ヒトへの進化。そしてヒトの限界と可能性。

私たちの体には38億年の歴史が詰まってます。偶然と必然が組み合わさり進化をしてきた我々の祖先の謎とは?

生命の痕跡と石の記憶(2)

2008年02月11日 | Weblog

ロージング博士が発見したこの堆積岩は、実に30cmが3000年をかけてゆっくりと全く乱れずに積もっている事を示している。つまりこれは、波がない場所、つまり100mより深い深海で堆積したものなのだ。
更に
熱水噴出孔(生物の誕生場所と想像されているところ)が近くに無いことも重要なポイント
となる。水の流れが多少でもあると、綺麗な堆積岩にならないからである。

ロージング博士は生物は熱水噴出孔の近くで誕生したか、あるいはどこか別の場所で誕生し(特定はされていない)、ほどなくして熱水噴出孔の周りにやってきたと考えている。
複雑な仕組みを持たない誕生直後の生命にとっては楽に生きられる環境だからである。だが、博士が見つけた「生命」は、熱水孔を離れて大海原に暮らしていた事を、その一糸乱れぬ縞模様から容易に想像できるものである。

しかしそこで生きるのは大変である。

エネルギーやミネラルの少ない海水から効率的にエネルギーを体内に取り込む能力を携帯してなくては生きられないからである。
ロージング博士が生命の誕生した時期を推測しても「38億年前よりずっと前」である。ただし、海が出来た直後であるとは考えられる。
最近の研究では43億年前頃には地球に海があったことが分かってきているので、生命も43億年前頃に誕生した可能性がある。

結局これ以上深く言及できないのが実情である。それは仕方の無いことである。なぜなら、
生命がどのように誕生したかは未だに解明されてない。決定的な証拠が無いからである。

※参考文献

 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004


生命の痕跡と石の記憶(1)

2008年02月11日 | Weblog

ミニック=ロージング博士の発見

グリーンランドの内陸部は一面氷河で覆われている(世界の氷の12%がここにある)。
ここから38億年前に形成された枕状溶岩とある堆積岩が発見される。
38億年前には海が存在し、ここが海の底だった証拠である

この堆積岩の縞模様は細かい黒/緑の層が幾重にも重なって出来たものだが、黒い部分がグラファイト(炭素)で出来ており、生物を構成していた有機物が38億年かけて、この炭素の粒に変化した可能性が高い。

さて炭素には、我々を含む生き物が好んで使う「炭素12」や、もう少し重量のある「炭素13」などがある。ミニック=ロージング博士は、この堆積岩は生命由来の炭素12が多く含まれているという論文を発表し、1999年のサイエンス誌に掲載された。
後に38億年間地殻変動を受けていない堆積岩として注目を浴びるようになる。
(※炭素同位体は、400℃以上の熱に晒されると炭素13↔炭素12のように置換が起こる)

しかしロージング博士はこれが地球史上最初の生命だとは考えていない。むしろ「ありえない」と言っているのである。これでも(とは言っては失礼なのだが)地球最初の生命にしては進歩しすぎてるらしいのである。

この堆積岩は地殻変動の影響を受けてない(変成されていない)岩としては最古の岩なので、現在の地球上でこれ以上古い生命の痕跡を見つけるのはほぼ不可能に近い。

つまり、地球で遡れるだけ遡ってみたら、そこには既に生命があったのである。

※参考文献

 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004