goo blog サービス終了のお知らせ 

東壁堂本舗

魔法少女 二次 はじめました!
リンクフリー!
ご意見ご感想はフリートークのページへどうぞ。

魔法少女リリカルなのは 彼女達の奮闘記 TYPE Sts 予告編

2012年07月22日 | 彼女達の奮闘記 次回予告?
 無印が終わっていないのにこんな予告あり得ない……ですよね、ごめんなさい。
 


 「世界にはままならぬ事が満ち溢れている、そうは思わないかね、お嬢さん?」

 それが世界を震撼させる陰謀劇、あるいは悲劇、もしくは喜劇の始まり。


 2年前……

 「これが…例のものかね?」

 神経質そうなメガネのスーツの男性が、アタッシュケースの中身を確認しながら、対面の男性に確認する。
 その男性、そしてスーツの男も一目で堅気の人間とは、到底いえない雰囲気を持っていた。
 それでも、多くの人々が行き交うこの次元世界の空港ロビーでは雑多な人の気配に埋もれてしまう。

 「そうだ……これが、レリックと呼ばれるロストロギア…」

 「なるほど、これが……」

 歓喜に歪む男の顔。
 そして侮蔑に歪む男の顔。

 閃光と爆発。



 ミッドチルダ中央。
 その廃棄都市区画。
 数年前に発生した臨海第8空港火災事故の近隣都市で、空港災害の折、空港と共に閉鎖された地区。
 再開発計画の法案も何度か提出されているが、その資金難から法案が可決されることも無く、放置されている地域である。

 その上空を、軽輸送ヘリが旋回している。
 その無骨で機能性のみを追求されたデザインから時空管理局に所属するヘリであると推察される。
 実際に、ヘリのキャビンスペースからドアを大きく開き、ホールドアームで身体を支えながら、身を乗り出している女性の制服は、時空管理局の陸士隊のものだ。
 まだまだ、幼さを残す年若い女性であるだろうに、その襟元の襟章は二等陸佐のそれを示している。
 知る人が見れば、この人こそが、時空管理局の数少ないSSランク保有魔導師、八神はやて二等陸佐だとわかるだろう。
 
 「お、早速始まっているなー」

 彼女の眼下では、陸士部隊の、ランク昇進試験が行われようとしている。
 二人の少女が廃棄されたビルの屋上に、整列している姿が見える。

 「ちゃんと、リインも試験官してる」

 「はやて、ドア全開だと危ないよ?」

 キャビンスペースに設えたシートに座る、金髪の女性が、はやてと呼ばれた女性をたしなめる。
 執務官の制服に身を包んだ、この人はフェイト・T・ハラオウン。
 空戦S+ランクの持ち主だ。 

 「モニターでも見られるんだから…」

 「はーい、けど…」

 フェイトの言葉に従い、ドアを閉めようとしたはやてが太陽の方に視線を向け、その目を細める。
 はやて達の乗るヘリの同型の機影が、太陽の光に隠れるようにして浮かんでいた。

 「なんや、あれ……聞いてないで?」

 「えーと…確か、陸士隊の報道部か何かが、試験の撮影をするとか言っていたけど…今日だったかな……」

 コンソールシートを指で押しながら、フェイトが周辺の航空管制を確認する。

 「そうなんか?」

 該当二件と表示。その内、一件は自分達のもの。
 だから、残りの一件が確認対象だ。
 表示に指で触ると、申請者や使用機器の一覧が表示されていく。
 確かに広報部からの依頼で飛んでいる機体だ。
 使用の機器一覧には撮影用のサーチャーとその数が表示されている。
 申請者は陸士隊広報部の一般局員。
 しかし、委託と言う形で別の部隊に依頼指示がなされている。
 この内容からすれば、おそらく、近くの手透きの部隊が、飛んでいるに違いない。

 「うん……陸士隊の隊員募集のプロモーションビデオの撮影をしたいんだって…えっと、許可は出ているよ?
 どうかしたの、はやて?」

 「うーん…確かに識別マーカーは本局のものやけど…スケジュールにあらへんかったんは変やなと思っただけや。
 ちょっと、向こうのヘリを呼んでくれるか?あんまり撮影に夢中になって、試験の邪魔されてもかなわへん」

