ある若い女優さんの態度が悪いと、マスコミに叩かれていた。
「プロ意識を持つべきだ」と評論する人に頷いては見たものの、なんとなく
引っかかりも感じた。20歳ごろの自分はどうだったろうか?
今よりも自己中心的で、きっと思いやり、周りへの配慮も欠けていたと思う。
年相応の振る舞いを求められるのは当然だが、もう少し大人たちが
見守ってあげる余裕があってもよいのではないだろうか?
テレビをつけると、誰かが何かをするたびに「こうすべきだった。とんでもない」
延々とバッシングが続く。表面に出てきたことだけで、判断され社会から
排除されかねない今の風潮は、「普通」を強く要求されているみたいで、
見ていて怖い。
女優のケースと障害の問題は次元が異なる。そのことは十分
承知しているが、ああいうバッシングに接すると、ダウン症のまどかや
障害者たちが社会から受け入れてもらえるのだろうかと、家族は不安に
かられてしまうのだ。
まどかが生まれてから出会った、ある人に教わった大切な言葉がある。
「人には必ず良いところがある。そこを見るように心がけると、
その人全体の見方が変わる」
やってみると、確かにその人が本当に違って見えてくる。
相手の気持ちに、自然と寄り添えるようになるから不思議である。
そもそも、人のよいところを探すのはとても楽しい。
そう感じてからは、子育てのみならず、他人と接するときにも、
いつも心がけている。
手前みそだが、それ以来、人の噂や、心無い意見に振り回される
こともなくなった。相手を理解することは、自分の価値観を変える事でも
ある。そして、それは口で言うほど簡単なことではない。
その点、まどかたちはそんなに難しく考えなくても、ごく自然に、
私たちをまっすぐ見てくれている。
健常者と言われている私たちの側を、許し、付き合ってくれているのかも。
「みんな、まだまだだね・・・」と、まどかに言われている
ような気もする。