”Scott Walkerに恋して”MadamSwallowのTeaSalon

スコット・ウォーカーをこよなく愛するSwallowとお茶をご一緒しましょう
自作のアップロードをお茶うけに・・・

1976年ラジオインタビューリメイク版

2013-12-09 22:18:36 | インタビュー

 

従姉妹がイギリスのお友達にヒアリングをお願いしたところ、聞き取れなかったところや、ニュアンスの違いなどがわかったそうで、また送ってくれましたので少し楽しく編集してみました。

本当はビデオにテロップで流したかったんですが、手に負えませんで(TT)そこんところは平にお許しを。

                    

ではScottが連れてきたプードルちゃんがスタジオでのっけからオソソウをしちゃったシーンから始まり始まり~

 

Cash:今日は素敵なゲストWalkerBrothersをおまねきしました。ようこそ・・・

  OH!ピープー!!(プードルちゃんがおしっこ!スタッフが擬音で必死に音を消してます)

Scott:Oh・・なんてことを・・ごめんなさい

Cash:あっはっは 大丈夫ですよ。
  さて、Scottはコペンハーゲンに居たそうですが、ほかの君たちはその期間どうしていたんですか?

John: しばらくフランスでぶらぶらしていてリヴィエラで遊んだりしていたけど、お金が無くなっちゃってカリフォルニアに帰っていました。

Gary:僕もカリフォルニアに居て、またイギリスにやってきて(Scottとの話がまとまり)今回のTheWalkerBrothersの再結成ってことになったんだ。

Cash: 解散したときは本当に悲しかったです。もっと長くやってほしかったってね。だから今回の再結成はとてもびっくりしましたよ! 
"No Regrets"が出たのはすばらしいことだし、こうして3人を招き会えたことは本当に嬉しいですよ。

さて、最初のリクエスト曲だけど、私はScott,君は”Love Her"を選ぶと思ってたんだ。でもこれだったとはね!八ッ八ッ

Scott:だって12年間きいたことないんだ。ほんとにないから選んだんだよ(笑)

Pretty Girls Everywhere

  一同大爆笑

Scott:ラブリーだなぁ~!

John:あっという間に時が過ぎてしまったなぁ

Cash:この曲を聴くといつもあることで、あなた方のことを思い出しますよ。スタンホープ・プレイスにある汚い小さなオフィスでお会いしましたよね?

Love Her

John:そうそう、ちょっとこの話、聞いて欲しいんだ。Ready Steady Goが生放送だったの、覚えてる?あれで僕はいっぺんで寿命が縮まったもんだよ!
低音部分、Scottの声だったんだけど。当時はショーは生で行われていてスタジオにスピーカー買って演奏しやすいようにアイズの信号を送ってくるんだ。ところが、それが来なかったんだ!そのときが僕たちが初めてハンドマイクを使った時なんだよ。

Scott:そう、実際それが最初に生でやったショーだった。

John:もう本当にひやひやしたよ。Scottがやめちゃうんじゃないかってね。祈るような気持ちで彼を見たらそのまま歌ってはいたよ。だけどね、彼はマイクを持つ手がブルブル震えるのを両手で必死に抑えていたよ。信じられなかったね。どうして君が歌えたのかわからないよ。

Scott: 言ってみればね、緊張して目がポーチド・エッグみたいにまんまるく見開いたままだったよ(笑)

The Sun Ain't Gonna Shine Anymore

たしかあの時の冬はこれだったんですよね?

J&S:(同時に)あの冬にはまいったね!

Gary:ホントのテーマソングだ!

Cash:ところで去年の夏は素敵な夏でしたよ。ここ(イギリス)に居ましたか?

Gary:ああ、居たよ。すばらしかったね。イギリスにいるとは思えなかったな。

Cash:これはファンの誰もが聞きたいことでしょう。Scottにお聞きしますが、今度はうまくすればずっと一緒にやるんですよね?

Scott: 僕たちは自分たちのなにかオリジナルを作ろうと思っているんだ。つまり、今年の後半にはJohnとLPレコードをプロデュースする予定だし、自分自身のLPも作るつもりなんだ。スケジュールとしては5月頃か、たぶん6月頃かな。こんな具合にオリジナル作品を作ろうとしてますよ。
Garyはイタリアで一枚目を出しているので、そこでもう少し出す予定。まぁどうなるか様子見だね。もちろん3人一緒のレコードも作るし、みんなで一緒に住むつもりだよ。そして他のサイドも(ソロレコード?)やるしね。いいだろう?