 「わかりました」

 ヘリのコパイがはやての言葉に頷き、相手のヘリとの通信を求めた。



 「それで、君はこの二人をどう見るのかね?」

 壮年の男性が、彼の周囲に映し出されている、二人の少女のプロフィールを見ながら、対面に座る女性に問いかける。
 男性も女性も、八神はやてと同じように、陸士隊の制服を着ている。
 襟元の階級章からすると、男性は二等陸佐、女性は一等陸士の様である。
 と、言うことは、この二人も時空管理局に所属する正式な局員ということになる。

 それもそのはずだ。

 なつきと呼ばれた女性は、あのフェイト執務官とそっくりの顔。
 

 「うーん。陸戦Cなのは経験不足な為だから仕方ないかな?でも、訓練学校では二人とも優秀な成績を収めています。ショートカットの方、スバル・ナカジマの方は基本的にフォワードタイプ。スピードを生かした近距離のクロスレンジが得意。おっちょこちょいで、能天気なタイプだけど、いざというときの判断力は意外と高い。これだけ言うと、体力馬鹿に聞こえますけど、実は、訓練校は主席卒業。どこかの誰かさんみたいなタイプですね?ちなみに、空戦はまったくできないみたいです。裏技を持っているから、出来ないというのは語弊があるかもしれませんが」

 「ごほん!!……それで、もう一人、ティアナ・ランスター。こちらは…」

 なつきは、コンソールを器用に操りながら、ティアナの情報を目の前に展開する。

 「ティアナ・ランスター。スバル・ナカジマと同じく、現在のところ、陸戦C、階級も同じく二等陸士。彼女はスバルと違って、中遠距離の得意とする射撃を得意とする魔術師ですね。スバルとはパートナーみたいな関係で、スバルがアタッカー彼女がバックスでいい成績を収めています。他にも、幻術魔法も習得しているので、オールラウンドでの活躍が期待できそうですね」

