ひとり言 vol.289 「自転車運転免許」

僕が小学生の頃、学校独自の自転車の運転免許制度がありました。
学校の敷地の片隅には、自動車学校のコースを小さくしたような自転車教習コースがあり、
そこで児童たちは自転車の交通ルールや運転技術を練習したのです。

そのコースはまさにミニ自動車教習所で、
信号や横断歩道はもちろん、クランクや8の字コースなどもありました。
曲がるときに後続車に腕で出す合図や、交差点では自転車を降りて歩くなどの練習をしました。

免許は「初級」、「中級」、「上級」の三段階がありました。
明確な差は忘れましたが、
上級を取り、新聞配達などの目的がある者だけは、
町のメインストリートである国道沿いを自転車で走っていいという決まりがありました。
安全面での規制だったと思いますが、
初級や中級では裏通りしか自転車で走れず、少しつまらない思いをしたものでした。

今ではそんな制度もなくなったのか、
かつては国道だったメイン通りを、自転車に乗った小学生の軍団がスイスイと走っています。

さて、うちの息子も四歳になり、小さな自転車に跨る格好が少しずつ様になってきました。
先日妻が、息子が自転車に乗るときのためにヘルメットを買ってきました。
最近はヘルメットを被って自転車に乗る子供をよく見かけます。

僕が子供の頃は、ヘルメットを被っている子供なんていませんでした。
近頃は自転車での重大事故も多く、僕も親としてヘルメットを被っていれば少しは安心できます。
それでも小さな頭にまだ少し不釣合いなヘルメット姿は、
少々暑苦しいような気もしていますが。

思えば僕が子供の頃は、少し裏道に入ればまだまだ未舗装の道路が多かったものです。
僕たちが自転車で走り回る所といえば、田んぼ道にサリガニを獲りに行く時や、
山や川へ遊びに行くことがほとんどでした。
自転車で転んでけっこう大きく擦り剥くこともよくありましたが、
頭を打って命の危険にさらされることは少なかったように思います。

今の子供たちはが転車で遊びに行くところといえば、
かつての田んぼ道を埋め立ててできたショッピングセンターやファストフード店なのかな。
ヘルメットが必要なのも分かる気がします。