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ベルリンで、さあて何を食おうかな?

2004年5月に書き始めた初代ブログです。

A.Cavalli

2005-06-25 02:07:03 | 楽器と弓の話
ここは基本的には更新しないので、この美しい裏板の写真をページのトップにとどめておきます。新しい方のBlogに表板の写真を載せたイタリアはクレモナの5弦コントラバスです。
長い間使われてなかった楽器、さ~てどんな風に変わっていくか?楽しみです。
まだ自分のものじゃなくって、購入するであろう意思だけ持ち主に伝えてある状態なのに、もうすっかり自分がずっと弾く気になっていますね。すぐに全額じゃなくても良いとはいえ、どうやって支払うんだろう?


じゃじゃ馬ならし

2004-12-10 00:43:13 | 楽器と弓の話
こんどはコントラバス。1860年製のスカランペラ。
フランスのコレクターから預かってる楽器で何十年も使われてなかったので鳴るように弾き込んでる最中ですがこれが稀に見る難しさ。
よくなって、また何日かかわらなくてまたよくなるっていうのがいままでの楽器のパターン。
もちろん差はあるけど鳴り始めたらたいていはそのままどんどんよくなっていくものですがこのKBは波が大きい。
特に昨日、一昨日はひどいもんでだましすかし優しく弾いてもいい音がしない。
今日も夕方トライ、ちょっとぐずったあとで一気によくなりそのまま3時間、
またまたご機嫌な状態。なんなんでしょう、湿気とかのせいではなくてやはり性格?
とにかく本日は自分のソロ楽器BUSANが大きい楽器なのでそれで弾くにはやや難関なBottesiniのグランドデュオ(バイオリンとKBの協奏曲)をおもに演奏。
実にテクニックはこの楽器だと楽。音も音色もかなりよし。
明日は午前中OFFなのでまた弾くつもりだけど
ご機嫌はいかがでしょうかね、お嬢さん!


デスピーネ

2004-11-10 22:23:28 | 楽器と弓の話
久しぶりに楽器です。これはイタリアはトリノのデスピーネという楽器職人が作った楽器で1831年製。コントラバスという弦楽器は他のに比べていまだに形、サイズ等が統一されていない楽器ですがそれにしてもこれはめったに見られない形です。僕はこの形気に入っています。170年以上を経ているのに、驚くなかれ、ただの一箇所も壊れた個所がない楽器です。6,7年前にドイツのコレクターを通してフランスのコレクターから手に入れた楽器で、このとき4弦のガダニーニ(ガエターノ)も購入。それまで持っていた楽器を売却、貯金もすべてはたいて手に入れました。外見の美しさはもちろん音も極上。ここ2,3年はガット弦に銀を巻いてある弦を張っています。今まで何も事故がなかったので僕の代で何も起こらないようにただただ気をつけています。


1860年製 スカランペラ

2004-10-13 23:52:38 | 楽器と弓の話
イタリアの弦楽器職人の家系。このコントラバスはLorenzoの作。モダンイタリ-のバイオリンで有名な兄弟の父にあたります。息子たちはバイオリンで有名ですがLorenzoは楽器の書物を紐解くと、チェロ作りで有名なようです。KBは非常にめずらしく、しかもいい出来。
ブレシア(Maggini, Gasparo da Salloなどの弦楽器作りの巨匠を輩出した地方)の楽器つくりの伝統が溢れる楽器です。僕が何本か楽器を譲ってもらったフランスのコレクターから弾き込んで欲しいと頼まれた楽器で、使われていないため本体の状態は極上なんですが、コレクターの楽器というのはあまり弾かれてないので鳴りが悪い。僕のKBたちもそうでした。また、いい音を持っているのだけれど安定しない、鳴りが小さいKBをよい状態に持っていくのが快感でもあります。毎日触るようにしていますが弾き始めは毎日、状態が前日より後退、弾いているとよくなっていくのですがその間隔がだんだん短くなってきています。昨日1時間くらい弾いたところでひとつの壁を越えて、ご機嫌ないい音を出してくれていました。
見てのとおり綺麗でこのままよくなっていったら離れられないかもしれません。


9月15日J.Hill

2004-09-15 15:28:56 | 楽器と弓の話
Hill.この名前は古い楽器を扱ったことのある人にはなじみのある名前です。世界中に楽器の鑑定家は沢山いますがつい最近まで、このHillファミリーが鑑定家の頂点にいました。元々は楽器つくりの一族で、このコントラバスの作者、Josephはその初代。弦楽器と言うとイタリアが本場ですがKBではイギリスの楽器もいいものが多く評価されています。19世紀から20世紀初頭、ロンドンはある意味世界の中心とも言える大都市で、イタリアからも優秀な楽器職人が移住し、その大都市たる所以からいい楽器が集まり、Hill一族はその楽器の修理を多く依頼され、またコピーをつくり、楽器に造詣を深めていったのでしょう。残念ながら弦楽器が投資の対象にもなり、価格がどんどん上がり、そうなると作品の真贋を鑑定する必要が出てきたわけで、
のちには鑑定書があれば(とくにHillの)音を聴かなくても楽器の売買がなされるようになりました。そういう有名な鑑定家の書いたもののあるなしで、大きく価格が左右されるのです。僕等演奏家にしてみればいい楽器でいい音がして、鑑定書なしで価格が低いのがよいのですが。
1000万を越える楽器だと鑑定書がないと次にステップアップする時に売ることが出来ないので、それで鑑定書はますますマストアイテムになってます。コントラバスは鑑定書がないことがほとんどです。コレクターもこの楽器にはあまりいなくて、また投資の対象にならなかったせいと、実際、いろんな形、大きさがありすぎて、今現在特定の楽器以外、ロンドンでも鑑定できる専門家がいないのです。鑑定書は通常、鑑定価格の20、30%かかりますから、このままないのが当たり前ならないままであってほしいものです。鑑定書はHill,また現在ではロンドン、パリの少数の鑑定家が世界的に認められていますが、今でも楽器つくりの本場、イタリアのクレモナでは、Hillの鑑定書さえもまったく相手にされないのも興味深い。イタリアの中では通用しないそうです。楽器の内部に張ってあるラベルも、本物ならその楽器の鑑定を左右するひとつの要素ですが、これまた楽器のラベルのコレクターがいて、楽器屋が修理に来たヴァイオリンのラベルをはがしてコピーを張って、本物を売り払ったり、上手く出来たコピー楽器にそれを張って、もっと完全に近い贋作を作ったり。
この5弦楽器JosephHillはおもに室内オーケストラの時に使っています。コレクターから購入しました。コレクターには元々、弾きもしないのにいい楽器を集めて、といい印象をもっていなかったのですが250年も経た楽器がこれだけ綺麗な状態で残っているのはコレクターのおかげ。何度も大きい戦争をがあり、もし音楽家が所有していて町にあったら、空襲の時にこの大きな楽器を持っては逃げられなかったでしょうし。この楽器は2回の世界大戦のときはそのファミリーの手にあり、ヨーロッパの田舎のお城の中にほかの40数本のKBとともにあったそうです。
今、現在は多分コントラバスを弾かなくなるまで使わせていただいて、また次の世代にいい状態で渡すつもりです。