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東壁堂本舗

魔法少女 二次 はじめました!
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猫と魔女 第2幕の後書き

2007年05月05日 | 猫と魔女 第2幕
東壁堂でございます。
無事…かどうかは、わかりませんが、猫と魔女、第2幕
完結いたしました。第1幕と違い、第2幕は実に、6ヶ月
半年近くかかってやっと完成した作品となりました。
あいも変わらず、遅筆ではございましたが、お付き合い
ありがとうございました。
さて、作中にはたびたび魔法が登場しますが、この作品を
書き始めた当初は、定まっているものではなかったことを
記憶しています。
いまも、その定義が確定しているかどうかは…まぁ作品を
見ていただければわかりますかねぇ。
ある程度は自分の中で固まってきてはいるかと思いますが。

さて、次回作は、猫と魔女の第3幕にしようか、それとも
かなり固まってきた、世界観を基にした、第1幕の書き直しに
しようかどっちにしようか迷っています。

3幕、そもそもが、魔女猫の世界観で作っていくのだから、
一度、書き直しもありかなって思ったりもします。

その時には、2幕の最後まで出せなかった、瑞樹の妹、優希
も、最初からだしたいなぁ、とか、思っていたり。

さて…どうしましょうか…。

猫と魔女 その111

2007年05月05日 | 猫と魔女 第2幕
マスターは、ふもとのお店で買った桔梗をたむけた。
「マスター?」
「これはな…私を生んでくれた女(ひと)の墓だ」
「え……でも…マスターのご両親は海外に…」
「ああ、あの人たちは私の養父母だ」
さらりと言うマスター。
で、あの優希はその二人の本当の娘であるそうな。
でも、マスターにそっくりなんだけど?
「血筋的には近しいな。従姉妹とか…たしかそんなもんだろう」
いや、そんな重大なことを、なんでもないように言われても…。
「私はね、忌み子なのだよ」
「忌み子……」
マスターはまるで独り言のようにしゃべり始める。
「私を産んでくれた女(ひと)はね、未来を嘱望された優れた魔法使いだった。
水の家系に生まれた…
四家の水に連なる家だ…者達の中でも特に優れた術者だった。
次期党首とまで期待された女(ひと)だった。
そのまま生きていれば、『長老』の候補者担っていたかもしれない。
ところが、彼女に不幸が襲った。
火の家の党首候補にも上がった男が彼女に目をつけた。
男もまた優れた魔法使いだったがね。二人は俗に言う恋におちた。
だが、四家のしきたりでは、他家に名を連ねるものとの婚姻は許されてはいない。
決して結ばれることのない二人は駆け落ち同然で結婚した。
そして…二人の間に私が生まれたんだ。四家は驚いたらしい。
火と水、決して相容れないはずの二つが交わり、産み落とされた私。
産まれてはならない忌み子。
四家の長老達は騒然としたそうだ。
だが、一番驚いたのは男だった。
駆け落ちまでしたものの、私が産まれる事は想定してなかったらしいからな。

四家が私を差し出せと言うことで、私を戦々恐々として差し出そうとしたらしい。
だが、私を産んでくれた女(ひと)は、それを拒否した。
私を連れて逃亡したらしかった。四家は私を連れて逃げ出した彼女を追いかけ、ついに私と彼女を捕まえた。
私と彼女は引き離された…」
他人事のように淡々と話すマスター。
『その女を捕まえ、罪人として差し出したのは、その男だったよ…』
そういうマスターの顔は、何のゆがみも無く、ただの能面のようだった。
「……」
「私は、そのまま殺される予定だったらしい。
だが、樹の家系の長老が、私の力を真名をもって末席の『樹』に封じ、私の力を封じることによって私は除命された。
けれども、私を産んでくれた人は…
私と引き離されたこと、
私を産んでしまったこと、
あの男と契りを交わしてしまったこと、
イロイロなことで自分を責めて、責めて責め抜いて…命を落としてしまった」

「マスター…」

「私はね、夏樹。望まれぬ子供だったのだ。私さえ産まれなければ…」

みんなしあわせだったのに…
そのみんなの中には、あの優希というこは含まれているのだろう。
そして、当然、瑞樹自身は含まれてはいない。

あたしは悲しくなった。自分のことでもないのに、涙がぽろぽろと零れ落ちた。

「マスター、あたし…」
「すまない…少し一人にしてくれないか?」
「はい…」

あたしはマスターから離れてお寺の境内の方へ回った。
あんな弱気なマスターを見るのは初めてだった。
でも、どうして…。
あんなに苦しむのなら、どうしてこの場所に来たのだろうか…?
夕暮れ時の太陽の光がお寺を赤く染める。
ヒグラシの鳴く声が、切なげに辺りに響き渡る。
もうすぐ秋が訪れる…。

猫と魔女 第2章 終
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猫と魔女 その110

2007年05月05日 | 猫と魔女 第2幕
エピローグ

あたし達の体がすっかりよくなった頃。
…と言っても、マスターはただの風邪。
2,3日ですっかり元の調子を取り戻したわけだが…。

マスターが行きたい場所があるといったのだ。
ローカル線を乗り継いで1時間。
どこか、懐かしい感じのする駅だった。
周囲を見渡せば、小さな商店街が駅前に広がり、駅の背後は、緑の木々に包まれた山々が広がっている。
マスターは、そのままバス停の前で立ち止まった。
30分ほど時間がある。
蝉の鳴く声だけが周囲に響き渡っていた。
そんな静かな田舎の町にマスターはなんの用があるのだろうか?
疑問は残ったが、固い顔をしているマスターにあたしは問いかけることはできなかった。
やがてバスが到着し、あたし達はそれに乗り込んだ。

