雑記-白堂別館-

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第十六節

2010-05-03 07:22:02 | Dear to me
(・・・もしかして?)
「えっと、あのね、お姉さんからお誘いがあって、それで・・・」
しどろもどろになる。そもそも雄二君の携帯でお姉さんが電話したのだから、私が来る事くらいは知っているはず。

いや、そうじゃない。
そうじゃなくて、普段出てこないであろう雄二君が応対に出てきたってことは・・・
「ごめん、姉さんなら今、買い物に出てる」
(あぁ~やっぱり!)
雄二君が出てきた時点で薄々そうじゃないかと思ったけど、お姉さんもわざわざこんなタイミングで買い物に行くなんて・・・

「姉さんならすぐに帰ってくるけど・・・寒いから中に入って待つ?」

お言葉に甘えて、お家の中に入れてもらうことにした。
今日はいつもより寒くて、外にいると風邪を引いてしまいそうだ。
(それに人目も気になるし・・・)

部屋に入ると、前に来た時には無かったこたつが置いてある。
私の家には、置いてないのでちょっと新鮮だった。
好奇心に負けて足を入れると、あるはずの床が無い。
油断してバランスを崩してしまい、少し変な声が出た。
一回出て毛布をめくって中を見ると、いわゆる掘ごたつになっているではないか。
こたつですら珍しいのに、掘ごたつなんて初めてだからちょっと感動した。

掘ごたつの中で足をぶらぶらさせながら満喫していると、奥の台所らしい所に入った雄二君がトレイを持って戻ってきた。
「レンジに入れて熱くなってるから、気を付けて」
目の前に出されたホットココアからは、ココアとミルクの甘い匂いが湯気と一緒に漂っている。
雄二君にお礼を言って、ゆっくり一口飲むとお腹の中から温かさが広がっていった。
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