 「なるほど、八神二等陸佐や高町教導官が目をつけるだけの人材だと……」

 「ええ、できれば、こちらに引き込みたいところですけど……」

 「難しいだろうな。まぁ、そうなるとこの部隊もこれ以上は魔導師保有枠を超えることになる、君の計画にも支障が出るんだろう?」

 「それもそうですね…やっぱり、ミカヅチを引き入れたのがまずかったですかね?」

 「うん、彼らの魔導師ランクを考えると、あれがぎりぎりだったからね」

 「仕方ありませんか。では、この訓練を…」

 とりあえず、見学していきましょう、と続けるつもりだったが。ヘリのパイロットが、この機に通信が入ったことを告げてきた。

 「なつき、あちらさんから通信だよ?どうしようか?」

 「あちらさんってどちら様ですか?」

 「あちらさん、本局の八神はやて二等陸佐殿だよ」

 「あれま……なんて?」

 「こっちの所属と目的を言え、だって。どうする?」

 「うーん…どうするもこうするも。答えるしかないでしょう?一応、本局には申請を出してありますよね?」

 「もちろん。ちゃーんと、広報部の子経由で申請が出るようにしてあるよ?」

 「だったら、何を恥じる必要がありましょうか」



 『こちら、846陸士隊のホウジョウ二等陸士です』

 通信モニターに緑かかった黒髪をポニーテールにしている女性の姿が映し出された。

 「八神はやて二等陸佐です。すいません、この空域は陸士隊隊員の試験にて閉鎖されています。許可なき航行は…」

 『はい、その試験の撮影に来ています。撮影許可の申請は提出済みのはずですが?』

 「そか…すまんな、一応、念のために確認させてもらうで?」

 『かまいません、申請コードRST-145RS5です』

 「了解や……ん、確認できた。手間を取らせてすまんなー」

 『いえいえい、お仕事ですから、すいません』

 「でも、申請はでとったけど、スケジュール表が出てなかったで?次からはちゃんと提出せなあかんで?」

 『え、え?あ、はい、すいません』

 「撮影という事なら、サーチャーの映像はこっちから送らせてもらう。あんまり、変な場所に設置されて、試験の邪魔をされてはかなわへんからな。それでかまへんな?」

 『はい、了解です。ご協力感謝します』

 「通信は終わりや、リンク先のアドレスは送っといてや?」

 『はい』

 通信モニタを閉じる。早速はやては、コンソールを使いリインを呼び出した。

 「リイン、ちょっとええか?」

 「ハイです」

 「今から指示する先にもサーチャーからの映像を送ってやってくれへんか?リアルタイムで結構や」

 「ほへ?えっと…上空を旋回しているヘリのメインフレームのアドレスですか、これ」

 「そうや、あの二人の試験風景の撮影らしいわ」

 「はい、了解しましたです」

 「それと……あのヘリの動きのトレスしといてな。変な動き見せたら即刻教えて欲しい」

 「了解です」

 リインに命令を下すと、ふぅっと大きなため息をついて、シートに深く座りなおすはやて。
 そんなはやてをフェイトは心配げに覗き込む。

 「はやて……?」

 「あかん……あかんで……。目の前に、金色の尻尾がちらついて、しゃぁない」

 「尻尾?」

 「そうや、地上本部の金狐や!」

 そういう自分は子狸と呼ばれている事を承知しているはやて。

 「846陸士隊……聞いた事ないか?」

 「え……あ……!」

 「そや、ほんの少し前まで、あの金狐がいた部隊や!そして…」

 「ミマサカ隊長のいる部隊だね……地上のエースとか呼ばれていた……。それじゃぁ……あそこになつきが?」

 「いるな……間違いなく」

 「なんで?」

 「最近、なつきも、地上部隊で優秀な人材を勧誘してるっちゅう、噂や。だったら、なつきも、あの二人に目をつけてもおかしゅうない」

 「そか……」

 「まったく……なに、考えとんのや、あいつ……」

 ぎゅぅっと眉を寄せているはやてを余所に、地上では、リインによる試験開始の合図が告げられていた。



 「あれ、もう一度、通信だよ。アララギ君からだ…えっと…秘匿通信要請だね、なつきに?」

 「え、私?誰からでしょう…つないでください」

 『おう、なつき!あんたに用事があるって人が…』

 「駄目ですよ……アララギ陸士。通信回線上では一応、ケイシキと言うものをわきまえていただかなくては」

 『お、おう、すまん。って言うか、失礼しました、副長』

 ピシッと敬礼をする圭一を見て、皆が一様に苦笑する。なつきは『元』でしょう、と言いながらも先を続けるように促す。

 『聖王教会より、秘匿回線で通信要請が来ています。繋いでもよろしいでしょうか?』

 「あれ、えと、ベルカの聖王教会?」

 「となると……カリム・グラシアだね」

 「ホウジョウ陸士、いいですよ、繋いでください」

 「了解、そっちはシールモードにするね」

 「ごめんなさい、お願いします。下の試験の様子は…」

 「うん、わかってる。試験の様子はちゃんと記録しておくからね。それと、ややこしい駆け引きはもう懲り懲りだから。それじゃあ、頑張って」

 ホウジョウと呼ばれた隊員が、操縦席のボタンを押すと、キャビンルーム全体が、魔法的な探知手段から防御する為の機能が作動する。なつきの前に通信のモニタが開いた。モニタ越しに映し出されるのは、聖王教会のカリム・グラシア。教会の重鎮である。
 
 『お久しぶり、なつき、ミマサカ隊長もお久しぶりです』

 「お久しぶりです、騎士カリム。お元気そうで何よりです」

 『あなたも元気そうですね、地上部隊での活躍、聞き及んでいますよ』

 「悪名の間違いじゃないんですか?地上部隊の金狐、その小賢しさは、教会にも伝わってませんか?」

 『ふふふ……子狸と金狐、仲良くしてくれると、私としても嬉しいのですけど?』

 「くすくす…騎士カリムも意外と口が悪いんですね。でも、カリムのお願いですから無碍にはできません。努力してみます」

 『お願いします』

 「それはそうと、まさか、秘匿通信を使ってまで、季節の挨拶をしたかったわけではないですよね?」

 『勿論です、例の部隊ですけど、創設が決定されました』

 「ほう…それはそれは…と、言うかほぼ決定事項でしたよね?わざわざ連絡をいただかなくても、はやてたちが活発に動き回っていましたからね。そろそろかとは思っていました」

 『あなたにも声が?』

 「しつこいったらなかったですよ。断るのに一苦労でした。三提督からの推薦状を持って乗り込んできたときには、頭にきて破り捨ててしまいましたよ。不敬罪でそのままクビにでもしてくれたほうがましでした。なのはとフェイトの泣き落としを使ってきたときには流石に首を縦に振ってしまいそうでした」

