雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第二十六節

2010-07-04 13:34:25 | Dear to me
目的地のスーパーが見えてきた。
テレビのCMや広告のチラシなんかでよく名前を聞く、結構大きなチェーン店だ。
この辺りはあまり来ることが無かったから今まで知らなかったけど、入口から見えるだけでもお店の中はだいぶ広そうだ。

お店を見上げながら「おぉー」と声をもらす私をよそに、雄二君はお店の入口まで進んでいる。
慣れた手つきでカートにカゴを積んでいるのを見た私は、置いて行かれないように少し駆け足で雄二君の所に向かう。
(もしかして・・・怒ってる?)
ゆっくり雄二君の顔を覗くと、怒っているどころか押し殺したような小さな声でクスクスッと笑っていたのだ。

「いや、ゴメン。まるで遊園地に来た子供みたいな顔してたから」
「ひどっ!同い年じゃん!?」
私は雄二君の中に間違えようもない程に、お姉さんと同じ遺伝子を見た。
と言うよりは、これが雄二君の素なのだ。半年前では当たり前だったはずの・・・
ダメだ、ダメだ。
私がそんな暗い気持ちになって、どうするの!
せっかく雄二君と一緒に買い物に来られたのだから、今はこの時間を素直に楽しまないと!
今度は隠さず笑い声をあげる雄二の隣で、香奈穂は同じ様に笑顔を見せた。
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