 

Cash:素敵ですね。それを聞いて嬉しいですよ。今度出たアルバムも素晴らしいね。好きだな。

Scott:みんなと一緒なら安全ってとこね!儲かる曲だしね 

Hold An Old Friend's Hand

3人の車の個性的な運転手についてジョークを飛ばし合っている。

Cash: ここでBelgrave Road SW1に住んでいる25歳のAnnからのお手紙をご紹介しましょう。
えー彼女とルームメイトのステファニーはWB結成時の最初からのファンなんだそうです。 友人のステファニーに曲を贈りたいそうです。そしてこれから何が起こるのか、なんでもいいから教えて欲しい、ということです。ステファニー、苗字がDaneっていうんだね。GreatDaneっていうのはね、9~11世紀イギリスに侵入した北欧人や犬の意味でね・・・(なんかジョークらしいんだけどScottは軽くいなしたらしい(*´∀`*)

Scott:これからの僕たちのこと?(笑)えーと、彼らはね、おそらく3,4ヶ月のうちに遠いところのポップシーンに進出するつもりだよ。あそこは僕たちにとってビッグな市場だからね。でも長いこと一緒にやってないのでそう救済策にはならないかもしれないな。そこから始めて(注:日本へのツアーという意味じゃなくてレコードを売り出すという意味もあるかも知れない)またここで(イギリス)やっていきますよ。

Cash: good!そりゃあいい。それじゃあこの夏はここに居られるんですね?

WBそろって:ええ居ますよ。夏はいますよ。素晴らしい夏だ。うん、僕らにとって素晴らしい夏だね。

Everything Touches You

Part2

Cash:さあこれからマイクを通して電話の対談ですよ。どうだろう?うまくいくかな?

3人:(笑)

Dave:(再結成に対する賛辞のの後。)Scottに。木曜日に”Top of the Pops"を観ていたんですが、馬鹿げた質問ですけど、なんだかあなたがビクビクしてるように見えたんですが、陰で何か起こったんですか?

Scott: 陰で何か起こったかわかっちゃいました?(笑)何が起こったかというとつまりね。僕たちは生でやらなければならなかったんです。ミュージシャン協定ってのがあってそいつが僕にはちょっと理解できないことなんだけど、Top30圏外にいるときはオーケストラでやらなければならないんだ。で、音がやってきてもそのバランスが悪いと、聴こうとしても今度は自分の声が聞こえないんだ。
30位以内に入れば、ありがたいことに今はそうなんだけど、あらかじめ録音されたオーケストラのバックミュージックに合わせて歌うことができてずっといいんだけどね。まぁでもその状況がいろいろあってね。例えば前の晩よく眠れなかったりとかね。
で、こたえとしてはー・・あの時は全く聞こえなくて思わず笑い出しちゃったんだよ。

Cash:ではお次のかたどうぞ

Lynne:Scottをお願い

Scott:OH~タスケテ(テレ笑)

Cash:Scottは2回JohnとGaryは0回です~はいどうぞお話してどうぞー

Lynn:(ちょっと戸惑った感じで)ハーイScott。あなたが64年にアメリカで一緒にレコーディングしたJohn Stewart、彼はどうしてますか?

Scott:  僕が最後に聞いた話では、彼はサンセット大通りのタワーレコードというところで働いているってことでしたよ。

I’ve Got To Have You

Cash:はい次~

Pam:レコーディングするときは自分で曲を書いているの?

Gary: やあPam、元気かい?今ニューアルバムを作っていて、全部自分たちで書いてますよ。全部やってるから次のアルバムは素敵なものになると思うよ。みんな書き始めているし、これからもね。だからこの期オリジナル曲が増えると思う。

Pam:もし自分で書かないとしても曲は自分で選ぶの?

Gary: ああそうとも。

Cash:次はKathleen.Johnと話す?

Kathleen:ええ

John:こんにちわ

Kathleen:こんにちわJohn。今度の再結成にはわくわくしてるわ。アルバムもとても素敵。私、Joannaの曲にちなんで自分の娘にJoannaって名付けたのよ♥(3人とも嬉しそうに大爆笑!)私と夫と娘のためにJoannaをかけてくださらない?

John:あーあのね。Damonって名のスタッフがいてまた次の機会にかけてくれますよーじゃあねー

Cash:すばらしいよねKathleen.だってあれはScottあなたの曲なんですよね?(笑)

Scott:ああそうなんだよ!(笑)

I’ve Got To Have You

Cash:さあ電話トークだ!Sandoraどーぞどーぞ!