バスを降りたあたし達は山ふもとの花屋で花を買う。
そして、そこからは山登りだった。
山の中腹にあるお寺、そこがマスターの目的地のようだった。
お寺の奥にある墓地。
とあるお墓の前でマスターが立ち止まる。
マスターの息を呑む音が聞こえた。
お墓の前には一人のおばあさんと、若い男性、マスターと同じ年頃の少女が立っていた。
おばあさんは品のよさそうな人に見えるが、足が悪いのか車椅子に乗っている。
二人はお墓の前で手を合わせると、こちらに目を向けた。
すると強烈な気があたしたちに向かって吹き付けてきた。
それは、少女からのものだったが…この力は…彼女達も魔法使い?
って、あれ、見たことある顔だな…。
「あれ…悠美さん?それに、靖四郎も…」
悠美さんは最初不思議そうに首をかしげたが、急に何かに思い当たったらしく、ああと頷き、
あたしに笑顔で会釈をしてきた。
彼女は悠美さんではなく妹の悠維(ゆい)さんと言うらしい。
へぇ、あの人に妹なんかいたのか。
それはともかく…悠美さんたちの傍らにいた少女がくってかかってきた。
「貴様は!麻生瑞樹!」
激しい口調。
「お前は…だれだっけ?」
しーん、一一瞬静まり返る一同。
あ、あの女の子、真っ赤にしているぞ。
「夏樹、お前の知り合いか?」
「なんでですか!第一、マスターご指名じゃないですか!」
「何故、貴様が!よくも、この場に顔を出せたものよ、四家の恥さらしが!」
その言葉にむっときたあたしが一歩前に踏み出そうとすると、それをマスターが手で制した。
だが、かすかに手が震えているのがわかる。
「わかっているさ、麻生優希……ちょっとした用事だ。用を済ませばすぐに退散するさ」
え、え?
麻生…あそう?優希?
「だまれ!お前は、墓前に姿を見せることすら許されぬ身ぞ!」
「おやめ。姉妹喧嘩とは見苦しい!」
え、姉妹?あ…そういえば、よく見れば、マスターによく似ている…。
「しかし!郁祇様!」
「だまりなさい、御前にさからうことは許しませんよ」
おばあさんの隣に立つ靖四郎が静かに言う。
少女は顔を硬直させて男を睨みつけるが、下唇をかみ締めたままうつむいてしまう。
その間、マスターは気丈にもまっすぐと彼らを見つめていた。
御前と呼ばれたおばあさんは静かに微笑み、マスターにゆっくりと語りかけた。
「瑞樹さん、失礼しました。この子の無礼はどうか許してやってね?後でよく言って聞かせますから。
私たちはこれで帰るけど、どうかゆっくりと参ってあげてくださいな。由香利もきっと喜ぶと思うわ。後…」
おばあさんがあたしのほうを見て微笑みかけてくる。
「貴女が、夏樹さんね?この子をよろしく頼むわ?ぶっきらぼうなところがあるけれども、可愛いところもあるのよ?」
「あ、はい」
それはよく知っている。
3人は…悠維さんと、靖四郎はあたしたちに頭をさげて…優希の方はあたしたちを振り返りもせずに立ち去った。
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猫と魔女 その109

2007年05月05日 | 猫と魔女 第2幕
その後は、まぁ…いつか詳しく語ることもあるだろう。
まぁ…一般的に言えば、あたし達の勝利だった。
結局、マスターの儀式魔法は、『あたしを』巻き込んで炸裂し…死ぬかと思った。まぢで死ぬかと思った。
しかし、『あれ』にやられるのではなく、マスターの魔法で命を落としかけたというのは、はっきり言って
オチになっていないと思うのだが…それでも『あれ』は、かろうじて生き残ってしまった。
その後、夜斗が死にかけたり(壊れる?)、『本物の』九頭が現れたりとしっちゃかめっちゃかだった。

そして…とにもかくにも、『あれ』は倒せたのである。

夜斗はいつの間にか、『九頭』と一緒にいなくなっていた。
まぁ、封じるべき相手がいなくなり消滅してしまったのではないかと言うのがマスターの予測だが、
あたしは、またいつかどこかで会うような気がする。

あたしはと言うと、体中の傷にくわえて、マスターの儀式魔法に魔力のほとんどをもっていかれたので、
即入院だった。もっとも、あたしみたいな人外が、普通の病院に入院できるはずも無く、悠美さんの用意
してくれた病院(施療所というらしい)に担ぎ込まれた。
まぁ、倒れた原因のほとんどが魔力不足ということもあって、命に別状はない。
魔力が回復するに従い、体の傷の治癒速度も加速的によくなっていくとの事だ。

あれの後始末は、悠美さんと、靖四郎さんがやってきて片を付けてくれた。
なんでも、魔法使い達の互助会みたいな組織が、この世には存在し、彼らは其処の会員ということらしい。
あれだけの騒ぎを起したにもかかわらず、あたし達が国家権力様にお世話にならずに住んだのは、彼らの
おかげというわけだ。どうやら、吸血鬼事件のときも彼らが暗躍していたようだ。
そんな、すごい組織の一員だったなんて、靖四郎さん、人は見かけによらないものだ。

マスターの方はといえば、傷一つ負わなかった。
あの時、腕の一本や二本といっていたが、それすら、あの人は制御していたらしい。
悠美さんに後から聞いた話だが。
普通だったら、そんなもんじゃすまないことをあの人はしてのけていたようだ。
ああ、『最強』…いや『最凶』などという名であの人を呼ぶが、その辺りが原因らしい。
くわばら、くわばら。
それはともかく、何事も無かったわけではない。
雨の中、一晩中動き回っていた、彼女は、あの後、風邪を引いて寝込んでしまった。
鬼の霍乱と言ったら、手加減抜きで殴られた。
まぁ、あの人も、肉体面だけは一般人であることが証明されたわけである。
あたしは、痛む頭と、肋骨に顔をしかめながら、ほっと胸をなでおろしたのである。

ちなみに、高科さんはけろっとした顔で、琴美ちゃんを送っていった。
結局、一番謎だったのは、あの人なのかもしれない。

それはともかく…事件は終幕した。
少なくとも…表向きは。
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猫と魔女 その108

