☆『俺俺』(日本)119分
星野智幸の同名小説の映画化。監督は『図鑑に載ってない虫』『転々』『インスタント沼』、そしてテレビドラマ『時効警察』などの三木聡で、主演は亀梨和也。
原作は刊行当時に読みました。自分がどんどん増殖していくというシュールな話をどんな風に映像化したのか楽しみです。で、映画を観たらまた原作を読み返してみたいと思ってるんですが……なぜか本棚にありませんでした。どこに行ったんだろ。
※上映館/ミッドランド スクエア シネマ
◎『ぼっちゃん』(日本)130分
秋葉原無差別殺傷事件をモデルに、派遣労働で生きる青年の孤独と狂気を描いた人間ドラマ……らしい。監督は『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣。予告編の印象では、かなり生々しそう。
※上映館/シネマスコーレ
◎『くちづけ』(日本)123分
知的障害のある娘と父との父娘愛を描いたヒューマン・ドラマ……らしい。舞台劇の映画化だそうです。監督は堤幸彦で主演は貫地谷しほりと竹中直人。
※上映館/109シネマズ名古屋/ワーナー・マイカル・シネマズ大高
◎『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命』(アメリカ)141分
犯罪に手を染めたバイクレーサーと彼を追う警官をめぐる因果を描いたクライムドラマ……らしい。監督はデレク・シアンフランス、主演はライアン・ゴズリングという『ブルーバレンタイン』コンビ。他にブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタと、なかなか豪華な布陣です。
※上映館/伏見ミリオン座
○『体脂肪計タニタの社員食堂』(日本)100分
株式会社タニタの社員食堂にまつわる実話を大胆に脚色したハートフル・コメディー……らしい。監督は『デトロイト・メタル・シティ』『ボックス!』などの李闘士男で、優香、浜野謙太、草刈正雄などが出演。ダイエットに役立ちそうな映画ですね。
※上映館/センチュリーシネマ/ワーナー・マイカル・シネマズ大高
○『SADO テンペスト』(日本)94分
シェイクスピアの『テンペスト』に能や鬼太鼓など佐渡島の伝統文化を盛り込んだ異色ファンタジー……らしい。
※上映館/シネマスコーレ
○『愛さえあれば』(デンマーク)112分
妻の死を乗り越えることができない男と夫の浮気を知ってしまった女が惹かれ合っていくさまを描いたラブストーリー……らしい。監督はでアカデミー外国語映画賞受賞作『未来を生きる君たちへ』のスサンネ・ビアで、主演はピアース・ブロスナン。ちなみに原題を直訳すると「坊主頭のヘアドレッサー」だそうです。
※上映館/伏見ミリオン座
○『セックスの向こう側 AV男優という生き方』(日本)86分
アダルトビデオ人気を支えてきた男優たちの本音に迫ったドキュメンタリー……らしい。もちろん、加藤鷹も出ているそうです。
※上映館/名古屋シネマテーク
○『UFO 侵略』(イギリス)95分
ジャン=クロード・ヴァン・ダム出演作。今回はエイリアンと戦うみたい。ヴァン・ダムの娘さんとピアース・ブロスナンの息子さんも出てるそうです。
※上映館/ピカデリー
『奴隷市』(日本)71分
団鬼六の官能小説の映画化。監督は愛染恭子で、『探偵はBARにいる2』にも出ていた麻美ゆまが主演。
※上映館/シネマスコーレ
『私のオオカミ少年』(韓国)125分
孤独な少女と人間の言葉を持たないオオカミ少年との愛を描いたラブストーリー……らしい。
※上映館/センチュリーシネマ
『隣人 ネクストドア』(ノルウェー/デンマーク/スウェーデン)75分
魅惑的な隣人姉妹に翻弄されて追い詰められていく男の悪夢を描いたサイコ・スリラー……らしい。
※上映館/名演小劇場
『チャイルドコール 呼声』(ノルウェー/ドイツ/スウェーデン)96分
元夫のDVから幼い一人息子を守ろうとする女性を描いたサイコ・スリラー……らしい。主演は『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパス。
※上映館/名演小劇場
『ポゼッション』(アメリカ/カナダ)92分
忌まわしい木箱にまつわる実話を映画化したホラー……らしい。って何のこっちゃ全然分かりませんが、かなり怖そう。プロデュースはサム・ライミ。
※上映館/109シネマズ名古屋/イオンシネマ・ワンダー
