少年トッパ

勉強になる本3冊を読了。

 最近読んだ3冊の本の感想を少々。勝手に何ヶ所か引用してますが、どうぞご容赦を。まあ、あくまで個人的なメモですので。

●『自閉症 ――これまでの見解に異議あり!』村瀬学(ちくま新書)

◎自閉症児が「親に関心を示さない」と言われてきたのは、関心を示さないのではなく、動き回る人間に一定の規則性を見つけることが、上手にできにくいのである。(70pより)

◎文明の中では、私たちは例外なく「おくれる存在」なのである。障害があろうがなかろうが、そんなことには関係なく、私たちは「おくれる存在」なのである。<中略>
 そういう意味では、「おくれ」は文明の抱える巨大な「成果」であり、文明とはそういう「おくれ」に対して、本当はもっと寛大に、誠実に対応すべきなのである。(225~226pより)

◎周りから見ると重度の「おくれ」のように見えているのに、家族はそういう子らを「おくれ」として見ていないことがある。意外にも「ふつう」として見ていることが多いのである。<中略>
 つまり、そういう「くらし」の中では、「おくれ」は「関係」の中で「ふつう」として意識されることがあるのだということについてである。(227pより)

 山下清の「放浪」は放浪ではなかった、という指摘には目からウロコが落ちました。確かにそうだよねぇ。健常者の立場から見れば「放浪」だったり「意味不明な行動」だったりしても、やってる本人にとっては理に適っている場合が多いんだろうね。

 ひとつ残念なのは、「自閉症という呼称をなくしたい」と書いている(201p)にも関わらず、代替案が示されていないことかな。でも、どういう呼び方が妥当かっていうと、僕もさっぱり思い付きません。

●『「こころ」の本質とは何か ――統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』滝川一廣(ちくま新書)

◎まわりの大部分の人たちは理解でき、対処できている世界を、自分(だけ)は理解しきれず対処しきれないまま、でもそこを一緒に生きねばならないからです。<中略> おくれをもつ人々へのもっとも大きな誤解は、ものごとがわからないから苦労知らずに無心で無邪気に生きられるだろうというものです。正反対ですね。安全感をもつのにむずかしく、むしろ人知れぬ苦労の中を生きています。(99pより)

◎認識の歩みと同じく、関係を培う歩みにも個人差(個体差)があります。人とのかかわりにとても長けた人から人との交わりがいかにも不得手な人まで、社会性のとても豊かな人から社会性にははなはだ乏しい人まで大きな個人差がみられるのは、みなさんご存じのとおりでしょう。<中略>
 この連続的分布において、大多数が集まる平均水準から低い側に大きくずれているものを私たちは「自閉症(広汎性発達障害)」と名づけたのだと考えることができます。ずれてはいても、あくまでなめらかな連続線上の相対差です。ここまでが「正常発達」、ここからが「自閉症」と分ける絶対的な境目はありません。(160pより)

◎昔だったら関係の発達に少しぐらい遅れても、一徹で変わり者だが腕はひとかどの職人、人づきあいは悪いが海や畑で黙々と働く漁師とか農夫とか、生きる場所がたくさんありました。<中略>
 ところが現在では第三次産業(消費サービス)、つまり「人」を対象とするわざが社会の基幹になりました。<中略> こうした社会では、わずかな関係のおくれも失調や問題性として炙りだされるでしょう。(180~181p)

 最後のは「アスペルガー症候群が増えたわけ」という章で書かれたもの。説得力あります。

●『発達障害かもしれない 見た目は普通の、ちょっと変わった子』磯部潮(光文社新書)

◎自閉症の人は、自分の意思で外界に対して心を閉ざしているわけではありません。<中略> 心を閉ざしているなどという考えは、私たちが勝手に作り上げたものであり、彼らは彼らなりのやり方で世界とつながっているのです。(38pより)

◎ですから、彼らが他人との関係をスムーズに築けるように私たちが援助することは、非常に大切なことなのです。<中略>
 しかし、こと自閉症スペクトラムの人に関しては、「克服できる」という前提のもとに行われる「無理強い」は、逆効果しか生まないことを肝に銘じる必要があります。(177~178p)

◎最後にもう一度強調しておきたいのは、自閉症スペクトラムの人が犯罪や非行に至る率は低いということです。エキセントリックな事件が起こり、自閉症やアスペルガー症候群という名前がでてくると、あたかも多くの自閉症スペクトラムの人が犯罪を起こすような錯覚に陥りますが、決してそういうことはありません。(215~216p)

 この人の著書には『人格障害かもしれない』ってのもあるみたい。そっちも読んでみようかな。

 以上、ほとんど引用ばっかりでした。失敬!
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