2007年05月05日 | 猫と魔女 第2幕
一体何が功を奏したのか…。
とにかく、マスターはとたんに元気になった。
あたし達の背後で、仁王立ちになる。
そして、こうのたまわった
「儀を執り行う」
ちょっと、まて!
ここで、こんな状況で儀式魔法を使うのか?
「ちょ、ちょっと、マスター!正気ですか!こんな状況で、儀式魔法ですか?」
「なぁに、たかだか、ランクAの儀式魔法だ。
もっていかれても、腕の一本や二本ですむだろうさ」
「で、でも!」
「何を言うか!気を緩めるな!誰が私一人でやるといった!
お前の魔力、少々借りるぞ!」
そうか、精神共有(スピリットリンク)…。
使い魔というものは、本来は魔法使いに使役される、雑役を行う、魔的な生き物だ。
それは、魔法使いがいざとなったときのための魔力プールの為の貯蔵庫という意味合いもある。
確かに、あたしの魔力をマスターに引き渡せば、Aランクの儀式魔法分の魔力は確保できる。
だが、問題は、本来儀式魔法は、長い時間と年月をかけた準備の末、施行される大掛かりな魔法だ。
こんな場所で、こんな状態で使えるものでは断じてないのだが…。
まぁ、それはいい。
マスターはやると言ったらやる…はずだ。
「信じていいんですね」
「当然だ」
何をまぁ、自信たっぷりに言ってのけるか、この魔女は。
だが…。
「解りました。お任せします」
あたしの了承と共に、少しずつではあるが、あたしの中に満ちていた魔力が流れ出していくのがわかる。
だが…そうとは言え、あたしが、あの儀式魔法を完成させるまでの時間稼ぎをせねばならない。
だから…やることは変わらないのさ。

少しずつではあるが、『あれ』の魔法障壁を打ち破り、その体を削り始めた。
だが、『あれ』には、それすら、痛手ではないのか、そもそも痛覚があるのかどうか怪しいものだが、
ますますその攻撃が激しさを増してきた。あたしは、ずたぼろ、拾ってきた野良猫のように泥まみれになり、
夜斗はといえば、その表現が正しいかどうかは解らないが、人間で言えば、まさに満身創痍だった。
お互い立っているだけでもやっとの状態。
ふと、気を抜いた瞬間、その一撃が来た。
どんと横からの激しい衝撃。
それが、あたしの体を激しく吹き飛ばした。
まずい、体が痛くて動かない。
いや、これは、肋骨の2,3本は折れたかもしれない。
まだか…?
マスターの魔法の完成はまだなのか?

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猫と魔女 その107

2007年05月04日 | 猫と魔女 第2幕
すでに私達は傷だらけだった。
満身創痍だった。
あれを守る魔法障壁はよほどの強固なものだった。
私の放つ魔法のことごとくが跳ね返される。
少なくとも、私の準備したほとんどの魔法は、やつには通じなかった。
かろうじて傷を負わせることができたものですら、その強固な壁にはじかれ、『あれ』にとっては
かすり傷に過ぎない。それも、強力な再生能力ですぐに傷はふさがれてしまう。
一方で、私たちの状況はまったく芳しくない。
いや、危機的状況と言ってもいいだろう。

魔法というものは、『印』『魔力』そして『聖句』によって形式化され、この世ならざる力をこの世に示す、言ってしまえば
数学の法則のようなものだ。だからこそ、『魔』『法』と呼ぶ。それを導く為の、導管を魔術杖と呼び、そして、その法則を
示したものを『魔導書』もしくは『魔術書』と呼ぶ。当然の事ながら、その法則をこの現世に顕現する為にはそれなりの手順を
踏まなくてはならない。力ある魔法使い(少なくともExクラス以上…伝説上の魔法使い達のみこのクラスに所属している)、
もしくは目の前にいるような存在そのものが魔に属する生き物達は、存在そのものがこの世ならざる法則の顕現したものであり、
何もしなくても、その法則を一塊、千切り取り、我々に投げかければ魔法が成立してしまう。
否、正確には魔法ではないが、その結果は同じだ。
だが、私は少なくとも、底までの力はもっていない。
よって、その法則を導き出す為には儀式が必要だ。
簡易的な儀式ではあるが。
そのための時間稼ぎが必要であり、その為に、夏樹がいる。
今回は夜斗もいる。

『あれ』の攻撃を防ぎ、そして、時には攻勢に転じる。
その間に私が、魔法を放つ。

何度も何度も。

その度に、夏樹と夜斗は、やつに吹き飛ばされ、その悪意に押しつぶされてゆく。
傷だらけになってゆく。

所詮は、何らかの、世の断りの濁りが現象化したものに過ぎない。
だが、甘く見ていた。

そう…そう言ったものには違いなかった。
だが、そう言った物すら、時には…伝承に謡われてしまえば、それは、あまりにも強大な力を持つ存在に転じることを
私は思い知らされた。

おそらくは…その教訓が今後に生かされることはないだろう。
その覚悟が私の頭によぎった。

それが笑った。
いや、笑ったような気がする。
それは悪意ある嘲笑。
まるで、虫けらの如き私達が、もがき苦しむさまを見て、そいつは確かに『嘲った』
無駄であると。
神である自分に、所詮人如きが逆らうのは、愚かな行為であると。
私達のこの本気ですら、あれにとっては児戯に等しい。
いや、そうですら、ないのだと。
たかだか人間の行為なぞ、彼らにとっては、体に蟻が這い回る程度のことでしかないのだろうか?
そう、彼らが戯れに、蟲がその体を歩き回ることを許していたに過ぎない。
それほどの差が、『あれ』と私達にはあるのだと。
そう、感じざるをえない。
明らかに、私達はその選択を誤ったのだ。
いったん引いて態勢を立て直す?
そんなことは許されない、いや、『あれ』が許してはくれまい。
私達は、言ってしまえば誘い出された生贄なのだ。
『あれ』が、復活する為にあれ自身が用意した、前菜に過ぎない。
『あれ』は私達を蹴散らし、飲み込み、そして、自らが解放された悦びに打ち震えるのだろう。
絶望という言葉が、私の頭をかすめた。

にもかかわらず…にもかかわらず…

どうして、お前は、私の前に立っていられるのだ!

「マスター!下がってください。ここはあたしと夜斗で何とか食い止めます。
マスターはさがって次の手立てを考えてください。あたし達に、頭脳労働は
似合いません!」
「達…というのに、ちと語弊があるような気がするのじゃが…ふむ…致し方あるまい。
否定できんところが、妾もちとつらいところじゃ。というわけじゃ。瑞樹…
妾達が、きゃつめを防いでいる間に、なにかこう、強烈なやつをかましてやれぃ」
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猫と魔女 ステータス

2007年05月03日 | 猫と魔女 第2幕
真名:麻生 瑞樹 Mizuki Asou
クラス:魔術師(樹)
性別:女性
身長・体重 158cm・46Kg
属性:秩序・中立