Sandra:・・・

Scott:ハロー?

Sandora:ハロー?

Scott:ハーイ(笑)

Sandora:しばらく前あなたはテレビのシリーズのコンサートをやってましたが、またそういうことは起こりますか?

Scott: いいえ。・・喋りかけようとしたが・・・

Sandora:私隣人のマーガレットに曲をプレゼントしたいんですけれどね云々・・・

cash:どうもありがとう。お次はShellyですね。

Shelly:今までに作ったレコードの中で一番好きな曲は何ですか?皆さんに伺いたいの。

Gary:う~ん・・よくわかんないな。一番好きな曲を選べと言われたらそうだな、’Baby You Don’t Have To Tell Me’かなー。でもわかんないよ。

John:"Archangel"だな。いいレコードだと思うよ。

Scott: No.僕は答えなしだ。

Cash:次の曲、これはJohnのリクエストですね?

John: Oh。’Boulder To Birmingham’ 。これは特別な曲でね。僕の友達がとっても素晴らしく歌っているんだ。

Scott:ありがとうダーリン

John:これは彼が素晴らしく歌ってる事とは別に、ある信じられない女性が書いた曲だからです。

Cash:いつも彼女の助力って事?

John:まあね、きっとそうだと思うよ、ふふふ

Boulder To Birmingham

ここにきて談話海鮮の調子が悪く、少々聞き取りにくい様子のScott。「まぁ僕の言うことはあまり聞こえなくていいんだけどね」とジョーク。

Woman:No Regret'sのアルバムの中ではJohnの"Walking in the Sun"が好きです。素敵に歌ってるわ。でもScottに聞きたいことがあるの。いいかしら?

Cash:どうぞ

Woman:"Plastic Palace People"についてなんですけど。

Scott:plastic palace People?   

Woman: 歌詞があまり好きじゃないんです。なんだか狼狽してしまうというか・・でもあなたは気に入っているんですよね?あれは何を言っているんですか?

Scott:うーん、なにについてかはここで説明するには時間がないし、話が重すぎるのでね。なぜその時それが君を狼狽させたかも、なぜ君が僕を狼狽させたかも今聞いてわかりますけどね。これでいい?

woman: ということは曲がそんな風に聞こえたらそういうことだってこと?

Scott: ああ、そうだよ。OK?

woman: Ok、バイバイ

Cash:正直だね--(笑)

今日は素敵なゲストScott,John,Gary,ありがとうございました。

3人:ありがとう

ラストナンバーMake It Easy On Yourself

 

ちょっとアレンジしちゃってますが、大体の雰囲気と彼らの言いたいことが伝わるようにしました。音声と照らし合わせながら見てみてくださいねー


The Tubu インタビュー

2013-11-12 16:03:01 | インタビュー

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ずいぶん前になりますが、UKのポップ番組The Tubuに出演し、インタビューに答えたことがありましたね。
パンク風のファッションの女性リポーターの前で厚手のダウン?ジャケットに身を包んで騒がしいクラブ風のセットの中で居心地悪そうに座ったScott。

それでも薄い色のサングラスの中の眼差しは落ち着いた大人の雰囲気を漂わせて、時折パチッと指を鳴らしたり素敵なダンディーぶりはさすが。

yokoさんのファイルの中にその時の対訳が入ってましたので、コピペしますね。

                         

Intarvier: 当時、ザ・ウォーカー・ブラザースは、Beat ClubやRegistered Eagleなどの番組に出演していましたが、これらの番組とThe Tubeのような最近の同様なものとでは、雰囲気はどう違いますか?

SW: Ready Steady Goとそんなに違わないよ。この番組は同じような緊張感と刺激があると思うね。 

Intarviuer: えー、最近ソロ・アルバム“クライメイト・オブ・ハンター”をリリースされましたね。“カムバック”という言葉を使うのはイヤなんですけど(オクビみたいな声) カムバックするのに特別にこの時期を選んだのは何故ですか?

SW: カムバックという言葉は僕も使わない。次のアルバムに向かっていくだけだ。

Intarviuer: ではこの特別な時に発表する、特別な理由はなんですか?

