オレンジ屋根のピエール

読書好きの覚書。(過去の日記は老後の楽しみ♪)

『まつりの夜、ぼくたちは。』

2018-07-05 22:23:24 | 本と雑誌

『まつりの夜、ぼくたちは。』 咲間 十重 著 (三交社)

明日から夏休みを迎えた終業式の日。この日は夏祭りのため、絶対に学校を早く去りたかった。
祭り恒例の射的でトップ成績を収め、地元でちょっと幅を利かせたい。
そして、祭りのメインイベントの勇壮な山車を見物したい。

早く帰りたい園田は、よりにもよって新聞作りの課題を居残りで仕上げてしまわないといけないという拷問にも似た命令を担任から受けてしまった。
この若い女性教師は、こうと決めたら頑として譲らない。

しかし一人ならどうにかなりそうな課題も、グループでまとめなければならないのだ。
そのグループのメンバーが気心の知れた友人同士ならまだしも、揃いも揃った、どのグループにも属さない変わり者で有名な者ばかりが集まったグループの一員になってしまった。
だれとでもやっていけるタイプと周りからみられて、一人少なかったこのグループに入らされてしまったのだ。

そのメンバーとは、頭脳明晰の秀才だが口が悪く他人を寄せ付けないタイプの仁羽、女の子のように小柄で見た目もかわいいのだがマスコットのあみぐるみに名前をつけて肌身離さず持つ成島、
常に眠そうで実際すぐ寝てしまい授業中も教師から目をつけられているがマイペースの遠山。

課題も全員があまりにバラバラに仕上げたために、担任から統一感がないと指摘されてのことだった。
そして彼らは、終業式のあと、図書室で新聞作りに入るが、なかなか意見がまとまらず仕上がらないが、どうにか早く帰るためにまとめようとする。
そうこうしているうちに、いつの間にか夕方になり祭りの開始が迫っているというので帰ろうとしたその時、扉があかないことに気づいた4人。
学校に閉じ込められてしまったのだ。

なんとか脱出しようとするが、次第に日が落ち暗闇となっていく中、彼らはいったいどうやって校舎を出るのか・・・?


はじめの時点で、ややファンタジーが入るのかな?と思わせるが、そこの部分はあまり重要ではなくて(終盤、少しは関わりがあるのだが、話の大筋からそこまで重要ではない)、少し予想とは違った展開になった。
しかし、暗闇の中であまり仲がいいとは言えない4人が、どうやって力を出し合って脱出を試みるのか?

4人しかいないから、暗闇だから、本音を出せる環境に、お互いの秘密を知っていくことになる。
それぞれの弱みを知ることができたからこそ、信頼関係が出来上がり、協力することができる。

よく知らなかったクラスメイトが、人生一番の親友になることもある。

コメント
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