能力
筋力 D
耐久 D+
敏捷 D
魔力(出力) B(A)
魔術(精度) A++
※魔力はマナをプールできる能力を指し、魔術は一度に使用することができるマナの量を言う。
  魔力が高くても魔術レベルが低い場合は、魔法の威力こそ低いが、何度も連発が可能で、
  その逆である場合は、高い威力を持った魔術を行使できるが、使用回数が少なく、燃費が
  悪いということになる。
  瑞樹の魔力Bは、使い魔を所持し、常時稼動状態においている為、ランクが低下している。

技能
マルチキャスト:A+
その魔法の属性(タレント)のいかんに関わらず、そのランク以下のあらゆる魔法を使いこなす
能力をもつ。A+の能力を持つものは、その魔法の力を遺憾なく発揮することが可能。また、それに
よるペナルティを受けることがない。なお、当然ながら習得していない魔法の使用はできない。

使い魔:A
少なくともAランクの使い魔を持つ。
Aランクともなれば、主人との意思疎通が可能なばかりか、人の姿を取り、ある程度の自活的行動を
とることが可能である。ただし、使い魔を稼動させる為には、多くのマナを消費する為、魔力ランクが
1ランク低下する。使い魔が精神共有(スピリットリンク)状態になれば、逆に使い魔にプールされた
マナが使用可能となるため、メリットは大きい。


真名:麻生 夏樹 Natsuki Asou
クラス:使い魔(A)
性別:女性
身長・体重:144cm・36Kg
属性:秩序・善

能力
筋力 B
耐久 C+
敏捷 B+
魔力(出力) B
魔術(精度) C+
※そもそも使い魔である夏樹の魔力は、主である瑞樹の魔力の高さも手伝って非常に高い。
  ただし、魔術精度は、魔法の技術を多くは学んでいない為、低い値にとどまっている。
  使い魔であるが故の、限界値ではない。

技能
家事:B
一般的な料理、掃除、洗濯等を行う技能。
Bランクを持つものは名人的な腕を持つ。判定スキルは個々の技能にプラスとなるが,その判定
達成時にさらにボーナスとして+10が与えられる。夏樹がそもそも所有していた技能。

マルチキャスト:B
その魔法の属性(タレント)のいかんに関わらず、そのランク以下のあらゆる魔法を使いこなす
能力をもつ。ランクBに属する魔法は努力すればなんとか習得は可能だが、精度が低下する。
(具体的にはランクが一つ下の魔法として取り扱う)ただし、魔法の行使によってのペナルティは
発生しない。

魔法結界:C-
御守程度の魔法防御を発揮する。魔法の意思抵抗判定にマイナスのつく魔法のペナルティを
打ち消せる。これは、夏樹に与えられた瑞樹の御守の効果によるものなので、夏樹がそれを
手放せば、消滅する。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても2日間は行動可能。
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はい、最近作者がFateなんぞをやり始めた為に、あーかっこええなぁーといいながら、
主人公達をステータス化してみました。こうやって書いてみると、瑞樹ってほんとに強いのだねぇ
と思ってしまいます。人間的にはどうか知りませんが(笑)
一方で、夏樹も意外と、強いことがわかります。彼女の場合、魔法のお勉強をしていない
未熟者ですから、あんまり強くは見えないだけで、一応主人公なんですよね。

ちなみに、このステータスはA,B,C,D,Eの5ランク表記で、その上にExが存在します。
一般人ならプロでC-普通の人ならD~Eといったところでしょう。

Fateの、英霊達のステータスとは全然違いますし、あちらは、半分神様ですからw
いくら、瑞樹さんたちがおばけでも、かてやしません・・・たぶん。

一応、断っておきますが、猫と魔女の元ネタは、Fateではありませんよぅ?

次回は夜斗とか、靖四郎さんなんかをステータス化してみたいですね。
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猫と魔女 その106

2007年05月02日 | 猫と魔女 第2幕
燃えてるなぁ…どういった熱量が発生しているのか、雨がしゅうしゅうと水蒸気になっている。
背中がちりちりとする。
火傷してるよね、これは。
うーん、服の一部がこげてぼろぼろになっている。
……最低限の結界とはいえ、威力の大半は削いだはず…。
でも…すっごく熱いの。
「あーっはっはっはっはっはっは」
轟々という音にかぶさって聞こえるのは誰かさんの高笑い…。
ほんと、正義の味方より悪役の似合う人だ。
「きゅぅ~」
夜斗は目を回してるし…。
あたしが投げ飛ばした上に、爆風に吹き飛ばされたようだ。
生き物がこげるいやーなにおいが当たりに漂う。
「なに考えてるんですか!!」
「一撃必殺と言うやつだ」
「火針を、いくつ投げたんですか!下手したら、あたし達まで蒸発していますよ!」
「毒を喰らわば味方までといわないか?」
「いうか!というか、そんなコトワザない!」
「残念…」
「そんなことで、泣かないでください!ってうわぁ!」
突然、あたしは足元から救われた。
にゅるにゅるした触手があたしに巻きついてゆく。
そんなバカな!
あの爆発の中で、無事だなんて!
しかし、あの化け物は無事というわけでもなかった。
触手の何本がはじけとび、残っているそれも煙を噴き上げている。
だが、その触手は、徐々に再生を始めている。
うげげ、気持ち悪い。
「にゃ!!」
油断があった。
わずかな気のゆるみがあった。
それは認めよう。

あたしは触手につかまれたまま逆さ刷りにされてしまった。
「夏樹!」
マスターが再び火針を投げようとするが、そこはさすがに、触手も知恵があるのか…なんか、こう原生動物っぽくて…無い様な気もするが…あたしを盾にする。
そうなるとマスターも投じるわけには行かない…。
「魔を滅ぼせし炎馬よ!ソレイユより走り出でて、マルスへと駆け抜けよ!
ふんぐるい   むぐるうなふ
くとぅぐあ   ふぉまるはうす
んぐあ・ぐあ  なはるたぐん
いあ! くとぅぐあ!」
マスターが指刀で中空に複雑な聖護印を描く。
描かれた護印が、力を導き出し、光り輝く!
周囲に魔力が満ち溢れ…針が投じられた。
針の軌跡にしたがって炎が追従し、轟炎と化した。
ちゅどーーーーん!
あたしのすぐ横で触手が、吹き飛んでゆく。
「……」
「……」
あたしと触手は思わず目を合わせる。
どこが目かは知らないけど。
わかるぞ、お前の言いたいことは…。
「というか!このくそマスターーーー!なにをするかぁーーーーーー!」
だから、『樹』の魔法使いがそうほいほい『炎』の魔法を使うなー!
ちゅどーーーん!
次の爆発があたしの叫び声をかき消す。
「尊い犠牲だった……」
「勝手に殺すなーーーーーー」
当然あたしは生きている。
けれど、あの化け物も生きている。
水蒸気のたちこめる中、ゆらりとその身をくねらせる。
そして、その体から噴出す瘴気は、まさに圧倒的だった。
「くっ…」
マスターがわずかにひるんだ。
当たり前だ。
ほぼ、必殺の、あのマスターの炎撃を抵抗(レジスト)したのだ。
さすがに100%は防ぎきれなかったのか、ところどころで白煙を上げてはいる。
それでも本体にダメージを与え切れなかったことは確かだ。