 「ははは、あの後、みんなからの視線が痛そうだったね」

 「それは、もう。特にフェイトの目ときたら…殺されそうでした……」

 『それは、ご苦労様です』

 「あの子狸め、いつか仕返ししてやります。けど…」

 『まぁ、議会の承認が降りた、というやつです。地上側の議員からの反論もほとんどありませんでした。地上部隊のおさえをなつきさんとミマサカさんでして頂いたお蔭です。あの人も不承不承ながら、ではありますが、承認してくれましたし。それに、他にも色々と手を回していただきましたよ、ね?』

 「何の事だかわかりませんが。何かの間違いでは?」

 ミマサカと通信モニタの向こうのカリムが苦笑を漏らす。この少女が、はやてに内緒でいろいろと動き回っていた事は、その頃からの協力者である二人にはよくわかっている。

 『まぁ、はやてには黙っておきましょう。どうせ、そのうちばれるでしょうが。それと、もう一つの案件ですが…』

 「そちらが本件でしたか、いかがでしたか?」

 『内々には承認されました。発令は、ご希望よりも遅れる事になりますが、確定事項として取り扱ってください』

 「なるほど…隊長は…」

 『ミマサカさんにお願いする事になります、事例は地上本部から発令される事になると思います』

 「そうですか…これなら」

 『はい、地上の不満を少しだけですが封じる事ができます。はやては地上部隊で研修を積んできてますから、彼女が活躍する分には問題ないのですが……教会や空の息がかりの部隊が活躍する事をよしとしない人も少なくはありませんから』

 「ま、そんな不満を少しでも解消するのが、お役目の一つという事で、ね、ミマサカ隊長」

 「ああ。部隊編成は、後ほど提出させていただきます」

 『わかりました。にしても、申し訳ありません。裏方みたいな仕事ばかりさせてしまって』
 
 「もともと、裏方が似合っているんです。不平不満はありません。ミマサカさんたちには確かに申し訳…」

 「それは、言わないでくれないか。少なくとも私は、君に協力をするつもりだし、隊員のみんなもその気持ちに違いはないはずだよ」

 「ん、感謝します。さて、カリム、用件は以上ですか?」

 『はい、では、また、何かありましたら』

 カリムの姿がモニタのウィンドウと共に消える。

 「さて……忙しくなりそうだね」

 「はい」



 彼女は、地上本部の屋上にあるヘリポートに降り立った。
 ヘリのプロペラの旋回音の煩さに顔をしかめながら、ミマサカ隊長に敬礼をする。

 「それでは、ミマサカ隊長。ありがとうございました。しばらくは、お別れになりますが、846部隊のみんなをよろしくご指導願います」

 「ああ、解っているさ。少なくとも、君が期待する最低限のラインまで叩上げてみせるよ。それで、次の勤務先はどこだっけ?前の勤務先である、うちにも秘匿扱いでの異動なんて、ね?」

 「本日の0時までは一応秘密なんですけど、まぁ、ミマサカさんならいいですか。次は、査察部の第4資料室ですよ、まったく、あの髭達磨め、時間ぎりぎりまで私をこき使うつもりですね」

 「第4資料室だと……兵装関係か……なるほど、MCHI関係かな?」

 「ええ、明日第4資料室に着任、その後すぐに出向です。まぁ…久々に…友人と会えるのは嬉しいのですが……」

 そう苦笑を漏らしながら、彼女達は建物の中に消えていった。




 「第6課……その着眼点は面白いのだけど、甘いのよね。そして脆弱。せいぜい踊ってもらいましょう、その時が満ちるまで。誓約を果たすその瞬間まで。御使いたちの審判のラッパが吹かれるそのときまで」

 暗闇の中でほくそえむ少女。

 その頭には、この世界を混乱させる為の壮大なるオーケストラのスコアが収められている。

 彼女は振る、破壊と混乱と混沌の三拍子を。

 「それは、完全に悪役の台詞よ、なつき」

 「何で私達、こんな人に付き合ってるんだろうね、アリサちゃん」

 「それは言わない約束でしょう、すずか…」

 ため息を突く二人の少女。





 「なんやて!聞いてないで、そんな話!」

 「当たり前よ、言ってないもの。古代遺物管理部機動六課第二分室。
 名前の通り古代遺物の中でレリックを専門に取り扱う部隊、機動六課の中にあって
 対ロストロギア関連のカウンターテロ及び六課フォワードチームの地上バックアップ部隊。これが第二分室の存在意義。
 指揮権は一応はやてにあるけど、できるのは出動の拒否権のみだから。
 それから、これはカシム・グラシア、本局の3提督、地上本部のレジアス・ゲイツ中将の承認済みの案件だから」

