天井板崩落

大規模地震等の自然災害以外で（先の東日本大震災直後に発生した震源を長野県とする大規模内陸地震の影響を疑う声は在るモノの・・・）高度成長期に造られたインフラが経年劣化で崩壊して人々の命を奪った例は少なかった我が国だったが、これ以後は、従来の「日本の安全神話」を疑って掛かるべきなのカモ知れないと思う。

過去記事「インフラの老朽化 2012-08-02 19:39:20 | 独り言」でも書いたが、我が国高度成長期時代に整備された大規模インフラは設計寿命を迎えつつあるのは詐らざる事実だが、特に・・・１９７３年と１９７９年に相次いだオイルショック時期、及び、それ以降の数年間に設計施工された大規模インフラは技術的蓄積も未熟なまま強力なVE(バリューエンジニアリング)を推進したので、そのツケが回ってきているのカモ知れない。VEとは、より少ない資材、より少ない工数及び、廉価な代替資材で、同程度の機能を有する製品を設計する思想であり主にコストダウンによる価値向上を目指した設計思想である。

今回の事故を未然に防止する事は出来なかったのかと管理者である中日本高速道路会社に批判が集中するのだろうが、悲しいかな今回の事故を受けて、今回の事故が起きた笹子トンネルと同じ構造の道路用トンネルで(今回の事故で判明した範囲での事故原因に対する)点検実施は増え（それに関する）安全は確保されるだろう。今回の事故発生以前に、全国の同種の構造のトンネルで今回の事故を未然に防ぐに足る安全点検が充足していて然るべきだと思うのは、「日本の安全神話」教信者の妄想だろう。事故が起きて初めて事故原因の究明が進み、事故を未然に防ぐ点検体制、施設寿命を延長する延命保守体制が整備されていくと云う後手後手の対策の積み重ねで「日本の安全神話」は成立しているのだ。事前に起きる可能性がある危険性の排除を予測し尽くし万全の安全体制を施しておく事はVEの思想には反しないモノの馴染みが薄いのだろう。

もし社会の公器を自認するマスコミが「日本の安全神話」への国家的不備を他人の罪として糾弾するツモリなら、自らが安全への脅威を管理者に問い質していき「日本の安全神話」をより強固なモノとする義務も果たすべきだろう。尚、日本全国で通過する多くの人々の貴重な命を担保しているシールド工法トンネルのシールドセグメントの寿命も満期を迎えつつあり、延命工法で辛うじて寿命延長を施しているのが現状だが、限られた予算措置の中では後手後手に回っているのが悲しい現実なのである。過去記事「総花的展開が出来ない今後の日本への提言 2010-12-21 21:52:03 | 独り言」に触れたが・・・人々も社会もインフラも・・・高齢化したと云う事か・・・