~他人と比べるな、昨日の自分と比べよう~

昔話の自動車屋
松江市鹿島町 (有)田村モータース
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フライホイール破損(クラッチオーバーホール)

2012年01月23日 | 修理整備全般

トヨタ ランドクルーザー KZJ95 1997年

クラッチプレートの摩耗による走行不能と思われる症状で入庫。まったく走行不能というわけでもなく、走行できたりできなかったり。いずれにしてもクラッチを踏みかえたりするとガラガラ音も出ました。これだけの音が出ているのに走れることもある、というのも不思議ではありました。

さっそくミッションを降ろしてみます。大型車なのでリフトは使わず、リジッドラックにて作業します。通常の4点プラス、2点ほど保険をかけて支えます。ミッション後方をかなり下げないと上のボルトが外れないし、ミッションを引き抜くときにセンタートンネルにあたって抜けません。

そのため、フロントデファレンシャルも落とします。ボルト類が結構知恵の輪になっていますので、難しいです。

クラッチ、プレッシャープレート、ともにへたっていましたが、一番の問題はフライホイールでした。

クラッチハウジングの内側にミッションオイルでもない油の塊がべっちょりです。

Dscf4009

フライホイールの白いペンキマークの位置が次の写真とその次の写真で違うのがわかります。

Dscf4014

Dscf4013

クランクに取り付ける中心部と、プレート部が分離構造になっていて、ゴムかスプリングかでダンパー効果を持たせているようです。でも、正常な部品であれば人間の手ではここまでずらすことはできません。明らかに内部破損で手で動かせてしまう状態になっていたのです。

今回は単なるクラッチ焼けでなく、フライホイールもよーく見ておかなかったら、あの重いミッション脱着を2回やるはめになっていたところでした。

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アイドリング回転数初期化

2012年01月21日 | ダイアガン X-431(故障診断機)

2006年式 日産セレナ C25

車検入庫いただきました。どうもアイドル回転数が高すぎるようです。エンジンスタートで一気に3000rpmぐらいまで吹け上がり、Dレンジにするとまた一気に下がり、Nにもどすとまた3000ぐらいまで上がります。暖機運転だからかと思いましたが、ほかのC25とくらべても高すぎます。暖機後も高かったです。

エンジンルームを見るとバッテリーが新しく、お客様が直前に交換されたようです。

いわゆる「TAS学習ができていない」状態になっているのでしょうか?

日産の場合、TAS学習は手順を追っていけば診断機なしでもできるようですが、今回はダイアガンX431で実施してみたいと思います。モニター期間終了まで積極的に使いたいと思います。

まず故障コードを念のため検出します。

C25_4_j

んっ?コードが入っています。しかも「ISCシステム」というアバウトな指示です。

話がそれますが、こういう点がX431の評価が低いところかと思われがちです。故障診断で重要なのは、その結果をどうとらえてどういった修理に結び付けるかが重要です。なので、このケースで大事なのはP0507がジェネリックOBDでどういった故障を示すか、メーカー固有で意味が異なってくることはないか、など総合的に判断することです。日産車でP0507はどういう意味でどう対処しなさい、一から十までご丁寧な解説はありませんが、価格やBluetooth機能にメリットを感じているので、あまり問題はないと思います。解説がなければ、調べればよいし、データストリームやアクティブテストを使って、確信を追求していけばよいのです。

具体的にはP0507は、目標アイドル回転数より実回転数が高い、という意味です。(P0506はその逆)

バッテリー交換時の詳細が不明なのでなぜ故障コードとしてストアされたのか不明です。何か不具合があるかもしれません。それか日産はバッテリー交換時にメモリー電源を取っていなければ、すべてこうなるのかもしれません。