 笑みを浮かべる地上本部の金狐、唇を噛み締めて悔しがる本局の豆狸。
 暗に、どころか堂々と、レジアス・ゲイツの後ろ盾があることを宣言する。

 「とりあえず、ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマは1ヶ月間うちで預かるから。
 なのはとあんな事があっちゃ、そのままチームとして組み込んでおくのは危険でしょ?
 一月ほど様子を見て、そっちに帰りたいと本人達が望むのなら、そうするわ。
 安心して?非常時には、うちからとても優秀なスタッフがお手伝いに上がるから」



 爆音と悲鳴。
 吹き上がる炎と逃げ惑う人々。
 テロによる事件が増加する中、地上部隊の出動回数は鰻上りに増加する。
 その中で、炎に照らし出されながら、新設されたばかりの部隊が出動する。
 緑がかった、綺麗な長い黒い髪の毛を髪留めで縛った女性が直立不動で整列した隊員の前で、訓示をたれる。

 「全員、傾聴!
 今日は、新人と言うか、出向2名の歓迎会を執り行っている最中だが、事件が起こってしまってはそちらが最優先だ。
 騒ぎ足りない分は、此処で活躍してその鬱憤を晴らせ!」

 応!と居並ぶ隊員達は声をそろえて、返事を返す。
 そんな隊員達を満足げに眺めながら隊長らしき女性が、部隊の端に立ち二人の少女に目を向ける。

 「スバル、ティアナ!」

 はい!っと声をそろえて二人が返事をする。

 「転属になっていきなりの出動だけど、緊張している?」

 「いえ!」

 「そうかい、いい心がけだよ。なに、心配する必要はない、此処には優秀なスタッフと、最高のフォワードが揃っている。
 もちろん、あんた達もそんな最高のフォワードの一人だ、後衛を信頼しろ、先輩達の動きをよく見習え!
 そしてあんた達自身も、その力を十分に発揮しろ!」

 「はい!」

 「さぁ、とりあえず、地上0846部隊改め、機動第六課第二分室の初仕事だ。
 そして御誂え向きに、今回の仕事はあたし達の真骨頂ともいえる分野だ!
 まずは、此処で大活躍して、あたし達の名前を大々的に宣伝してやろうじゃないか!」

 『応!』

 一方なつきは、路上に臨時で作り上げた管制エリアで、モニタに映し出される映像を見ていた。
 地面にそのまま、情報端末を置き、コンソールを叩きつけるようにしているのは、アリサ・バニングス。
 その隣で、無理やりこじ開けた街頭情報端末の操作パネルに、自分の端末を繋ぎこんでいる月村すずか。
 パネルを引き剥がしてむき出しになった配線をニッパーで切断しながら、自分の端末コードを繋ぎこんでいる姿がどことなしか嬉々としているのは気のせいか?

 接続が終了すると、彼女達の周りにコンソールパネルが出現する。
 指揮車が来るまでの臨時措置とは言え、何故かしら、ものすごく手馴れている。
 
 三人は、展開した情報端末を操作しながら、指揮管制を行い始める。

 「擬似ネットワーク構築完了、管制プロトコル展開中、地上本部各部隊にレッドアラート発令」

 「室長は?」

 「現在、指揮車と共に官舎を出発しました。到着まで20分、アララギ陸士と、ホウジョウ陸士が同乗してきます。第0846隊陸士6名が同乗、通信可能状態まで残り3分」

 「同時に我が隊のシフトはレッドアラートへ以降、休暇中の各隊員も連絡が取れ、官舎へ集合中」

 「ミストラル1、交通管制はどうなっている?」

 「本局の交通管制局に掛け合って、現場周辺の道路と航空制限を依頼中。地上の交通管制局からは10分以内に周辺道路の封鎖許可をもらう予定よ」

 「ミストラル2、医療チームの手配は?」

 「ERを所有する各病院に協力を要請中、うち6病院がすでに受け入れ態勢を整えてくれています。緊急車両の手配は現在同時進行中。終了後、他ブロックへ応援を要請します。収容人員と搬送経路のリストはただいま作成中。アリサちゃん、交通局に搬送経路のリストを送付しておいて?」