かくして、あたしたちは劣勢に追い込まれた。
いわゆる、ピンチってやつ?
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猫と魔女 その105

2007年05月01日 | 猫と魔女 第2幕

あたしと夜斗の活躍で、浜に上がってくる魚人は次々に数を減らす。
背後で爆音が轟きわたるが…銃声ではない…気にしない。
数は確実に減らしている、確かに減らしているのに…
だが、気持ち悪さが直らない。
いや、ますます強くなっている。
そして、ついにその悪意ある大気が頂点に達したとき、それが姿を現した。
「来た!」
夜斗の悲鳴にも似た叫び声が風雨に消え去る。

それは…竜と言ってよいものだろうか?
ギリシア神話の伝説にあるヒュドラにも似た姿。
だが、その頭に当たる部分は、粘液に覆われ、お互いに絡み合い、螺旋くれそして喰らいあっていた。
ずしんと、その巨体がうごめくたびに、汚らしい液体が周囲に飛び散る。
「……な、こ、これは…」
高科さんが絶句する。
その表情からは魂が抜けてしまったかのように、呆然とした…あるいは絶望的な表情が浮かんでいる。
「気をしっかり持て!油断すれば、魂ごともっていかれるぞ!」
マスターの声が響き渡る。
あたしも一瞬、気を奪われていたようだ。
慌てて気を引き締める。
「あ…」
「大丈夫ですか!」
あたしが高科さんに駆け寄ったときには、彼は頭を大きく振っていた。
「あ、ハイ、大丈夫です…」
「つらければ、さがっていてください!」
「そういうわけには参りません。私は、皆様を守ると琴美様と誓いましたし、何よりも、美しき御嬢様たちをおいて、私一人逃げ出せば、ここで引き下がれば、男が廃ります。ほんとは、ここで逃げ出すと、琴美御嬢様に危害が加わる。それは避けねばなりませんから」
うわ、かっこいい台詞。
あたしも一度ぐらいは、こんな台詞を言ってみたいぞ。
最後の一言は…まぁ、執事兼琴美ちゃんのボディーガードなら仕方ないか。
でも…。
「本当に大丈夫ですね?」
「はい、御心配には及びません」
あたしは、左手のエメラルドの粒を彼に手渡す。
「これは?」
「魔よけの護符です。魔の力を中和し、退けると言われています。マスターが作ったものですから、効果抜群…だといいなぁ…」
「ふっ…ありがとうございます」
「準備はいいかね?」
マスターが言う。
あたしは、ナイフを構える。
例によって護身のクリスナイフだ。
夜斗は御神刀を。まぁ、彼女自身なのだが。
高科さんはライフルの照準を正面の魔物に合わせる。
マスターが聖印を中空に描き出す。
「行け!」
マスターの号令とともにあたしと夜斗は、目の前の化け物に向かって駆け出す。
……と思ったが、あたしは夜斗の首根っこを捕まえて、180度転進した。
「な、なにをする!」
夜斗が講義をするが、そんなことはかまっていられない。
あたしたちと入れ替わりにマスターが針のようなものを放った!
「やばいんだってば!」
そのまま、ぺぃっと夜斗を投げ捨て…まぁ、彼女なら死にはすまい…高科さんを突き飛ばした。
あたしは、彼の上に覆いかぶさり、背後に結界を結ぶ。
時間がないから、パリーンと割れるあれ。
「アユテュルの聖護印よ!」
その瞬間、背後で大爆発が起こった。

あ、ゴメン、夜斗。また、彼女が吹き飛んでいるのが見える。
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猫と魔女 その104

2007年05月01日 | 猫と魔女 第2幕
叩かれた頭をてで抱え込みながら、なみだ目で睨みつけてくるマスター。
だめです。そんな目で見ても何もでま…うわっと。
黒い影が飛び掛ってくるのを慌てて避ける。
あたし達が漫才をしている間に、いつの間にか忍び寄ってきた…違うな、堂々と近寄ってきてたな…魚人があたしたちに襲い掛かる。
「しまった!夏樹!」
「はい!」
1体の魚人があたしに、2体がマスターに襲い掛かる。
あたしは取り出したナイフで一体を切り裂く。
その腹は、まるで柔らかく、容易に切り裂けた!
だが、その内臓物を撒き散らしながら、魚人はまるで傷など意に介さず襲い掛かってくる。
あたしは、そのまま2体目に切りかかろうとしていたが、それを防がれてしまう。
その間にも、2体目の魚人がマスターに襲いかかろうとしていた。
遅れて3体目も…。
いけない!
「マスター!」
1体目を引き剥がせないままだったが、マスターが傷つくよりははるかにマシだ。
あたしは、正面の敵に背を向けてマスターをかばおうとした瞬間…。
激しい爆音がした。
銃声?
その音が周囲に響き渡るとともに、魚人が吹き飛ばされる。
すぐに嵐の音に、銃声がかき消されてしまった。
何が起こった?
もう一体の魚人はマスターの前で崩れ落ちていた。
「高科さん!それに…夜斗!」
高科さんは…ライフル?
「あの…それは?あたしてっきり、ボクシングか何かで登場って…」
「それは別の執事です」
そうだっけ?
「それだと、物語的にいろいろとまずいもので…」
高科さんは、ライフルを構えたてつづけにライフルの引き金を引く。
そのたびに、周囲の魚人が吹き飛んでゆく。
「彼らも肉体があるのなら、鉛玉でも十分に御嬢様方の援護ができると思いまして」
にやりと笑う。
すごい人だ。その射撃の腕もプロ級だ。この闇の中で、しかも吹きすさぶ風雨の中で、狙いを外さすに銃撃を続ける。
銃声がするたびに、魚人がばたばたと倒れてゆく。
さすがに、体を粉々にされては、さしもの魔物も、起き上がることはできない。
それでも、ぴくぴくと肉体を震わせているあたり、凄まじいまでの生命力だと言うしかない。

