雑記-白堂別館-

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第二十九節

2010-10-18 13:33:27 | Dear to me
何故かダチョウの卵が置いてある卵売り場の中から難無く卵を手に入れ、最後に残った苺を求めて青果コーナーへと向かった。

この季節とあって青果コーナーには『イチゴフェア!!』と書かれた看板のある一角に、数多くの苺が並んでる。
中には普段見ないような種類もあって、それぞれの苺のパックの前には品種名と簡単な説明の書かれた貼り紙がある。
「苺って結構種類あるんだな」
「私も初めて見たよ」
ちょっとの間二人で試食を味わいつつ、紅い絨毯さながらの苺を見て回った。

「どの苺がするとか決めてるの?」
「お母さんから幾つか教えてもらったけど・・・」
普通ケーキに使う苺は甘いものより、少し酸味のあるものの方が向いている。
並んでるものの中に教えてもらった名前は二種類あった。
私は『女峰』という品種のパックを一つ取り出した。
「うー・・・これにしよっか」
「にょ・・・ほうって読むのか。へー・・・初めて見たな。これだけなの?」
雄二君が隣に来て、横からパックをのぞき見た。
「あるにはあるんだけど・・・」
私はちょっと離れた所に置いてある貼り紙をゆっくり指差す。
「レッドパール?こっちの方が大きくて紅の色が濃くて良いんじゃないの?」
「雄二君・・・それの値段見て」
「値段?あー貼り紙に書いてあるけど・・・うわっ!」
そうなのだ。女峰とレッドパールだと三倍近く値段が違うのだ。
お母さんのお店でも、この苺を使っているのは一部の特別なケーキだけだ。
私の話を聞いた雄二君は、
「そっか。じゃぁこっちにしよっか」
レッドパールのパックを手に取った。
「えっ!?雄二君『じゃぁ』の使い方おかしくない!!?」
「年一回のイベントなんだし、ちょっとの贅沢くらい姉さんも文句は言わないよ。むしろ安いのを選んだ方がブーブー言うと思うよ。姉さんの性格上」
それでもまだ納得出来てない私に、気にしない気にしないと雄二君はレッドパールのパックをカゴに入れていった。

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