 「了解、すずか。なつき、予定より早いけど、交通局からの許可が出たわ。周辺の交通管制を制限を現時点を持って開始します。協力を要請していた制限エリア近辺の地上部隊に管制情報を通達。同時に管理局法第631条の適応を申請、受理。一定区画内の報道関係者の立ち入りを制限します。後で苦情が来るのを覚悟しておいてね、なつき」

 「そんなものは後回し。航空隊の到着は?」

 「現時点で、出動要請中。でも、駄目ね、承認が降りるまで、もう少し時間が掛かりそうよ?」

 「地上部隊はレジアス中将の特例で、すぐにでも出動がかけれます。ただし、後で、報告書の山は覚悟しておけとの事、ナカジマ隊長のありがたいお言葉です」

 「ゲンヤさんね。協力感謝と言っておいて」

 「了解」

 「第6課は?」

 「現時点で各隊長、副隊長ににスクランブルが掛かっているわね」

 「なのはとは?つながる?」

 「すぐにでも……でました」

 『はい、こちらスターズ1、高町なのは……って。え、えええーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?な、なんで、すずかちゃんがそこにいるの?』

 「あたしもいるわよ?」

 『あ、アリサちゃん!?』

 「驚くのは後にして、なのは。今は緊急事態」

 『う、うん。それで、どうなってるの?』

 「D-8ブロックの商用ビルにて爆発事故が発生、状況からして事故と事件の両面で調査が必要ね。ただのビル火災にしては熱量が高すぎるわ。おそらく後者の方だと思われるわ。偶然、現場近くにいた私達が、とりあえず、周辺区域の封鎖と要救助者の救助に向かいます。各方面への通達は、随時実施していくけど。あっと、それから、スバルとティアナ、いきなりだけど使うわよ?」

 『え、何で二人が?』

 「ほら、あの二人はうちで預かる事になったでしょ?だから、その歓迎会だったのよ」

 『なるほど、その件は了解だよ』

 「はやては?」

 『地上本部にいっているから、今は不在だよ。でも、さっき連絡があって、もうすぐ戻ってくると思う。六課の方は緊急出動態勢をとっているよ?』

 「うん、了解、それじゃぁ、すぐにでも出れる体勢を整えておいて?命令書はすぐにでも届くはずだから。でもごめん、地上の方からになっちゃうけれど」

 『うん、わかった』

 「なつきちゃん、そのはやてちゃんから緊急通信」

 「つないで『なにがおこっとんのやーーーー!』……落ち着きなさい、はやて」





 はやては目が点になってしまった。

 「は!?もう一度、教えてくれへんか、なんやって?」

 「ジェイムス・スカリー技術補佐官だ」

 にやりと笑みを浮かべる白衣の男。
 どう見ても、どう考えても、広域指名手配されている次元犯罪者のあの男だ。
 しかし、なつきが提出してきた資料には、明らかに『ジェイムス・スカリー』と、そう書かれている。
 戸籍関連も本局のデータベースに照会しても、その情報が間違いではない事がわかる。
 なのははあまりの事に硬直し、フェイトは呆然と立ち尽くす。

 「と、言うわけで、TM重工からの出向扱いで、第二分室の技術官扱いで此処にお世話になる事になった」

 「というわけだから、よろしく頼むわね、はやて?」

 「な、なにがおこっとるんやーーーーー!」

 「落ち着きなさい、はやて」






 「それで、ロッサ君、内定の方は進んでるかな?」

 八神はやてのいる機動六課の執務室で、はやてはやってきたヴェロッサ・アコース査察官と面談をする。
 この場にいるのは、はやてと査察官の二人だけ。
 対談の内容が内容だけに、外部に漏らすわけにはいかない。

 「ああ、黒も黒、真っ黒クロスケだよ、石田なつきと言う人物は。地上本部、関係各庁、そして協会の上層部にかなりの大金をばら撒いているみたいだね。そして、その資金の出所となっているのが、TM重工。数年前から当時のレジアス・ゲイツ少将の口利きで地上本部の発注を請け負うようになった軍産複合体の企業だ。面白い事にね、重工発足当時の登記簿の中に、石田なつきの名前があるんだよ」

