ヒトへの進化。そしてヒトの限界と可能性。

私たちの体には38億年の歴史が詰まってます。偶然と必然が組み合わさり進化をしてきた我々の祖先の謎とは?

【休憩中】エディアカラ紀のアバロン爆発【その6】

2008年02月16日 | Weblog
種の爆発はカンブリア紀以前にも起こっていた、米研究者が論文発表

5億4200万年前頃のカンブリア紀に起きたカンブリア爆発と呼ばれる種の爆発現象は、カンブリア紀特有の現象ではなく、それより以前のエディアカラ紀にも同じような種の爆発現象が起きていたことが科学専門誌「サイエンス(journal Science)」に掲載された論文により明らかとなった。

この研究発表を行ったのは米バージニア工科大学のシャオ(Shuhai Xiao)准教授を中心とする研究グループ。

シャオ准教授はカナダのニューファンドランド島のエディアカラ紀の地層から採取された化石から200種類以上の新種の動物を発見。

種の豊富さから判断して、エディアカラ紀にもカンブリア紀に起きた種の爆発と同じような現象が起きたのではないかと推測した上で、このエディアカラ紀に起きた種の爆発を「
アバロン爆発(Avalon explosion)」と命名した。

シャオ准教授によると、エディアカラ紀に起きた種の爆発で生じた生物はカンブリア紀に入るまでにはほとんどが絶滅。そのことから、この現象は生命の進化の過程で起きた結果としては失敗した一種の「実験」のようなものだったのではないかと述べている。

※ソース Technobahn 2008/1/4 20:20
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200801042020

全球凍結と生物の巨大化(4)

2008年02月16日 | Weblog

二度の全球凍結、二度の生物巨大化

「進化カレンダー(46億年前の地球誕生を1月1日、現在を12月31日とするカレンダー)」をもとにすると、生命誕生が仮に40億年前(諸説はあるが)とするならば、それは2月半ば頃の出来事になる。この頃の私たちの祖先は単細胞のバクテリアだった。

その後、気の遠くなるほど先の7月まで私たちの祖先の大きさはほとんど変らない。ずっと単細胞のバクテリアのままだった。

7月、私たちの祖先に革命が起きる。
真核生物という、細胞の中に核を持つ生物に進化するのだ。

真核細胞の大きさは体積比でバクテリアの1000倍になる。細胞の中をたくさんの小部屋に仕切る「細胞骨格」を持ち合わせ、さまざまな細胞内小器官を持つなど、バクテリアよりかなり複雑な生物だった。もっとも「複雑」とはいってもあくまでもバクテリアと比べての話ではあるが。

実はこのタイミングは1回目の全球凍結(24億~22億年前)のタイミングと奇妙に一致している。

その後、私たちの祖先の大きさはあまり変化しない。7月に誕生した単細胞真核生物は、10月頃にようやく多細胞生物になるのである。

化石の研究によれば、最大でも長さ数十センチの、ヒモのような形をした生物が見つかっているだけだ。私たちの祖先はもっと小さく、現在のべん毛虫(※写真)という動物プランクトンに似た生物だったと考えられている。

ところが、11月中旬、2回目の全球凍結の後に、突如として大型生物が出現する。先ほどご紹介したエディアカラ生物群だ。


つまり地球史上、生命の大型化は二度あって、それらの前にはいずれも全球凍結があったことになる。

二度の全球凍結と二度の生物巨大化。
この奇妙な一致は何を意味するのだろうか。


        <全球凍結と生物の巨大化・完>

※参考文献
 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004


全球凍結と生物の巨大化(3)

2008年02月16日 | Weblog

これはエディアカラ生物群を代表するディッキンソニアという生物だ。大きいものは直径1メートルもある。海底にどっしりと横たわり、ときおり尺取虫のように移動したとも考えられている。(先に掲載した写真はプテリデニウムという生物)

これまでに見つかったエディアカラ生物群は実に100種類を超える。
(※新種の発見が相次ぎ、その数は現在200種類以上にのぼる)

5億6500万年前に出現し、5億4300万年前の「カンブリア紀の生命大爆発」の直前に姿を消したといわれるこのエディアカラ生物群は、人類も含めた現代の生物に繋がるものなのか、それとも一時的に栄えて、その後絶滅してしまったのか、今でも議論が続いている。

しかし最近になって、エディアカラ生物群とカンブリア生物群をつなぐと思われるような化石が見つかり始めており、エディアカラ生物群の研究者の多くは、エディアカラ生物群を現代の生物につながる生き物である、
つまり我々の祖先であると考えている。

6億年前の全球凍結が終わった後の海には、地球史上初めて登場したメートルサイズの大型生物の楽園がひろがっていたのだ。

※参考文献
 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004


全球凍結と生物の巨大化(2)

2008年02月16日 | Weblog


全球凍結後に現れる謎の化石

迷子石(※1)やキャップカーボネイトがあるナミビア北部の地層は5億5000万年前頃のものだ。ここを調べれば、全球凍結が終わった後に生物がどうなったのかが分かるはずである。

そこから長さ20センチ、幅10センチほどの生き物の体らしきものがたくさん見つかったのである。全球凍結後ほどない時代の岩から出てきたこの生物(動物か植物か未だに分からないらしい)。研究が進むにつれて、オーストラリアやロシアなど、世界中の同地層からも大型生物の化石の発見が相次いだ。

同時期にいっせいに出現したこれらの生物は、発見地のひとつであるオーストラリアの地名を取って
エディアカラ生物群と名づけられている。

エディアカラ生物群の出現は地球史上、劇的な出来事だった。なぜなら、全球凍結の前まで、地球上には最大でも長さ数十センチのヒモのような単純な生物がいるだけで、多くは肉眼で見えるか見えないかの微生物だったからだ。

つまり、エディアカラ生物群は、
地球史上初めて誕生した大型生物、ということになる。

(※1)迷子石
氷河によって削り取られた岩石がその氷河に乗って遠くまで運ばれたもの

※参考文献
 NHK地球大進化プロジェクト・地球大進化・日本放送出版協会・2004