。
冒頭の彼女の部屋に初めて泊まった翌日の早朝の映像なんかいい感じだったし。
あのシーンから私はこの映画に引き込まれました。昔を思い出して(映画と関係ない話なので以下略)
後で日常が破壊されることがわかってると、(わざと)ダラダラした演出で演出されてる主人公の送別パーティのシーンも、美味しい材料を入れた鍋がグツグツ煮えてくるのを見るようないい感じに見えてきます、
ここでちゃんと、なぜあそこまでビデオ映像が残ってるのか観客にイヤというほど説明してくれてますしね。
うん、彼ならいらないところまで撮るよね。
むしろいらないところを撮ってないと不自然だよね、彼のキャラクターの場合(笑)




これって映画的に1954年版「ゴジラ」と同じくらい評価してもいい作品だと思うくらい個人的にツボだったんですが、個人的にそう思えない理由が一つ。
クライマックスで怪獣がハッキリ映像に出てくるのですが……なんでハリー・ハウンゼン風味のモンスターなんだよ、オイ!
そこは違うだろ!モンスターじゃなく怪獣出してよ!
クトゥルーな恐怖神風味を狙ったのかもしれないけど、あの造形はダメだろ!
私の趣味が偏ってるだけでアメリカやヨーロッパマーケット的には正しいのかもしれないけどさ。

あと字幕も気に入らない…つーか、あそこまでの状況なら「怪獣」という日本語が入るのが普通だと思うんですけど。あと何カ所か気になったところもあるので、DVD出たら吹き替え版で見なきゃ。

ホントは、これは映画館でしか楽しめない映画だと思っていたからほとんど期待しない(だから余分な事前情報も入らずラッキー♪)で見たんですが、見たら何回も見てもいい映画になってしまいました。とくにラスト直前の上空からの爆撃映像とか。
出演してる女の子が皆それぞれ私のツボだということも大きな理由ですが<それはわかりやすい

最後にこの映画を見た直後から気なってたんですが、あの怪獣は何匹上陸してんでしょうか?状況がわからないという設定だからしょうがないけど1匹じゃないですよね、あれ?

あの怪獣がどこから来たのかはどうでもいいですが、こっちは少し気なる。

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2 コメント

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Unknown (たお)
2008-04-14 01:06:29
こんばんは♪
TB&コメありがとうございます!
>1匹じゃないですよね、あれ?
主人公の行く所、行く所必ずいますしねぇw
そういえば、ラストの遊園地のシーンにも何か映ってましたよね?遠くの方に水飛沫みたいな感じで。そうすると、結構前から近海にいたのかも。
にしても、前半のドラマシーンは上手いなぁと思いましたねぇ。『ユナイテッド93』の時もそうだったんですけど、他愛も意味もなさそうな会話の積み重ねで、人物像を構築したから、後半のパニックが活きて来るんですよね。
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事件のあった日は「サタデーナイト・ライブ」も放送中止だったんでしょうね (あんの)
2008-04-14 20:23:58
たおさん こんばんは
こちらこそTBとコメントをありがとうございます。
いやあ、見てる間楽しい映画でしたね。

>ラストの遊園地のシーンにも何か映ってましたよね?遠くの方に水飛沫みたいな感じで。

それ、私は劇場で見た時は全く気づかなかったんです。
もう一度DVDで見るときの楽しみにしときます。

>他愛も意味もなさそうな会話の積み重ねで、人物像を構築したから、後半のパニックが活きて来るんですよね。

まったく言われるとおりです。
「ありふれた日常」を淡々としっかり描くからこそ、後半のギリギリな感覚が生きてきますもんね。
やっぱりパニック映画は街が壊われるスリルより、日常が壊れていくスリルについての演出に力を入れてほしいです。
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