気ままに風の跡 by樋口友治郎

日々は風のごとく吹き抜けてしまうから、風の跡を刻んでいきたい。気ままに綴る詩ブログ。 

裂けたこころ

2007-10-31 18:26:50 | 詩歌
真夜中に奇声を上げた
毛布に口を押し付けて
いたたまれなかった
情けなかった
やりきれなかった

真夜中に机を蹴り上げた
突発的に足が出ていた
押さえられなかった
悔しかった
ありえなかった

こころが裂けた音 を聞いた
脳でも脊髄でもなく
こころが体を声を 震わせた
こころが土石流のように
堰を切って悲鳴を上げた

こころは人を人らしくするが
人を壊すのも またこころだ

真夜中に愛を見つめた
静かに寝息を立てる愛に
抱きしめられた
しがみついた
死に物狂いになって

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さまざま

2007-10-29 17:51:49 | 詩歌
貴様、何様なんだ
お互い様よ

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ぼやけた情景

2007-10-27 12:14:53 | 詩歌
大人の背中に誇りと良識を重ね合わすはずの子供達
無垢な心は 親の形振り(なりふり)に常識を見定め、見逃さない
見張られているのは大人達 澄んだ瞳が見張っている
ぼかされた愛情は 躾と虐待を認識できずに混ぜ込んだ

かつて子供だった大人達 都合で背中を見せないで
ぼやけていないか 大丈夫か
目を凝らして 見守るための親が選ばれ生まれた愛情  

向き合えない大人達の逃亡に少年少女の見識は偏り
正直さを嘲笑い 騙された者が揶揄(やゆ)され、行き場を失う
(だま)した者は卑屈な世間に 叱られたいと泣いている    
ぼかされた友情は 虐めとじゃれ合いの識別中に拒否をした

いずれ大人となる子供達 どうか面倒臭がらないで 
ぼやけていないか 大丈夫か
捜し出して 出逢うために同じ時代に生まれた友情

知識だけの小手先の愛情など見せたくない 
どんな景色の中でも ぶれない姿を見せつけたい
意識したら薄れるような友情なら見せてやれ
貫き通す心の芯で くっきりと己を書いて見せてやれ  


「詩集 日常戦争」第3章より

#どっかのボクサーの親父さん、姿現したほうがいいぜ、やっぱ。
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晩秋と初冬のグラデーション

2007-10-26 17:46:06 | 詩歌
色づく山がとても近くに見える
もうすぐ雨が降る
晩秋の空も厚い雲で薄暗く
もうすぐ雨が降る
そして山脈は雲のベールに隠れ
雨は静かに降りだす
音もなく 
音もなく 
日の入りに霧めいて
冷え込む夜を降り続く
音もなく 
そぼそぼ降り続く
きっと 山は雪だろ
この次ベールが剥がれれば
山脈の頂きには
シュガーパウダーがまぶされ
初冬の装いで
連なっているのだろう
冬は空から降りてくる
そっと
そっと
色づく山をゆっくり駆け下り
冬が里まで降りてくる
晩秋の暗い雲のベールに
包まれる度
まるで
冬を呼び集めているかのようだ



