ヒトへの進化。そしてヒトの限界と可能性。

私たちの体には38億年の歴史が詰まってます。偶然と必然が組み合わさり進化をしてきた我々の祖先の謎とは?

湿地帯の試練と肺の進化(1)

2008年02月28日 | Weblog


アマゾン川は3億7000万年前のデボン紀の様子を現在もそのままに再現している場所と言える。湿地帯の豊かさと、私たちの祖先が直面したであろう困難を目の当たりに出来る場所であるからだ。

雨季、アマゾンは増水により氾濫し、ジャングル内部まで水が入り込む。こうして生まれる水没林は、アマゾンの中でも最も多様な生物を育む場所になる。多くの魚がこの複雑な環境を隠れ家として利用し、木々が水没する時期に合わせて産卵する魚も多い。

アーマードプレコはナマズの仲間で、デボン紀の板皮類を彷彿とさせる鎧をまとっている。水底に住み、木の表面につくバクテリアを餌にしている。表面のバクテリアを口の中に吸い込んで鰓で濾過している。

タンパキーは水に落ちた木の実を食べる。硬い実をかじるための強力な顎と歯を発達させている。タンパキーは雨季のあいだに木の実を食べ、体内に油を蓄え乾期に備えるのだという。

アロワナはぎょろっとした特殊な目を発達させている。その目は水中と水上両方を見ることができる。この目を生かし、水上に現れた虫をキャッチ。さらには水面から1メートル近くジャンプし、捕食を行うことでも知られている。

アマゾン川の最大の捕食者はピラルクー(※写真下)で、1億年前からアマゾンに生息している古代魚だ。大きなものは体長4メートル、体重200キロにも達する世界最大級の淡水魚だ。

このように熱帯の淡水域は地球上で最も多様な生命が存在する場所となっている。そしてこれら多様な生き物たちに支えられ、アマゾンの食物連鎖はとりわけ大きなピラミッドを形作っている。大型の捕食者の生息できるのだ。

これと同じ状況がカレドニア山脈のふもとに広がるデルタ地帯にもあったと考えられている。いまは絶滅して存在しない珍しい魚が湿地帯の特殊な環境に適応し、豊かな生態系を築きあげていたのである。

その中で私たちの祖先も子孫を残そうと必死の生き残りを模索していた。

※参考文献
 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004