夜斗は、マスターの周囲に近寄る魚人をその刀でなぎ払う。
ちなみに、この人はいつの間にかメイドの装束を身につけている。
どっから持って来た?
と思ったら、マスターがどこからか手に入れてきたらしい。
「戦う巫女もいいが、戦うメイド服も萌えではないか?」
いや、もう何も言わないでおこう。
「妾とて、この程度の雑魚どもに、舐められるわけには行かぬよ」
「それと、その衣装に何の因果関係が…ってうわ!?」
きらめきがあたしの鼻先をかすめた。
「ふむ…どうやら、おかしな魔物が紛れ込んでおるのぅ?間違えて切りさばいしまいそうじゃ?」
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
この際、マスターや貴女の趣味にとやかく言いません。
敵を減らしてくれれば、文句はありません。
「ふむ…何か引っかかる言い方じゃが…そら、夏樹、後ろががら空きじゃ!」
あたしは、振り向きざまに、飛び掛ってきた魚人を切り裂く。
やはり倒れない。この魚人に与えられた不可思議な理が、彼らの肉体を
不死身にしているのか?
ならば…
あたしは右手のクリスナイフを握り締め、左手で指刀を形作る。
手のひらの中にはあらかじめエメラルドの粒を握り締めている。
その左手で中空に簡単な円と紋を描き出す。
「風よ…四霊に連なる孤高なる者にして、英霊を守護せしものよ…」
魔力(マナ)が、体の中を突き抜ける。そして、宝石を触媒として集まりだしている
のがわかる。
「汝は剣(つるぎ)、汝は切り裂きしもの、我意に従い顕現せよ!
…エアリュエルの切り裂き魔剣よ!」
右手に持った、魔法杖とも言えるクリスナイフに風の力が集まる。
軽く剣を振るった。
すぱんっと、まるで手ごたえも無く、目の前の魔物を切り裂いた。
一刀両断というやつである。
「ほう…かまいたちか?」
夜斗が驚いたような顔をする。
これは、魔法同士の戦いでもある。
強い方が勝つのだ。
それは、あたしと夜斗の戦い(戦いと呼ぶべきだろうか、あたし的には
前後不覚になった空腹のトラが、か弱い子羊に襲い掛かったと、思って
いるのだが…)の折、あたしの魔法防壁が、いとも簡単に破られた事からも
理解していただけるだろう。
要は、その戦いの前提条件は力対力なのだ。
なにも、魔法対魔法である必要はない。
その証拠に…恐ろしいことだが、高科さんは、その散弾銃という破壊力で
あの、魚人の魔的再生力が及ぶ前にその体を破壊している。
だが、あたしや夜斗は、その武器にそこまでの破壊力はない。
だったら…魔力で、少しでも、あたしの武器に力を上乗せしてやればいいのだ。
「なるほど…戦力としては『歩』程度じゃが、智謀は持ち合わせているようじゃな。
妾の背後を守るには、いささか心もとないが、任せてもよいようじゃな?」
「ふん…勝手に言っててください…」
あたし達は、魚人を次々と倒していく。
いやはや、実際、じっくりと『夜斗』の戦う姿なんて見たことないが…あたしが『襲われた』時には、そんなにじっくりと
見ている余裕なんて無かったし…ほんとに惚れ惚れとする姿だった。
舞うように、踊るように夜斗の刀がきらめきを発するたびに、スパリスパリと魚人が切り裂かれていく。
その刀の由来が如何なるものかは知らない。
だが、御神刀として…そして、この地を襲った怪異を打ち破った守り神として
崇め奉られてきたこの刀に与えられた力は、この程度の魔物を軽々と打ち破ってしまう。
そも、このような戦いは、魔と魔の知名度の戦いと言ってもいいだろう。
と、言うのであれば、この地この場所で戦う夜斗にとって、その力を辱められたとは言え、
この程度の魔物に敗れる理がどこに存在するだろうか?
仮にも御神刀を名乗る地方神がここにいる。
それは、確かに心強いことだった。
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猫と魔女 その103

2007年04月30日 | 猫と魔女 第2幕

外は嵐だった。
激しい風雨が吹き荒れている。
ひゅうひゅうと風が啼く。

テレビでは、今日の夜にも台風が上陸する恐れがあることを告げている。
なんでも、今年最大級の台風らしいね、あはははは。

雨があたしたちの体に叩きつけてくる。

だが!
この周囲に満ち満ちた禍々しき気配はなんだろう!
どろりとした、何かが腐ったかのような、そんな重厚で濃くて粘りのあるこの空気は!
「マスター!」
「きたか…」
雨の音に混じって、何か、奇妙な生き物の鳴き声が混ざり始める。
そして、最初の一体が姿を現すと同時に、『それ』が次々と姿を現す。
魚人と呼ばれるそれ。
人間の女性の姿と魚を奇妙に融合され、悪意をもってデフォルメされたようなその姿は、おぞましさとともに吐き気を覚える。
一体、二体、三体、四体…闇の中から次々と姿を現す魚人。
五体、六体、七体…ちょっとまてぃ、何匹でて来るつもりだ?
数が多すぎる!
「ちょ、ちょっと、マスター、何でこんなにいるんですかぁ?」
「知るか!」
「そんなぁ…」
「だが……たかだか、下僕ごとき、何体集まってきても、この私の敵ではない!」
そう、自信満々にのたまわると、マスターは懐から、液体の入ったビンを取り出す。
お、なにか秘策があるのか!?
マスターがその金色に輝く瓶の中の液体を飲み干すと、両手を高らかに挙げて聖句を唱え始めた。

「いあ! いあ! はすたあ!
はすたあ くふあやく ぶるぐとむ
ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! はす…おぶわ!」

あたしは、おもむろに取り出したハリセンでマスターの頭を張り倒す。
どこから取り出したのかは、オトメノヒミツだ。
「な、なにをするか!」
「マスター!何呼ぼうとしてるんですか!」
「ふむ…水の眷属に相対するものと言えば…ハス…」
「わぁわぁわぁ!やめてください!そんな『お姿を口にすることすらできない
お方を呼ぶのは!と言うか、あんなもの呼んで、どうする気ですかぁ!」
はぁはぁはぁ…あぶないあぶない、このボケ魔女は、地球ごと滅ぼすつもりか。
「ふむ、冗談だ。というか、何で知ってる?」
こ、こんなときに、なんて不謹慎な人だ…。
『ぴんぽんぱんぽーん。業務連絡です。ちなみに、今の呪文は正確に言えば、『あの御方』を呼ぶものではありません。
その眷属の『蜂みたいな生き物』を呼ぶ呪文です。本当は金色の蜂蜜酒と石笛が必要になります。以上…ぴんぽんぱんぽーん』
「マスターだれに説明しているんですか?」
「秘密だ」
「……ほんっとにこの人は…」
「で、そう言うお前が、何でカメラ目線なんだ?」
ほっといてください!
というか、いつから、この話は地球外神話を取り扱うようになったんですか!?

