『僕は運動おんち』に感激して以降、枡野浩一の本を続けざまに読んでいる(と言いながら並行して別の本も読んでるけど)。昨日読み終えたのが『石川くん』。石川くんってのは、かの有名な石川啄木のことだ。同じ歌人である枡野浩一が、石川啄木が遺した数々の名作に愛情と共感を込めながらツッコミを入れていく、という趣向である。これが実に面白い。
そもそも石川啄木が「とんでもねー野郎」だったことは、すでに多くの人が知っている。借金は踏み倒すわ、いろんな女に手を出すわ、周りの人々に迷惑をかけまくるわで、太宰治と同じく「立派な作品を世に送り出したけど、人としてはダメ」というタイプだったわけだ(啄木ファン&太宰ファンのみなさん、怒らないでね)。しかし、駄目な人間だったからこそ優れた作品を生み出すことができたのも事実なのだろう。ある映画監督が同業者のことを「良い人間だけど作品は退屈」と語っていたけど、そういうことって往々にしてあるもんね。
この本では、啄木の短歌を枡野浩一が現代の言葉に「翻訳」している。その中の一句に、思わず「うわっ、オレのことだ」と声を出しそうになった。
<原文>
その膝に枕しつつも
我がこころ
思ひしはみな我のことなり
<枡野浩一による現代訳>
ひざまくらしてもらいつつ
俺がふと考えるのは
自分のことだ
つまり、好きな女にひざまくらしてもらっている時でも、考えるのは自分自身のこと、というわけ。いわゆる「なんだかんだ言って自分が一番かわいい」ってヤツだ。そういう気持ち、よーく分かる。分かりすぎるほど分かる。この句を読んで、いっぺんに啄木が身近な存在になっちまった。
とはいえ、この句を我がことのように思うのは、決して僕だけじゃないはずだ。女性の方々のために言っておくと、男の5割はこのタイプです。中でもブログなんぞやってる男は、8割以上が「なんだかんだ言って自分が一番かわいい」と思ってるはず。そうだろ? 認めろ!
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