<ベルナルド・ベルトリッチ初期傑作選>
『暗殺の森』『ラスト・タンゴ・イン・パリ』『ラスト・エンペラー』など知られるベルナルド・ベルトルッチの初期作品を上映。『ベルトルッチの分身』『殺し』『革命前夜』の3本です。
※上映館/名古屋シネマテーク
なんと、真木よう子が伏見ミリオン座に! 6月7日(金)に『さよなら渓谷』の舞台挨拶付き先行上映会があるそうです。
http://www.eigaya.com/event/2013/05/24/sayokei-0607million/
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セガールが『エクスペンダブルズ』の新作に出るかも、というニュースがありました。実現してほしいもんですね。
http://www.cinematoday.jp/page/N0053178
ここ1週間で観た映画は3本。感想をサラッと。
●探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
面白いじゃん! 1作目はあらゆる点でイマイチだったんですが、今回はちゃんとミステリーとして機能していたんじゃないでしょうか。えー、ここから数行、ネタバレです。
実はこの映画に「思わぬ真犯人」が存在するとは全然思っていませんでした。なので、それが判明した時、思わず唸っちゃったわけです。誰が犯人なのかを推理するような映画だったら、こっちも観ながら多少は考えたりするんですが。以上、ネタバレ(なのか?)終わり。
そもそも1作目があんまり好きになれなかったのは、大泉洋も松田龍平も好きな役者じゃなかった、ってことが大きいかも。今でもそれはさほど分からないんですが、今回は尾野真千子と渡部篤郎が出ているので、そのあたりの物足りなさ(なのか?)はカバーできてます。
そして何よりも素晴らしいのが、喫茶店のウエイトレス役で登場する安藤玉恵! これこそ彼女のハマリ役。最高に素晴らしいです。今年の日本映画の助演女優賞は彼女に決まった、と断言してもいいぐらい。彼女の姿を見るためにだけでも、この映画を観る価値はあります。『あまちゃん』でも好演しているし、今年は安藤玉恵がブレイクするかも。
●暗闇から手をのばせ
身体障害者専門のファッションヘルスに勤めるフーゾク嬢を描いた作品。こういう題材を扱ったことに、まず拍手! そして、ひたすら自虐的な発言をかますホーキング青山にも拍手。語弊があるかもしれませんが、「本物」が持つ説得力が思いっきり伝わってきます。
難点は、物語を進める時、必要以上に回想シーンを多用すること。たとえば……あ、ここから少しネタバレです。えっとね、ヒロインがピンチ→すでに助かって病院のベッドの上→助け出すシーン、みたいな順番で語られるわけですよ。それ、普通に時系列通りに語ればいいんじゃない?
とはいえ、志の高さが伝わってくる作品なので、機会があればぜひともご覧くださいませ。オススメです。
●ペタルダンス
傷つきやすい女性たちの姿を丁寧に描いた作品。それぞれが抱える悩みや葛藤が具体的に示されるわけではないけど、どんよりした風景の中で歩いたり語り合ったりする姿から、まっすぐに生きようとするが故の痛みが伝わってきます。
ただ、この映画、いわゆる作為的なものを排除しようとするあまり、ものすごく作為的な雰囲気になってしまっている気がします。たとえば、主要な登場人物は揃いも揃ってくすんだ色柄の地味な服を着ているわけですが「そこまで地味だと逆にわざとらしい」と思えちゃうわけです。統一感を省こうとして統一感を醸し出してしまったというか、自然っぽく描こうとして不自然になってしまったというか。
とはいえ、宮崎あおいを筆頭に存在感と演技力を兼ね備えた女優たちを揃えている(僕のイチオシは韓英恵)ので、さすがに見応えがあります。とりあえず観て損はナシ、と言い切っておきましょう。でも、疲れてる時に観たら確実に寝ちゃうかも。あ、そうだ。後藤まりこが出ていることを知らなかったので「この人、どっかで見たことあるけど誰だっけ」と、ずっと思っておりました。ははは。
読んだ本は3冊。
●学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方/サンキュータツオ
芸人のサンキュータツオが国語辞典の魅力を語った本。いろんな種類の国語辞典があって、それぞれ個性的な方針で編集されていることが、よーく分かります。とても楽しい本。