猫と魔女 その102

2007年04月29日 | 猫と魔女 第2幕

「で?」
「はい、結局「やと」姫は、その「魔物」が、九頭の変じた姿だと気がつき、
自らを人柱にして、九頭を封じ込めたというのです」
「ふむ…」
マスターはあごに手を当てて考え込んでいる。
「その経緯がどうであれ、「やと」という姫が、自らを生贄にして
魔物を封じ込めたのは確かのようだな。その拠り代として使われたのが
「夜斗」の持つあの刀だったということだな」
「はい、昔話から想像すると、そのようですね」

それが、あたし達の集めることができた情報の精一杯だった。
このあたりに住む古老から聞いた話。
悲しい話だが、どこか釈然としない。
まぁ、昔話とはそういったものだ。
多くは人々の望む希望から生まれる。
だが、そこには幾許かの真実が含まれている。
それが、今回の事件を解決する手段かと思ったのだが…。

「しかし…封じ込めたはずのその魔物が、どうして目覚めたんでしょうかねぇ?」
夜斗の話と、先ほどの昔話から類推すれば、魔物は確かにいた。
そして、その魔物は、確かに夜斗によって封じ込められていたはずだった。
「だったら、それを開放しようとしたものがいるということだろう」
「でも…なんでですか?」
「そんなことは知るか、だがね…その誰かが望んで、この事態を引き起こしたとしたら…
夏樹、もしお前がこの事態を引き起こした犯人だったら、どうするね?
もしくは、この事件が何らかの偶然に偶然が重なった不幸な事件であるかと思うかね?」
「こんなことをするのは一般人ではないでしょう。
らかの知識がある人物しか事をなしえないでしょう。もちろん、偶然、封印が解かれてしまった
のかもしれませんが…。それが万に一つの偶然でしかありえない以上、まず、間違いなく、この事件は
何者かによって必然的に引き起こされたと考えて間違いないでしょう。
そうなると、その犯人は…どうするって…そうですねぇ…。
「何故」という目的がはっきりしない以上、その犯人が何を目的でこんなことをしでかしたかは
解りませんねぇ。でも、そこに何らかの目的があった場合…おそらく、どこか安全な場所で、
自分が仕掛けたことに対する結果を見届けようとするでしょうね…あっ…」
「そうだな…おそらく、この事件を引き起こしたやつは、すぐ近くで…かつ安全な場所で、この事件の
経過を見届けるだろう…もしかしたら、魔物退治だけで終わらないかも知れんな…」
「そ、そんなぁ…って…」
「む?」
「ま、まさか、マスター!魔物退治って、やっつけちゃうつもりなんですかぁ!?
あ、相手は自然を操るような化け物なんですよぅ?」
「ふむ…されど、「それ」はいまだに力が不十分だ。
いまだに「夜斗」に縛されている。その証拠に、おそらく、奴が狙っているのは夜斗だろう。
完全には自らを戒める呪物であった、御神刀を破壊せずにいたのだ。いまだ、その戒めは奴を
縛り付けている。必ずや、それを破壊しに来るだろうよ」
「だ、だったら…そうだ、夜斗を、どこかに隠しちゃうとか」
「ふむ…そして、奴が、夜斗の呪縛を打ち破るだけの十分な力を得るまで、このあたりで
暴れさせておけというのか?私はかまわんが、お前にそれが許せるのかね?」
む、なんか意地悪な質問だ。
そんなことはできるわけないでしょうに?
「だったら、やることは決まっているだろう。
さて、迎撃の準備だ」
先の吸血鬼事件のときもそうなのだが…この魔女は、きな臭い事件になればなるほど、
血が猛ってくるようだ。あの嬉しそうな顔と来たら…。

ほんと、あたしってば、こんな人の使い魔でいて、いいのだろうか?

猫と魔女 その101

2007年04月27日 | 猫と魔女 第2幕
それから、どれほどの年月がたったろう。
戦の傷が癒え、そして人々の顔に微笑が戻ってきた頃。

ある夏の嵐の夜。

それは激しい嵐であった。

ここ数年来、あったことのない、激しい嵐であった。
荒れ狂う風と雨が雨戸を叩きつける。

こんな日には貴賎問わず、家に閉じこもって、嵐が過ぎるのを待つしかない。

しかし「やと」は、漠然とした不安を抱えながら、眠れずにいた。
部屋の外に人の足音がした。
「やと」はゆっくりと体を起す。

「姫君」
「宗像か?」
「はっ。お休みのところ申し訳ありません」
「このような夜更けに何用じゃ?」
「北の河が決壊した由にございます」
「むっ…それで、被害は?」
「河の水が下流の田畑に…それに、高藤の村が一つ…」
「むむ。人足を集めよ。決壊した部分を修復いたせ。今年はすでに不作の気配が見えておる。
国主殿は、善人ゆえ、我等の食い扶持と来年の種籾程度は残してくれようが、洪水
で流されてしまっては、出すものも出せぬ。急ぎ人手を借り集め、堤を直すのじゃ」
「はは、直ちに」
「藤原、藤堂、尾崎を呼んで参れ。妾もまいるぞ」
「いやいや、姫君はこの館にて、お待ちを。藤原と、藤堂、それに私が陣頭指揮を執ります。
下流の村々には既に、山見がふれて回っておる頃でしょう」
「そうか…宗像」
「はっ」
「善処せよ」
「御意」

被害は大きかった。
下流域の村人、数十名、そして田畑が洪水によって押し流された。
姫はそのあまりもの参上に唇をかみ締めた。

あまりといえばあまり。
せっかく訪れた復興と平和を、災害は、いとも容易く流し去ってしまう。

その年は、その後、何度も嵐が訪れ、その度に、彼の河は決壊し、人々を流し去った。

そして人々は噂した。

あの、河には魔物が住み着いたのだと…。


猫と魔女 100回到達!!

