晴れたら野山に出かけよう!

おいしい空気をいっぱい吸って 愛しい花や小鳥に会いに出かけよう

現代登山模様

2020-12-05 17:55:45 | 山の話

私は若いころから山が好きだった。と言っても 体力もなく山岳会に入っているわけでもなく 友人を誘って北アルプスを歩くうちにまるで自分は「山女」気取りだった。山岳図書を読み、山の世界に引き込まれていった。明治・大正・昭和初期は大学の山岳部等の活動が盛んで 私が山を歩く頃は社会人の山岳会が多くあり 冬の厳しい北アルプスを制覇することが大きなロマンだった。今のように登山道具が進化していない時代のことだ。重い帆布でできたキスリング、衣類は羊毛か木綿などの素材で濡れるとなかなか乾かない。雨具も靴も防水が完全ではなく 雨が降るとたちまち体温を低下させる。 雪山で遭難が起こり、関係者の捜索が繰り返された。そんな時代、多くの「山の歌」が生まれた。そして そんな歌を聴いて心躍らせた。 今どき「山の歌」を聞くことはなく それらの歌はずいぶん陳腐なものになったが 私の心の奥底では相変わらず血潮を騒がせる数々の歌だ。それらのすばらしい歌が今はYouTubeで聴ける。そんな歌を集めてCDを作る。 50年も前に戻った気分になる。

今は衣類も靴も雨合羽もザックもテントも 高性能で軽いものが当たり前になった。そして昔と変わったことと言えばほとんどの人がストック(杖)を使うことだ。ストックは確かに足への負担を軽くしてありがたいが 自然にはあまり優しいものではない。 そして 日本の山で遭難の話などはめったに聞かない。遭難しても携帯電話で救助を求め ヘリコプターなどで救助してもらう。 昔は夜行列車で早朝に現地について ほとんど眠っていないまま山歩きを始めた。 山小屋では相部屋にロープが張られ、濡れた衣類が明日に備えてぶら下がっていた。今では衣類を濡らすことなどまずない。 山の歌を口にする人もいない。 隔世の感がある。  

CDを聞きながら 昔の山の世界に浸って楽しんだ。