雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第二十七節

2010-09-22 13:05:18 | Dear to me
中に入ると、広い店内の奥の方まで商品が所狭しと並んでいる。
確かに、ここなら何でも揃いそうだ。

さて・・・と、雄二君は一言おいて
「カナの買う物から見て行こうか。俺の分は適当に拾ってくから・・・え~っと、何が要るんだっけ?カナは・・・」
雄二君はそこまで言ってから、気恥ずかしそうに頬を指で掻いた。
先日の一件から私の事を名前で呼んでくれるように意識してくれているけど、まだ慣れていないみたい。

(お姉さんがいたら、ニヤニヤしながら弄られそうだなぁ)

香奈穂は出来るだけそこの処に触れないようにしつつ、先に進めた。
「ケーキの材料って言っても、そんなに沢山じゃ無いんだよ。基本は薄力粉と砂糖と卵とバターと生クリームと・・・」
香奈穂は指折り数えながら、材料の名前を挙げていく。
「それと今日は苺のケーキだから、主役の苺もだよね~」

すらすらと話す香奈穂を、雄二は感心した面持ちで見ていた。
「へぇ~、すごいんだな」
「でしょ!でもパウンドケーキなんてもっとね・・・」
雄二君は横に手を振って、
「いや、確かに思ったよりも材料が要らないのは少し驚いたけど。すごいと思ったのはそっちじゃなくて、カナはホントにお菓子作るのが好きなんだなぁって」
「えっ!?そう・・・かな?」
突然の言葉に驚く香奈穂。
「変な意味じゃなくてさ。ケーキの話してる時すごい楽しそうだし、この前持って来てくれたお菓子もそこらへんのお店で売ってるのよりも美味しかったし」
「そんな!褒めすぎだよ。それに雄二君は料理得意なんでしょ?そっちの方が絶対すごいよ」
雄二は首を横に振って
「俺のは必要にだったから仕方なくだよ。嫌いって訳でも無いけど、趣味って言える訳でも無いから。」
そして、香奈穂には聞こえないくらいの小さな声で「最近はそうでもなくなったけど・・・」と呟いた。

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