7年前の愛媛県PTA連合会創立50周年記念誌より
石井小学校PTA 菊池浩志
3歳3ケ月の息子が、幼稚園の門をくぐった。母親の手をとって出席した晴れの入園式の次の日には、
もう一人でバスに乗ってお兄ちゃんと通園だ。あれっ、ママは?不思議な気持ちだったのだろうか。
バスには元気な笑顔で乗り込んだ。がしかし、その日一日幼稚園で泣きはらしたという。
顔をしゃくりながらバスを降りてきた遅い午後、母親ももらい泣いた。
両親が重い気持ちで迎えた2日目の朝、息子は昨日の事が嘘の様に明るい笑顔で園生活を乗り切った。
ホッと胸をなでおろす両親。
眩しい笑顔に満ちた菊池家の3日目の朝、”いってきます”と言うハズの玄関先で、
「僕、幼稚園行きたくない」と漏らした3歳の息子。驚きと焦りの顔と顔・・・何とかバスに乗せて送り出す。
瞼の裏に浮ぶ困惑いっぱいの息子の表情、気を揉む母親
ある雨の朝、泣きわめく息子を担当の先生と一緒にバスの乗せる母、社内に暴れ飛んだ息子の長靴、
その光景は母の瞳に焼き付いた。起床一歩手前の布団の中、母親に擦り寄る息子、「ママ、今日、
幼稚園お休み?」思わず我を忘れ抱き寄せたくなる瞬間、母親は今一度自分の気持ちを力の限り抑え込む。
「響ちゃん、今日も泣いてたよ」 1歳年長の兄も気を揉んで母に報告。丸一年前の兄はもうそこにはいない。
1年の歳月と数知れぬ体験が、多感な幼児の成長を押し上げる。
息子が幼稚園に入った記念すべき日、それはまさに子供の社会への旅立ちに他ならない。
幼い我が子は、同世代の仲間と共同生活を通して、協調、対立、優しさ、思いやり、礼儀、奉仕、そして何より
独立心を体得していく。そして両親は、正しいスタンスで息子のその成長を見守っていかなくてはならない。
それはまさしく、子の親離れではなく、親の子離れに他ならない!
子供達と離れ離れに暮らし始めて丸2年半が経った。長いようであっと言う間だったのかもしれない。
この2年半、3人の子供達の事を思わない日はない。何を思っていたか・・・!?
俺が居なくても大丈夫だ!父性が欠けた分、きっと社会(母親も含めた)が補ってくれるんだから・・・
ずっとこの文集を心の中で読み返し、俺が居なくても強く生きろ!自分の事は自分で考えて行動しろ!
自分で結論を出した真偽や善悪や優越を、自分の責任を持って対応しなさい。
18歳を前にして、長男は自分の進路を自分で決めた。私の想像(葛藤)を超越して 看護師になる。
地元の大学に入って、地元の医療に献身するのだそうだ。母親や弟妹を支えながら・・・
その決断を下した時点で父親を超えたと思う。
だから本当に俺は、息子の親離れを心から祝福し、且つ俺自身の子離れをシッカリ自覚しようと思う。
