引退説やら休業説やらも囁かれているらしいけど、それは日本映画界にとって大きな損失じゃないだろうか。というか、エリカを好きな僕(その割にはCDも写真集も買ったことないけど)としては、あの舞台挨拶での言動は確かにマズいと思うけど、同時に「よっぽどのことがあったんだろ」と考えちゃうのよ。本人も反省してるみたい(だよね?)なので、あんまり責めずに温かく見守ってあげようよ。甘すぎ?
※※※※※ 以下、ネタバレあり ※※※※※
そんな中、『クローズド・ノート』を観てきた。隅々まで丁寧に作られており、かなり好感が持てる作品である。内容自体は「きれいごとすぎる」という感が否めないんだが、それが嫌味になっていないのは脚本段階での細やかな性格描写と、それに体現した役者たちの力量のおかげだろう。中でも素晴らしいのは、やはり沢尻エリカ。健気で純粋で茶目っ気があり、でもどこか間の抜けた部分も持ち合わせている、という平凡な20歳の女性を見事に演じている。
それに比べると、いわば神格化されたようなキャラを演じる竹内結子は、いささか分が悪い。彼女が出てくるシーンはどれも浮世離れした印象で、ほとんど現実味を感じられなかった。もっとも、それは僕が竹内結子という女優にあんまり魅力を感じられないせいかもしれないけどね。
結末に意外性はないし、いくつか不自然に思える箇所もある。たとえば「紙飛行機の滞空時間、ちょっと長すぎるんじゃない」とか(と思うのは野暮?)。あと、人にポーズを取らせておいて顔だけ描き直すという行為は、冷静に考えるとかなり無神経な気もするぞ。でもまあ、後味は悪くない。何より、エリカ演じる主人公が晴れ晴れとした表情で新しい一歩を踏み出そうとする姿に、こちらも清々しい気分になってくる。
で、この『クローズド・ノート』を観てから改めて例の舞台挨拶に想いを馳せると、そもそも彼女が不機嫌だったのは当日のメンツが気に食わなかったんじゃないか、と思えて仕方ない。
ワイドショーなどで放送された映像を見ると、舞台に立ったのは行定勲監督と沢尻エリカ、竹内結子、黄川田将也、そして子役の山口愛(そのあとの記念撮影では、主題歌を歌っているYUIも登場)。つまり出演者はエリカを除いて3人なのだが、このうち劇中でエリカと会話を交わす場面があったのは山口愛だけである。撮影時に労苦を共にしたであろう伊勢谷友介や板谷由夏、永作博美、田中哲司、サエコなどは来ていないのだ。とりあえず準主役の伊勢谷ぐらいは来なきゃ、いや、呼ばなきゃアカンだろ。その日までに全国を回って100社以上から取材を受けていたエリカとしては、「あたしがこんなに頑張ってんのに、なんでみんな来てくれないの?」と切ない気持ちだったんじゃないだろうか。
もうひとつ思うのは、もしも舞台挨拶の場に永作博美がいれば、あそこまでエリカは暴走しなかったんじゃないか、ということである。最近の日本映画をマメに観ている方なら共感していただけるだろうが、ここ数年の永作博美の演技力と存在感は凄まじい。どんな役を演じても、観る者の目を釘付けにしてしまうのだ。ほら、特に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』と『気球クラブ、その後』ね。凡作『ドルフィンブルー』でさえ、永作博美の出演シーンは見応えがあった。そして『クローズド・ノート』でも、沢尻エリカと会話を交わす場面での永作博美の間合いは絶妙である。さすがのエリカも、演技における永作博美のスキルの高さには敬服しているじゃないだろうか。
そんな永作博美が横にいて「アンタ、あんまり調子こいてたらヤバいことになるよ」などと囁けば、エリカだって冷静になって自分の行いを省みただろう。そして、司会者の質問にもう少し丁寧に受け答えしたんじゃないだろうか。まあ、あくまでも僕の仮説だけどね。
ともあれ、『クローズド・ノート』は観ておくべき価値のある作品だと思う。行定勲も『遠くの空に消えた』では幼児的な嗜好と性癖を恥ずかしげもなく露呈しまくっていた(記憶に残るのは「ウンコ」と「女のパンツ」ばかり)けど、とりあえずこの『クローズド・ノート』で汚名返上できたんじゃない?
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