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排水溝

2007-10-25 17:06:02 | 詩歌
追われるような生き方に
夢はいつしか排水口に流した
汚いものも 純粋な想いも
区別つけられずに処理してた

だが今も 汚物にまみれて
配管の奥に 引っ掛かったまま
流しきれずにいる

掬い出そう あの日あの時の憧れ  
その手を排水溝に突っ込んで
救い出そう 流しきれずにいる夢
叶うとか 叶わないとかでなく
流してはいけない大切なものだから 

逃れるような生き方に
夢はいつしか排水口に流した
手当たりしだい 目につくもの
邪魔臭くて 鼻をつまんだ

だが今も 悪臭の中で 
配管の奥に へばりついたまま
流れきれずにいる

掬い出そう 流してしまった自尊心
その手を排水溝に突っ込んで
救い出そう 流れきれずにいる夢
掴もうが 破れてしまおうが
流してはいけない素敵なものだから


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めりはり

2007-10-23 18:05:12 | 詩歌
吸って 肩の力を抜いて
だるだるだら~り
構えず 力まず 気負わず 
えくぼをひとつ

吐いて 肩の力を抜いて
だるだるだら~り
楽しく のびのび 気にせず 
気楽にひとつ
 
だからって肩の力を抜いても
適度に気は抜かないぜ
いいかげん肩の力を抜いても 
ふざけすぎない程度だぜ

肩の力を抜いたら
だるだるだら~り
締めるとこは締めてこ
きゅっきゅっきゅ


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地球の表面積

2007-10-22 18:13:51 | 詩歌
山とか谷とか
木とか花とか
大陸とか氷山とか
海抜をつたう 地球のわずかな凸凹
そんな わずかな凸凹を
まっ平に伸ばした大きさが地球の表面積
その大きさは きっと
地球が生まれた時から決められていて
何かが増えれば 
何かが減って
バランスは保たれ 地球は
クルクル回ってこれたのだろう

そして今 ボクらが勝手に
ビル群とか高層タワーとか
深い地下とかトンネルとか
あまりにもたくさん
地球の表面積を増やしてしまったから
地球は自ら
山を崩したり
氷山を削り取ったり
島を海に沈めたり
なんとかバランスを保とうとしている

それは ずっと、ずっと
クルクル回っていたい一心 
それ以外の何ものでもないに違いない


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なんともかんとも

2007-10-20 17:13:44 | 詩歌
なんとなく 息をして
なんとなく 腹がへって
なんとなく 飯を食う

なんとなく 恋をして
なんとなく つきあって
なんとなく セックスをする

なんとなく 電車に乗って
なんとなく 会社に行って
なんとなく 働いている

なんとなく 悩んで
なんとなく 迷って
なんとなく 進んでいる

なんとなくでも 夢をみて
なんとなくでも がんばって
なんとなくでも 生きてきた

なんとなく それでもいいな
なんとなく それがいいな
なんとなく そう思う


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孤独な星空

2007-10-19 17:02:13 | 詩歌
冷やされた空気に星が潤んだ
そんなにセツナク瞬くなよ
寒さが余計に身に沁みる

一人ぼっちなんだな 誰も彼も
こんなにも煌びやかな星空に見えていても
お前もあてない宇宙空間のはずれで
ほんとは一人ぼっちなんだろ

かじかんだ しじまに星が咳(せ)いた
そんなにサビシク囁くなよ
静寂がひときわ身に詰まる 

一人ぼっちなんだな みんな同じだ
形作られた星座の神話がロマンチシズムでも
お前の隣には宇宙空間が広がるだけで
ほんとは一人ぼっちなんだろ

ほんとはもっと傍にいたいんだろ

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2007-10-17 17:44:19 | 詩歌
すっからかんになっちまいやがった
振ってみたって からんからん
きれいさっぱり 出し尽くしちまった
カラッポの音が鳴いてやがる
カラッポの音は始まりの音
すっからかんのかん
カラッポの音は新生の音
すっからかんのかん
カラッポの音は脱皮の音
すっからかんのかん
どこかで 空っ風と吹いてやがる
くう、くう、くう って吹いてやがる 


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the door

2007-10-15 18:17:15 | 詩歌
信じ続けられる そう信じていた 
疑う事など みじんも無いままに
いつしか時は価値の意味を変え 
青臭いボクは やり場なく行き止まる  

生まれたての皮膚に爪を立て 
傷つけた痛みを何度も繰り返し
いつも面倒臭いくせに意気がって 
格好つけては その扉に立ち向かった
    
閉ざされたドアは ある日突然開かれる
押すでも 引くでもなく 
スライドだったり 突破だったり
たわいもなく 何気なく 
なぜ閉ざされていたのかも分からないくらいに
夢みた扉は開かれる