ちなみに完全暖気時のリアルタイムデータです。

C25_5j

水温は90℃以上あるのに回転数は1000rpm以上あります。

次にTAS学習をさせます。機能がいくつか選択できるので指定して実行します。

C25_3_j

いろいろと機能があります。時間の都合で試してみていませんが、メーカー固有のテストができるようになっています。

通常、車載コンピューターの自己診断機能は大きく分けて二つあるとイメージできます。一つは運転中ある一定の条件がそろうとそれがトリガーになって診断を開始します。(断線短絡チェックなどは常時診断していますが)

2つ目は、外部の診断機からトリガー情報を入力してやると、車載コンピューターにあらかじめ用意されたプログラムが起動され診断を行うケースです。

メーカーによって違うと思いますが、外部診断機がまず、通信準備のコードを送り(IDやパスワードのようなもの)、起動させたいプログラムの番号を送り、必要があればその数値も指定します。そういった一連のデータながれが、例えばCAN通信のデジタル信号として送信されています。

こういった汎用診断機でも、メーカー純正の診断機+そのメーカーの車を準備してそのデータを解析すれば、同じ作業をさせることができる、ということだと思います。どれだけ豊富な作業サポートを準備できるかは、その診断機メーカーさんの根気と努力です。

ダイアガンX431はその価格、ボディーに比較して、非常に豊富な機能を持っていると評価できます。(翻訳などの難点はありますが、英語が得意な人は、英語設定にして使った方がよりわかりやすいかもしれません)

これでTAS学習完了です。

アイドル回転数が下がりました。

故障コードも再ストアされることはなくなりました。

C25_6_j

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過荷重でABSランプ点灯?

2012年01月20日 | ダイアガン X-431(故障診断機)

MC21S 2001年式

ガソリンスタンドでポリタンクに灯油を入れてもらって帰っているときにABSランプが点灯した、ということで来店されました。来店時にはすでに灯油は降ろしておられたので、再現テストができず結論が断定できませんが、あまりにも後ろ荷重が重すぎて前後輪の回転差が発生したために、故障コードがストアされたのではないかと推測されます。

Nasumc21s_abs

しかし、あいかわらずX431は翻訳が上手ではありません。

「歴史的な故障」???

いわゆる過去故障コードのことだと思います。

ペンディングコードのときはどんな翻訳になるか見ものです。(単純に仮故障となるかも)国内仕様車自体、新規制のJ-OBDに対応した車が出回ってないという現状もあります。J-OBDの故障診断では、断線/短絡以外に、触媒モニターやO2センサーモニター、が追加されるので、このような良否判定がきわどい項目は、「一回様子見」のペンディングコードが出てくるはずです。

でも、過去の国産車でも燃料モニター(フィードバック量ずれモニター)などの機能が搭載されている車もあるので、こういったケースではペンディングコードがストアされると思います。

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ファミリアSワゴン

2012年01月20日 | 修理整備全般

BJFW 14万キロ走行 1999年式

どうもエンジン回転が落ち込みすぎる、ということで来店いただきました。お客様もご自分でお調べになっており、アイドルスピードコントロールバルブではないか、ということもおっしゃっていました。

ただ、アイドリングなどで一瞬失火したような反応もあるため、ISCの作動の問題ではなさそうな雰囲気でした。まず気づいたのはインマニからエアを吸っているような音。さっそくパーツクリーナを吹きかけたりイヤースコープで音を探ったりして、場所の特定をしました。

結果、インマニとヘッドのあわせ面からのエア吸いを発見しました。インマニのガスケットを交換となりましたが、インマニ外しが結構大変でした。下からの作業があるので、エキゾーストパイプを外したり、スターターを外したりと、時間のかかる作業でした。

(この車、スターターのケーブルがぎりぎりに短く設計されており、ボルトを外しただけでは簡単に外れない。スターター本体を外しながらケーブルも外さなければなりません。)

お客様のご要望で、アイドルスピードコントロールバルブも念のため外して点検しました。14万キロ走行なので、カーボン等の堆積を予想していましたが、問題なし。

Dscf4211

ISC

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