ただ、前半と後半で話題がダブりすぎていたり、あまりにも文章が軽妙すぎる(特に「!」を使いすぎ)のは少々いただけません。もうちょっと丁寧に作れば、さらに良くなったと思います。とはいえ、一読の価値は絶対あります。オススメ。
●色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹
ここ10年ぐらい村上春樹の作品から遠ざかっていたわけですが、この新作の設定を聞いた時は、これは読まなきゃ、と思いました。だって、なんと名古屋が舞台なんだもん。
正確に言うと主人公は名古屋出身ではあるものの、今は東京に住んでいます。彼は高校時代に男3人・女2人の仲良しグループを結成していたんですが、大学2年生の時に帰郷したら、誰も会ってくれません。そのうちの一人に何とか連絡を取れたので事情を問うと「もう君とは絶交」みたいなことを言われるわけですよ。で、物語はその十数年後ぐらいから始まります。まあ、そんなあらすじ、ほとんどの方はご存じでしょうね。
どちらかといえば批判的に語られることが多い作品のようですが、僕は素直に楽しめました。いかにも村上春樹、というようなキザったらしい比喩表現が多いのも愉快。うまいこと言うなぁ、と随所で感心しました。
というわけでかなり満足できたんですが、どうして村上春樹は名古屋を舞台に選んだんだろうか、という疑問は最後まで残りました。いや、必然性がないわけじゃあります。むしろ、大いにあります。「名古屋でのビジネスで大切なのは地縁」というようなセリフは出てくるし、登場人物の一人の勤め先がトヨタの販売店だし(ちなみに「名古屋城の近く」という設定ですが、実際には名古屋城の近くに該当する店舗は存在しないみたい)。
思うに、村上春樹は「もっとも日本らしい街」ということで名古屋を選んだのではないでしょうか。排他的なんだけど、懐に飛び込んできた者には親切。「縁」を大切にする。重要な問題をついつい先送りしてしまう。こうした傾向は日本人の多くに共通するものでしょうが、それが特に強いのが名古屋人、というか東海地方の人々であるような気がします。
そんでもって、この物語を通じて村上春樹は何を描きたかったのでしょうか。評論家の中には「3.11」と絡めて語りたがる方もいるようですが、それはあまり関係ないと僕は思います。しいて言えば「誰もが何かしらの大切な問題を先送りして生きているものだが、やはりそれにはきちんと対峙すべき」という主張が込められている気もしますが、まあ、そんな分かりやすいことではないでしょうね。うーん、やっぱりよく分かりません。
●殺人鬼フジコの衝動/真梨幸子
数年前に話題になった本。いやはや、評判通りのエグさでした。特に序盤、子供同士のいじめ(というより暴行)や、親が子を虐待する際の描写には、いたたまれない気になりました。これ、想像力が強すぎる人は読まない方がいいでしょうね。本の中で起こってる出来事を頭の中で映像にすると、それはそれは陰惨で痛ましいものになるもん。
描かれているのは、まさしく虐待の連鎖。終盤では思わぬ種明かしもあって、ミステリーとしても秀逸じゃないかと思いました。とはいえ、話の流れにいささか不自然なところもあります。主人公は……あ、以下はネタバレですので、この本を読了された方以外は飛ばしてください。
えっとさ、旦那は失踪したってことにできても、長女に関してはどうやって処理したの? 病死にするのは無理だろうし、死体を見たら医者も警察も異常事態であることに気付くでしょ。それとも旦那が連れ去ったってことにしたのかな? そのあたりが書かれてなかった(よね?)ので不自然に思えちゃったわけです。
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イエローモンキーのベストアルバムの曲目、ファン投票で決まるそうです。
http://columbia.jp/theyellowmonkey/vote/
僕もさっそく『サイキックNo.9』に票を投じるぜ、と思ったんですが、これ、写真も一緒に送らなきゃいけないみたい。というか、そうやって集まった写真をもとにジャケットを作るそうです。それはそれで素敵なことだけど、僕ごときの写真で記念すべきベストアルバムを汚すのも……って、そんなに大きく使われるわけないですね。
えー、例によって推敲せずにアップするので、誤字脱字とかがあったら優しく指摘してくださいませ。