戻れるかな 戻らない時間へ 
どこをどう探しても見つからない場所で 
寂しくも 叶わぬ夢に支えられながら 
捨てきれぬ希望に望みをたくす
   
だから どんなことがあったって 
譲れないものを 高く掲げ続けよう 
更けてく夜に戸惑い 嘆き 
ヤケになりそうな手探りの日々の中でも
       
閉ざされたドアはもう二度と開かないような
押しつぶされ 引き裂かれて
絶望に耐えてたどり着く
たわいもなく 何気なく
陽は差込み包み込む 明日を向かえる為に
まばゆい光に かざした手の向こう 
夢にみた世界へ さあ行こう 
この扉が 閉じてしまう前に


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神様を脅してみたい

2007-10-13 14:11:47 | 詩歌
神様の喉元に突きつけたのは
真っ赤なチェリーパイ
どぎつい赤いソースがぽたりと落ちる

舐めてみるかい
枯れた草むらに垂れたソースを
きっと俺たちの希望の味がするぜ

さあ 御加護をもたらし給え
(かたよ)り過ぎた その御慈悲とやらを
俺たちにも配ってくれりゃいい
満遍(まんべん)なく 焼きたてのトーストに塗りつけて

神様の鼻先にぶらさげたのは
潔白なるビーナス
純白のミルクが乳房をつたわり落ちる

舐めてみるかい
(けが)れた地べたにこぼれたミルクを
きっと俺たちの涙の味がするぜ

さあ 御加護をもたらし給え
偏り過ぎた その御慈悲とやらを
誰にでも手渡してくれりゃいい
満遍なく 挽きたてのコーヒーに注ぎ込んで 

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ねじれた国

2007-10-11 18:04:18 | 詩歌
歯痒(はがゆ)いぜ 歯痒いぜ
地に落ちた日々に
俺たちは明らかに 失敗したんだ
今となっては 
もうどうにもならないがね
それすら 叫べないなんて
歯痒いぜ 歯痒いぜ

なにをどう正したからといって
どこがどう正常化するというのか

今や俺たちは失敗を認めることすら怯えて
深夜2時の無残な夢にモルヒネを打って
敏感な嗅覚を麻痺させて眠るしかできないのさ

歯痒いぜ 歯痒いぜ
明け方の人恋しさに
俺たちは悲しみも 分け合えられず
背を向けている
まどろみに伸ばした両腕
肌身に届かないなんて
歯痒いぜ 歯痒いぜ


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しとけ

2007-10-10 17:53:56 | 詩歌
やれることしか できないのだから
やれることは しておきたい
やれることまで ほったらかせば
未練があとから ついてくる

やれることすら できないのなら
やりたいことには 近づけない  

やれることさえ しとけたら
やりたいことは やって来る

やりたいことが したいなら
やれることを まずはしとけ


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星と共に

2007-10-09 12:55:01 | 詩歌
星を見ながら 這いつくばってきた
挫けそうな時はいつだって
行く末に目指す姿勢を示してくれた
誰もが知っている眩い星座ではないが 
孤高に放つ 激しい光が力となった

そんな星に憧れ 勝手に対峙してきた
ぶっきらぼうな輝きはいつだって
闘えと気弱なこの心を打ち震わした
慰めても励ましてもくれる訳ではないが
見えない不安を時に押し黙らせた 

星と共に暴れて転がり 煌(きらめ)きまくる
星と共に跳ねて弾けて 張り上げまくる

だけど信じるな 答えは自ら創り出すもの  
星は 救いの手など伸ばしはしない
星は 自分を輝かしているだけだから 
 
星と共に求めて喰らいつき 踏み破るまで  
星と共に錆びても止(や)めない 砕け散るまで
星が輝く限り歩き続ける このいばらの道を


「詩集 日常戦争」第4章より
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