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続・尖閣諸島問題

2012-10-11 19:26:33 | 時事草論
日中双方から見ても、尖閣諸島問題は資源問題であり同時に米国が関係する戦略的・外交問題である。もはや、領土問題は存在しないと云う日本政府の姿勢には無理があるだろう。

日本側の報道では、石油資源や天然ガス資源が豊富であると知ってから中国は急遽領有権を主張し始めた。尖閣諸島問題と共に竹島問題では、対立の原因は中韓両国の強硬な態度にあり、もはや解決した筈の戦争責任を果たせと日本側の弱みにつけ込んでいる。更に、中韓両国が領土問題を使って中韓両国自らの国内問題から国民の目をそらせようとしている。今更、言いがかりを付けられたと云う被害者意識でしか無い。

尖閣諸島問題を、中国側から見た場合は「日本から受けた第2次世界大戦での屈辱の象徴」として捉えている。中国は先の国連演説で自らを戦勝国と称し戦勝国の領土を敗戦国である日本が盗んだと非難した。中韓両国は・・・戦争賠償と戦後補償を充分に受けていないと主張し続けているのだ。恐らく、韓国の竹島への主張も同じなのカモ知れない。

敗戦後の日本は戦勝国側から一方的に裁かれて、各国に対する戦争賠償と戦争補償が決定し、日本と各国の間で条約や協定等が締結し履行された事と各地での軍事裁判で判決を受け入れた事で償われており、国際法上既に決着している。

日本の戦争賠償と戦後補償

但し、サンフランシスコ平和条約を締約しなかった国、又は、何らかの事情で締約出来なかった国は、狭義の戦争賠償を受ける権利が無かったのだ。

韓国(大韓民国)に関しては、日本と戦争状態に陥った事もなく連合国宣言にも署名していないとしてサンフランシスコ平和条約の署名国となる事を戦勝国(連合国)から承認されなかったので、国家間の戦争賠償を受ける事が出来なかった。その後、1965年になってから朝鮮との請求権問題を解決する為に結ばれた「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」と同時に締結された「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」に於いて大韓民国に提供された1080億円の経済援助金が、サンフランシスコ平和条約第14条で規定される戦争賠償権を持たないので代わりとされた。勿論、日韓両国は「財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決された」と書かれた条約に時の政府が署名捺印しているので、大韓民国との広義での戦争賠償は完全に終結している筈である。(余談だが、北朝鮮側とは・・・小泉元首相が緊急訪朝し拉致の事実を認めさせ締結した平壌宣言での平和条約締結を含む国交正常化の過程では、今日の価値での1兆円と云う経済援助という大韓民国以上の補償を北朝鮮側から求められている・・・とは日本では何故か報道されていない。この1兆円の為に拉致を認めた訳。)東西ドイツに分裂させられたドイツは戦時賠償を国家対国家の賠償としてではなく国家対個人賠償としたが、我が国日本は国連の下の平和会議で国家対国家賠償とすると戦勝国側に一方的に決められて、その賠償を履行し終えているので従軍慰安婦問題も含めて、既に解決済みなのだ。(現時点で、従軍慰安婦問題の賠償を求める「個人」が存在するとは知らないが、もし居られたら国連傘下の国際司法裁判所で裁定を仰ぎ和解を行うべきだろう)

尚、中国には・・・非常に複雑な事情が在った為に英国と米国とで承認する政府が異なった為、サンフランシスコ平和条約に招かれず締約できなかったが、中華民国(現台湾)が別途で日華平和条約(1952年)を日本と結び、その議定書において賠償請求権を放棄した。その後、中国も蒋介石(国民党)が「恨みに報いるに恨みをもってせず」の方針を打ち出し、日本への領土の要求、賠償金の請求はすべて放棄した。何れにしろ、サンフランシスコ平和条約を主導した米国に依って「国連諸国は特別に条約に定めがない限り賠償請求権を放棄する」という条項があり、日本へ戦後賠償(国家賠償)を求めないと云う圧力を多くの国に掛けたので、戦勝国側とはいえ国民党と共産党と云う別々の政党が政府を主張する中国には請求権を認めなかったのである。余談だが、日中国交正常化の折には中国共産党から戦後賠償の話があった。賠償を辞退したのは国民党政府で共産党政府では無い・・・と云う主張だったが日本外務省が国家の連続性を理由に蹴ったとされる。

これを、我々日本側から見れば「韓国・北朝鮮と大日本帝国は戦争をしていませんので、賠償のしようがありません」「中華民国・中華人民共和国は、共に平和条約締結時に日本への賠償を請求していません」となる訳。国家賠償はしていないとは云え、日本政府や企業、個人が海外に持っていた公私の在外資産(韓国・北朝鮮は700億円、中華人民共和国2387億円、台湾425億円、その他280億円)は提供され賠償に使われた筈。又、日本側は中国への戦後賠償のツモリで対中ODAを連綿と続けてきたのだが、中国共産党側は対中ODAを戦後賠償として認識するか否かは見解が分かれているらしい(昔の中共は戦後賠償のツモリだったろうが・・・)。

兎に角、国際法上既に決着している筈の戦後賠償が、中国共産党と韓国と朝鮮と我が国の間では蟠っている訳。この中で我が国が(平壌宣言の条件を彼の国が満たせば)履行しなければならない戦後賠償に代わる経済援助は1兆円の北朝鮮向けのモノだけの筈なのだが、中韓両国は・・・そうは思ってはいないらしいので話が拗れるのだろう。

兎に角、日中関係の冷え込みが両国経済や世界経済に及ぼす影響は大きいのだろう。1日も早く解消するのが両国の、世界の利益に繋がる。だが、ここで安易な妥協で譲歩すべきでは無いと思う。今日までは自民党政権が問題の先送りをして波風立てずに時間の経過での解決を狙っていたのだろうが、KYな民主党政権が危ういバランスの上に成り立っている国家関係(日中・日韓・日米・他)を振り出しに戻してしまった。こうして問題が白日の下に晒された以上は元通りの有耶無耶路線に戻す事は不可能だろう。この際、我が国の譲歩はイコール中国の利益となってしまう。主張すべき事は正当に主張し、その上でより良い戦略的互恵関係を築き上げると云う難しい仕事をやり遂げるのが国会議員センセイ方の御仕事だと思うのだ。残り1年弱の任期にしがみつく民主党のセンセイ方が上手く解消出来るのならサッサとやるべきだし、手に余るのならサッサと解散すべきだろう。
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