2007年04月18日 | 猫と魔女 第2幕
東壁堂です。
猫と魔女シリーズ、遂に、ようやくのことで100回到達しました!
長かったです。
途中で、止まってたし、最近更新速度遅かったしね。
本当に、到達するのか?
心配でした。
…というのか、第2話終わるのか?

それはともかく、記念すべき100回目に主人公達、まったく
登場していません。でているのは「やと」姫と「九頭」クンです。
しかも、「やと」は「夜斗」じゃないし、「九頭」にいたっては
人間じゃないしw

ちなみに「弥都」姫と書きます。

さぁ、一応、物語はクライマックスに突入しています。
この後、「夜斗」とあの魔物の登場シーンを書き、いよいよ、
夏樹たちとの対決シーンが始まります。

こう、御期待。

ちなみに、第3話は、すでにプロット書き始めていますし、
次回は靖四郎さんを主人公にすえようと、少しだけ思っています。
どうなるでしょうかねぇ?
もちろん、メインタイトルは「猫と魔女」ですので、猫の夏樹ちゃんと
魔女の瑞樹さんは登場します。させなきゃなりますまい?

だれか、絵心のあるひと、書いてくれないですかねぇ、彼女達。

ま、次は200回目指して頑張っていきますので、応援お願いしますね。

あ…そういえば、目次の更新して無いや。
次回更新時に修正しますね、いやぁ。あっはっはっはっは・・・

猫と魔女 その100

2007年04月18日 | 猫と魔女 第2幕

九頭が「やと」をぎゅっと抱きしめた。
はっと姫は息を呑むが、そっと目を閉じた。
覚悟は決まった。
共に、背後の崖の下にこの身を躍らせよう。
愛しい男と一緒であるのならば、少しも怖くはない!
「やと」も、その手を九頭の腰にまわす。
だが、しかし。
姫の手にはぬるりとした感触が伝わる。
「く、九頭?」
驚いた「やと」の手は血にまみれていた。
誰の血であろうか!?
少なくとも「やと」は傷ついていはいない。
自分が傷ついた記憶はない、痛みなんかありはしない。
だとすると、この血は誰のもの!?
恐る恐る、姫は九頭の顔を見上げる。
その顔には、ただ姫をいつくしむ柔らかな微笑が浮かんでいるだけだった。
でも、その額には汗のようなものが浮かんではいないだろうか?
わずかに、唇が震えてはいないだろうか?
そして、姫は気がつく。
己の腕についている血が、九頭の血であることに!
そして、彼の背中には無数の矢が突き刺さっていることに!!
彼が姫を抱きしめたのは、愛おしさからではない!
彼女をも守らんとするための行動だった。
「く、九頭!」
「大丈夫です、姫」
「だい、大丈夫なものか、九頭よ!!」
「姫、姫は生きるのです。何が起こっても。何が起ころうとも、この私が姫をお守りいたします」
「九頭!」
「例え、この身が滅びようとも、魂魄と成り果てようとも、私が姫をお守りいたします!」
「九頭、九頭!」
「姫は、生き延びてください。どんなことをしようとも!
我は、姫君を苦しめるものを、例え悪鬼羅刹と成り果てようとも御守するために参上仕りまする。
黄泉路の底より蘇りて、姫君を苛む災いを取り除きましょうぞ!」
「九頭!」
ぐらりと九頭の体が揺らぐ。
「九頭、九頭、九頭ーーーーー!」
九頭の体が崖下に落ちてゆく。
あらん限りの声で「やと」は叫ぶ。
愛しき伴侶を追おうと、一瞬、崖下にその身を躍らせようと考えた。
だが…。
「九頭」の最後の願いが…「生きよ」という願いが…。
その姫の身を押しとどまらせた。
「九頭………」


数年後。
「やと」の身は、かの国主の預かりとなった。
一族は滅ぼされ、愛しきものも殺された。
何度も、自害をしようと思い立ったが、それでも、彼との約束がその行為を押しとどめた。
そして、この地に新たに築かれた小さな城がこの姫の居城となった。
皮肉なことだが、この新たな国主がこの地を納めてから、戦乱の炎がこの地に災厄を運ぶことは
無くなった。それだけの実力を持った人物であったし、彼女を手に入れるため、この地を攻めた
人物とは思えないほどの、政務にかけてはその手腕を発揮した人物であったからだ。

ある程度の海の幸と山の幸、そしてわずかばかりとは言え、耕す耕地もある。
さすれば、姫のわずかばかりの生き残った一族が暮らしていくにはささやかではあるが、十分な
実りを得ることができた。もちろん、国主殿にわがままを言えば、贅沢な暮らしができる。
それでも、姫は質素な暮らしを望んだ。

それは…平和と呼ぶに足る暮らしであった。
愛しきものとの日々は帰ってくることはない。
それでも姫は暮らしていかねばならぬ。
残された者への責務も果たさねばならぬ。
忘れることはできない。
でも、悲しみは堪える事ができるようになるだけの、大人になることを姫は選んだのだった。

ここ数年で、国主は、何度か姫の居城に足を運んできた。
戦乱の武将らしく、ここかしこで戦を行っていたらしかった。
血の匂いに酔ってしまい、気分を悪くすることもあったが、その次からは国主も気を使ったのだろう、
その気配を感じさせることはなくなっていた。荒々しさの中にも細やかな気配りのできる人だと感じた。

ただ、彼が姫を抱くことは無かった。

武家の娘として、敗軍の娘がどのような扱いを受けるかは理解していたが、彼は姫をそんな、慰み者として
使うことは無かった。ただ、突然表れて、姫の酌で、酒を飲み、彼女の手料理を美味しそうに食べ、そして
世間話をして、気がつくと、彼は次の戦場へと旅立っていたのだった。

九頭のことはある。
彼女の一族を奪ったのは彼だ。
だがしかし、自分の酌で酒盃を傾け、世間の話を楽しげかたる彼のことを、どこか憎みきれない想いが
彼女の心に生まれ、そしてゆっくりと育っていることに、戸惑いを隠すことはできなかった。