SW: いろいろ沢山のことがあって、それを説明(到達)するには4つのTubeを使わないとね。そんなに面白い話じゃないが物事には時がある。それが今、この時になったということさ。

   (注:4つのTubeとは、この番組にかけていったのかも知れません)

Intarviuer: 60年代、ザ・ウォーカー・ブラザースがものすごく人気だったのであなたはとても有名でした。その頃は本当に胸がどきどきしましたよ。そのような名声が消えると人はすっかり混乱するものでしょう?対処するのに大変ではありませんでしたか?

SW: いや、私には安らぎだったよ。他の2人はどうだったか解らないがね。聞いてみないと。

Intarviuer: 新しいアルバムを出してザ・ウォーカー・ブラザースの時のような反応があると思いますか・

SW: いや、期待してない。

Intarviuer: まったく違うことをやろうとしているのですか?

SW: うん。ただ自分がソロでやってきたことを続けているだけさ。やめた後も希望を持っていくつかの作品を取り上げているよ。

Intarviuer: そして、アルバムのある曲にはちょっと普通じゃない名前が付いていますね。Track3,Track5,Trak7,Track8など。何故名前が無いんですか、Scott? 

SW: うん、そうだな、想像力が沸いてきてほとばしりでているんだ。 そのままで完成していると思った。タイトルをつけると偏ったり、重すぎたりしただろう。これが初めてのことかどうか知らないけれど、誰か以前にやってたかもしれないね。

Intarviuer: ニュー・アルバムではあなたはバンドの一部ってところですよね。ザ・ウォーカー・ブラザースの時は3人で歌ってバックにオーケストラという          ものでしたけ ど、今はこのようなほうが楽しいですか?又、歌を唄う気にはならないんですか?ただひとりで?

SW: いや、いや、私はさっさと準備して、さっさと歌えるタイプではない。環境が完全に揃わないとうたえない。特に今は。

Intarviuer:  そうですか。わかりました。ではニュー・シングルとヴィデオです。観て見ましょう。

 

このセットは騒々しくてScottはたびたびパンク嬢に耳を傾けて聞き取ろうとする様子が見られます。
私のまったくの私情ですが、このときのこの番組のScottに対する扱いは非常に失礼な印象をうけました。
なんでScottがこんな番組でアルバムの宣伝をしなきゃならないんだろう?そう思って胸が痛くなりました。もうすこし敬意を払って欲しかったと思います。でもこれが現実だったのでしょうね。とても残念です。

 


Scott フランスの音楽雑誌CAHIERS DU CIHEM  1999、5月号インタビュー

2013-11-06 20:44:35 | インタビュー

 

サロンの素敵なお客様のおひとり、yoko-kyotoさんが、先日ご紹介した再結成WBのインタビュー録音テープに続いて1999年Scottが初めてサントラを担当した〝POLA X”についてフランスの音楽雑誌のインタビュにー答えている大変珍しい記事の対訳を送ってくださいました。

                   

      〝ウォーカー ミーツ カラックス”       オリビエ・ジョワイアル
                            ジェローム・ランシェル

       Walker meet Carax

甘い声で歌うすばらしい主流のミュージシャン、スコット・ウォーカーは30年の間、ポップと実験的な音楽の境目や、呟きと叫びの探求を止めることは無かった。
まず、60年代のウォーカーブラザースの歌手として成功し、その後、一般の人は無関心になり、何人かは賛美する中で、孤独の道を選び、何年もの沈黙のあと〝ティルト”とともに1995年に戻ってくるまでは、ロック史の中で主要な一掴みのディスクを発表しただけであった。それは壮大で、危険で、世間から離れたものだった。
レオス・カラックスはそれを聴いた。結果、PolaXは3つの世界が平等に交錯するように現れ、自然に出会うことになった。つまり、ハーマン・メルビルの脚本と、カラックスのイメージとウォーカーの音である。
私たちはその音楽がカラックスの映画の望みのこだまとして、より素朴に、より暴力的に、メルビルの脚本を開く動きを直接的につかむことが 出来たのかどうか聞いてみたかった。どんなふうに、音の建築家として映画音楽の題材に取り組んだかを理解するためにスコット・ウォーカーと話すことを願った。そしてものすごい孤独な2人のアーティストがどのように運命を結んだかを。