 「………」

 手渡された資料を見て、はやてはわずかに眉をひそめる。

 石田なつき以外の名前に、あのジェイムス・スカリー技術官の名前があったからだ。
 そして、それ以外の2名の名前、月村すずか、月村忍。
 まさか、こんな場所で見るはずのない名前。そういえば、月村すずかもTM重工からの出向組だったか。

 「はっはっは……まさか、あのジェイル・スカリエッティのそっくりさんが、いまやその名を管理世界中にとどろかすTM重工の設立関係者だったとはね。ああ、それから、もう一つ、言っておくよ、はやて」

 「なんや……」

 「協会の上層部……だけどね。自分の古巣だからいろいろと探ってみたんだけど、かなりヤバイ、ネタが出てきてね。そろそろ手を引こうかと思うんだ」

 「なんやて!?ちょい、まち、ロッサ君が手をひかなあかんほどの相手なん?だれや!」

 「いや、まぁ……ねぇ?聞かない方がいいと思うけど……」

 「なんや!いまさら、驚かん!」

 「第2分室設立に提供された多額の資金。それを出したのは、地上本部のレジアス・ゲイツ中将。当時のグラシア枢機卿、そして……カリム・グラシア」

 「な、なんやてーーーーーー!?」

 「落ち着くんだ、はやて」



 「回避!」

 空を埋め尽くすガジェットと呼ばれる戦闘機械の群れ。
 その背後にかすむように見える巨大な空を飛ぶ船。

 その船から打ち出された無数の魔力弾が、第六課の搭乗する艦船、アースラを打ち、貫く。
 アースラ表面に薄い膜状の防御壁が現れるが、黒い光をまとったその雷光は容易にアースラの防御を抜けてくる。
 左翼の甲板上に、突き刺さったそれは、閃光を放ちながら爆発した。

 「艦体、左舷に被弾、被害甚大です!第2ブロックに火災発生、該当ブロックを閉鎖します。機関出力大幅に低下、このままでは高度が維持できません!」

 「スターズ隊とライトニング隊は?」

 「ガジェット郡に囲まれて身動きが取れません!ゆりかご、さらに前進!このままでは、振り切られます!」

 「空戦魔導師の部隊は、本局はなにやっとんのや!」

 「ゆりかご、中央部に高熱源確認、集束しながら、エネルギー増大中!敵主砲、アースラをロックしました!」

 「な、なんやて!?」

 「主砲、来ます!」

 「総員、対衝撃防御!」

 「大変です!本艦前方200の位置で次空間連続面に乖離現象確認、何者かが、次元空間から離脱してきます。質量大、戦艦クラスです!」

 「くっ…此処で敵の増援か?…ここまでか……総員退避や!ごめんな、なつき……あんたの仇、とってやれなかった……」

 『勝手に人を殺すな、と言うのがやっぱりお約束?』

  「な、な、なっ?」

 突如映し出された、女性の顔にはやては驚愕する。
 フェイトそっくりの少女が、アースラのメインモニタに映し出される。
 通信の許可もなしにである。

 「敵艦より、通信の強制割り込みです!」

 『やっほ、はやて、元気?あ、動かないでね、ちょっとでも動いたら、ゆりかごの主砲が、アースラごと次元管理局の本局を吹き飛ばすから』

 「な、なんやて!?」

 はやてがロングアーチのメンバーを見回すと、真っ青になった彼らの表情がそれを事実であると物語っている。

 『それから、この放送をお聞きの全世界の皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。元次元管理局第六課第二分室室長補佐の石田なつきです』

 「はやてさん、次元管理局のメインサーバーがハッキングされています!少なくとも20箇所以上のメインフレームからのハッキングが行われており、本局も対処に戸惑っています。この放送を止める手立てはありません!」

 そして、完全に姿を現した、なつきの乗る乗艦。
 その姿はアースラにとても酷似している。

 「敵艦より、ガジェット群無数発進を確認、本艦周辺に展開しつつ、AMFを発動。同時に、ガジェット群の一部が本艦の甲板に取り付きました、内部への侵入を開始しています。あ、本艦のメインフレームにハッキングを仕掛けてきました、対策パターンBで対応します」

