撮り鉄ブログ

https://www.zc.ztv.ne.jp/toritetsu/ 撮り鉄ギャラリー姉妹館です 

幻の名古屋急行電鉄

2015年10月30日 | 鉄是好日
県政資料室の資料にあった全体図 この他に詳細な実測平面図と断面図があった。

琵琶湖を巡る鉄道史勉強会という集まりで、滋賀県庁の県政資料室に名古屋急行の路線調査に行って来ました。 

名古屋急行というのは昭和の始め、大阪から山科、大津を経由して名古屋までを結ぶことを目論んだ、なかなか壮大な私鉄で、現在の阪急京都線の前身である新京阪電鉄の名古屋延長線という位置づけです。 もちろんこの計画は昭和大恐慌によって頓挫してしまい、幻の鉄道となってしまうのですが、その申請時の資料が滋賀県庁の県政資料室にあることが判り、今回詳細計画路線等の確認に行ったという訳です。

冒頭の図面は資料の表紙付近にあった全体図で、これによると当時の新京阪電鉄が向日町から山科を経由して大津に至る延長線を建設、京阪電鉄も宇治線の六地蔵から山科に至る延長線を建設し、この名古屋急行が大津から名古屋の金山付近の終点までを建設して、前述の新京阪、京阪と相互乗り入れをすることによって、大阪〜名古屋を直結する計画だったようです。 
また、左上の枠内には、新京阪と相互乗り入れする急行は走行距離154.3km、所要時間2時間ちょうど、京阪に乗り入れる急行は156.8km、所要時間2時間20分で、参考までに記載されている省線(今のJR)の特急つばめは走行距離190.4km、所要時間2時間47分というようなことも書かれています。 

実測平面図によると、大津以東の名古屋急行の路線は概ね国道乃至は新幹線のルートで野洲付近まで進み、その後次第に進路を東にとって八日市から現在の永源寺ダム付近、さらに石槫(いしぐれ)峠を延長8585mのトンネルで抜けて現在の三重県いなべ市三里に出、揖斐川、長良川、木曽川を三川が接近する野代の付近でそれぞれ568m、362m、869mの橋梁で渡河し、東海道本線と中央西線の分岐点である金山付近に名古屋側のターミナルを設けるという計画でした。
石槫峠を越えて滋賀県から三重県に抜ける現在の国道421号線に石槫トンネル(4158m)が出来て「酷道」という汚名を返上できたのは2011年で、昭和初期の技術で鈴鹿山系をぶち抜く8km超のトンネルが易々出来たとは思えませんし、上述の橋梁共々大恐慌がなくとも計画が順調に進んだかどうか疑問ですが、鈴鹿の山々にモーター音も高らかに新京阪のP-6(デイ100系電車)が疾走するなどという姿は想像するだけでも楽しい世界です。 

さらに同日に見た資料の中には多くの計画倒れに終わった未成線の情報が記載されていました。 こういうものを調べて昔の人の夢を知るといった楽しみがまた増えそうです。
この記事についてブログを書く
« Lenovo G570 ヒンジ修理 | トップ | 大津の京阪電車を愛する会 10... »

鉄是好日」カテゴリの最新記事