以下スコット談

CARAX/LE FAX

レオスは私に2,3年前FAXを送ってコンタクトをとってきた。そして私と話すために彼はロンドンにやってきた。

私は彼の映画に対して不思議におもっていた。カラックスは、ブレソンのような軽業師で、過激なアーティストだ。彼のフィルムは存在するものの中でより現代的でより明快だ。今の時代に残っているもろさに立ち向かうやり方は私の心を打つ。まして、彼は音楽を聴くことを知らないほかの監督と違って、音楽を非常に良く知っている。
私たちは彼を騙せない。彼は私にプロコフスキーやベートーベン、ポップを送ってきた。そのことには私は驚かなかったけれど、彼が私の1995年のディスク、〝Tilt"について話すことをやめなかったのだ。彼は、私にそれを何回も聴いて、そしてTiltの中にひとつのインスピレーションを見つけて、それがかれにとって私たちの出会いを必然的なものにしたのだと語った。

私には彼の映画のイメージを最後まで見なくても非常に想像することができた。
ただひとつだけこまったことがあった。倉庫のシーンで、私は非常にうるさい音楽を書いたが、私たちはその音楽が金属の彫刻とか、地表に対しての発想ととらえた。ところがそれは違っていた。たぶん、反対のことが起きてしまったのだ。
カラックスはイメージに到達する前に音楽を聴いてしまったのだ。これは私にとって重要なことであった。
彼みたいに私が自分にとって、作品の方向性について近く感じられ、感動できる人はいない。
2人で頼ったり、限界なしに感情とか本質についての仕事を した。

MUSIQUE AVEUGLE,IMAGE A NAITRE

カラックスが私に課した唯一のことは、メルビルの小説を読むことだった。そしてかなりの時間がたってからシナリオを送り届けてくれた。
うまく仕事が成り立つまで2年間もかかった。
奇妙な経過を過ごした。カラックスはワンカットも撮ることもなく、イメージ無しに私に書くことを望んだ。
森の中で兄妹だと暴露する長いシーンに伴うメインにのイザベルのテーマなどだ。そして、オーケストラによって演奏される片や実験的な音楽、片やクラシックの管弦楽というまったく違った音楽が、全体として大きな倉庫でのテーマと繋がるように望んでいたのだ。
私は手作りで連結した。できるだけ大胆なテーマを書くことに苦心した。自分の意見では、まだ存在していないのにイメージに答えるといったことだったので、音楽によって黒 のきれいなイメージを感じさせなければと考え、カラックスもそれを望んでいた。
もっと難しかったのはイザベルのテーマの時、ひとつだけの音で表せるようなメロディーをイメージし、大きなオーケストラを避けるようにしたこと。
そこで、私が先に話した2つのシーンに対応する2つの違ったオーケストラと自分の演奏家とともにロンドンで演奏するために書き加えることにした。
実験的な部分の時は、衝撃的な音で9人のギタリストと1人のベーシスト、2人のドラマー、3人のパーカッショニストが私と一緒に演奏した。そしてイメージを撮影し、フィルムを回し始めた頃、今までのシーンの写真を私に送るとカラックスは言った。デモもうその時には私の仕事はほとんど終わっていた。
彼はモンタージュを作るためにもう私の作品を使っていたのだ。 カラックスは引き続きフィルムを回し、表現したい荒々しさと勢いを見失わないようにモンタージュを作っていった。

LE TRAVAIL, LES POSTURE

倉庫のシーンの時だけスタジオのセットに立ち会った。
レオスは実は、私がミュージシャンの指揮をするのをあまり望んでいなかった。私が彼らの総監督であることを望んでいたのだ。なぜなら、
演奏されているところの音楽は音だけではなく、動きも音楽だからだ。 
そこで私はオーケストラの指揮の役者に、姿勢が正確で、動きを少なく、楽しんでいるようにみえていないということを確かめに会いに行った。

そのシーンの時、最後にはすでに録音されている音楽とミュージシャンが演奏しているのを同時に使った。全部ライブで録音するのはすごいリスクがある。それにすごくうるさすぎたと思う。カラックスはイメージはコントロールできたが音はできない。
私にとっては強烈な体験だった。私は映画音楽に対して偏見をもっていなかったし、カラックスを信頼していた。そして理想的にうまくいったのだ。
私の人生の中で、フランスでの録音の間は一番の思い出だ。私のミュージシャンの何人かと、フランスで一緒に仕事をした人たちは、誰も映画の音楽の演奏には慣れていなかった。彼らが演奏していた中から生まれた明るさ、新鮮さ、深い人間味は私に深い感動を与えた。