 『私、石田なつきは、次元管理局に対して宣戦を布告いたします。もちろん、故あってのことですが、単純に本局の管理体制が気に入らないと言う事ではありません。本局の持つその体質、本局の管理運営の根幹に対して私達は宣戦を布告いたします。
 この件に関し、異論を持つ方々は多数いらっしゃるでしょう。勿論私の意見は、手前勝手なものなので、すべての人々に賛同をいただくつもりはありません。しかしながら、立ち向かってくる方々には全力でお相手いたしましょう。
 ただし、むざむざやられるわけにはいかないので、それなりの覚悟はしてきていただきましょう。
 無論、血が流れるのであれば、私は犯罪者の謗りを甘んじて受ける事にいたしましょう。それが私の覚悟であり、私の進むべき道でありましょう。
 さて、では、はじめましょう。破壊と再生の序曲を、忌々しきこのワルツを踊るもの達の為に、私はあえてタクトを振りましょう。そして……高らかに、私達の歌を歌い上げましょう!』


 ついに始まるストライカー同士の激突。

 「ウソ!何でなつきちゃん達と戦わないといけないの!」

 「運命と言う奴です、なのは。あたえられた栄光に溺れる者、魔法に魂を引かれた者達への、持たざるものへの復讐劇なのです!そしてこの管理局制度と言う体制がもたない時が来ているのです!誰かが、誰かが粛清と言う大鉈を振らないといけないのです!」

 「それがなつきちゃんである必要はないじゃない!」

 「私はすでに選択したのです!もはやお互いの事情を確認しあっている段階ではないのです!」

 「そう、そうなんだ……」

 高町なのはは己のデバイスを敵に向ける。

 「それでも……」

 ニヤリと笑みを浮かべ、石田なつきはかつての友に、同じくデバイスを突きつける。

 「お話は聞かせて欲しいから……」

 「とりあえず、殴って沈黙させてからオハナシという奴ですか?なるほど、悪魔らしい」

 「にゃはは……またそれだね。だったら、こう返さないとね。『いいよ、悪魔らしいやり方でお話を聞かせてもらうから』」





 「全艦ファイアリングロック解除!アルカンシェル装填開始、目標第67管理世界!」

 「本当に、本当にいいんだね?撃つから撃たれる、撃たれるから撃つのでは、いつまでたっても紛争なんて無くならないよ?」

 「……覚悟は決めたんや、もう後戻りはできない……ごめんな、結局巻き込んでもうた……フェイトちゃん」

 「うん……そうだね……でも、後悔はしてないよ……しないと決めたんだ、あの時から」

 「そう……やね……」

 はやては手を振り上げる。

 「アルカンシェル、発射……ごめんね……なつきちゃん……全艦隊、砲撃開始!」





 「それで……本当に覚悟はいいのですか?」

 「うん、真実を知った以上、わたしがわたしである以上、わたしは私の戦い方をする。これがその第一歩だというのなら、わたしは絶対に逃げたりはしない」

 「そうですか……わかりました。だったらこれ以上は何も言いません。それに貴女は昔から言い出したら止まらない人でしたよね、なのは」

 「それはなつきちゃんだって同じでしょう?」

 「ふむん、そんなつもりはないのですが……よろしい、各員状況知らせ!」

 「次元空間から抜け出すまで残り400!」

 「目標アースラと次元航行艦隊の交戦空域手前100」

 「アースラ、機関部に被弾、ダメージコントロールが不能状態。危険度赤!」

 「次元空間から抜けたらすぐにリニアカタパルトを展開します。スターズ小隊を射出後、順次ナンバーズを戦闘空域に展開。目標を回収した後に、上空にある監視衛星をハッキングします。ラウム技術技官の方の準備はどうなっているか!」

 「若干の遅延が見られますが、ほぼオンタイムです!」

 「作戦タイムは10分です。いけますね、なのは、スバル、ティアナ!」

 「了解!」

 「よろしい、それではブリッジ遮蔽、CIC起動!リアライズまで残り200!総員戦闘態勢!レッドアラート発令!」

 「まっててね、フェイトちゃん……はやてちゃん……」






 次元世界で起こった一つの事件。

 それは、すべての世界を巻き込んだ大事件へと発展した。

 何が正義で、何が信じられるのか。

 物語は新たな展開を迎える!

 魔法少女リリカルなのは 彼女達の奮闘記 TYPE Sts

 Cooming soon ……
 



 なつき「なんて、夢を見たわけですが……どうしましょうかね?」

 リニス「マスター、もしかして、あなた無政府主義者かなにかですか?」

 なつき「とんでもない…」