LES TROIS TEMPS

それらの音楽は、同じ条件でもなく、同時期に作曲されたわけでもない。主要な2つのテーマを終えてから残っている仕事を始めた。それはイメージから作曲したもの。映画と同じ構造と繋がるように進行させていく。まず、インスピレーションが原点にあって、それはティルトのなかの〝The Cockfighter"の歌から生まれたのだ。モンタージュと流れを展開させる重要な役割を果たしている。
また、映画の前半のシャトーでの生活の場面は、一種のクリーム覆われてた状態で出、マイケル・ニーマンの作品ではないけれども、音楽の中流階級と温かさというテーマという、古いものと新しいものとの出会いがある。観客が落ち着き始めたのに惨劇と騒ぎが始まって急に何もかも暗くなる。

 

L'APOCALYPSE ET L'HARMONIE

私の音楽を通して私が自然に探していた表現は、カオス(混沌)の中にも組織化されたものであった。カラックスはそれを知っていて私を選んだのだ。生産的な音楽の研究方法はティルトのように映画の中で一に瞬現れ、それは価値のないものに過ぎない。私の感覚と考えのただの結果でしかすぎない。他方では異質な要素からなりたっているそれぞれの楽譜をまったく関係無しに組み立てた。なぜかというと、もともと資料はメルビルの脚本が幽霊みたいで、矛盾せいをはらんだ可能性の多いものだったから。そういう意味で、私のポーラXの楽譜の一番重要な追求は、混ざり合ったり、一致したり、綴ったりするノートから調和が始まっている。それが早くから演奏したらうるさい音楽になっていた。だからその音楽は私にとっての出発点ではなかった。それは2つの音が対決していて不調和と調和の動きなのだ。カオスはハーモニーと不調和がひとつ消失するまで、重ね合わせて完璧になる。
森の中のシーンの時、聞こえる音楽の中では、不調和音と音の急変のところがあり、私はとても大好きだ。

 

LA MUSIQUE DE FILM 

作曲は大変だった。。いままで映画音楽を書くことは一度も頼まれたことは無かった。歌と映画音楽の大きな違いは映画を必ず観ているというイメージの感覚だ。しかし一方で私の作品の構造にある音楽というものを考えねばならない。それに他人と仕事をしなければならない。ティルトのような仕事は私のミュージシャンたちに守られた孤独な仕事なのである。
ポーラXは二人以上」、時々はそれ以上で仕事をした。私のミュージシャンとしての仕事は詩の深いところに瞬間的に自分の身を置いてみることだ。詩を作ることは非常に難しいことなのだ。レナード・コーエンはそうやって詩を作るし、ルー・リードは詩のように歌を書いている。言葉だけでも私的な意味はある。私は歌に愛着を抱いていて何年もかかって作る。音楽の前に作る。本物の詩ではないが。
言葉は戦場の小さな兵士のように散り散りになっていく。イメージ~映画のイメージ~音のイメージは後からやってくるのだ。イメージは言葉から生まれる。ポーラXは私にとっては初めて始めから脚本があって、いつもの作り方とは離れていた。

SEUL LE CINEMA

 私はいつも雰囲気を作ることが大好きだ。Til The Band Comes Inのアルバムは子供たちの騒ぎ声が聞こえる。視覚的な瞬間なのだ。個人的には映画の」影響を沢山受けた。
アメリカに住んでいた若い頃、外国映画をみて過ごすことが多かった。またデンマークで過ごした時、ブレソン以外にドレイヤー、タルコフスキー、ベイルマン(私のヒーロー)などを発見した。パゾリーニに関しては彼にFarmer In The Cityを献呈したのだ。彼の映画より彼の死に興味がある。彼が殺された人気配の無いサッカー場を思って、抽象的な証明を重々しく歌うことが浮かんだのだ。
私は映画音楽が大好きでジェリー・ゴールドスミスを尊敬し、アレックス・ノースをすごいと思っている。大変興味深くて豊かだったひとつの時代の産物なのだ。
私はたぶんまたはじめるかもしれない。自分の映画であるアルバム、ティルトは非常に抽象的でこの映画での経験が私にどのような影響を与えるかどうかわからない。音楽というものは内省的なもので、映画での体験はよく似ている。無意識のうちにオペラなどが以前にも私に影響を与えていた。なぜなら私は座って、真っ暗な中で映画を聴いて時間を過ごしたから。

                                                                           訳:yoko-kyotoさんです

いろいろ彼のインタビューは紹介されていますが、このポーラXについては彼はこの雑誌にだけ、1度しかインタビューに答えていません。大変貴重なものです。yokoさんに改めて感謝の拍手を贈ります。有難うございました。

なお、このほかにも続編があります。次の更新でまたアップいたしますね。今日はここまでです。