Tomatopiaの日記帳

クラシック、短歌、旅、思い出、政治

ハノンで遊ぶ - ピアノを再開した

2017-02-22 08:47:14 | 音楽

長い間やめていたピアノ練習を再び始めた。その理由は--指の運動が頭の運動にもなるというまったく非音楽的かつ実用的な理由もあるが、じつはただの気まぐれか「昔とった杵柄」が忘れられないということに過ぎないのかも知れない。


ここ3年半殆どピアノには手を触れなかったが、いま触ってみるとピアノを弾く感覚は残っている、しかし筋肉がダメになっていて「肉体的運動練習」が必要とわかった。
それでまずハノンから始めることにした。

ハノンは嫌いではない。ハノンだけを1時間やっても飽きないのが常だった。ただし、あの教本の譜面に書いてある通り面白くもなんともないフレーズをそのまましかもオクターブで弾くのでは退屈極まりない責め苦となる。



こういう課題が教本の多くを占め、またこの種の練習がこの教本の主な効果をもたらす。その他音階、分散和音も含まれているが、これらはハノンとは別にやればよく、ハノンの真骨頂は上のような練習にある。

いろいろ試みてみて退屈せず「楽しくできる」とわかったのはこんなやり方だった--


(1)左右の間の音程を変えてみる。半音階的音程にまで踏み込んでやってみる。
(2)左右の間の時間をずらしてみる。
(3)あらゆる調(キー)でやってみる--コルトーの教本ではこれを「必須」だという。
(4)音型のリズムを変えてみる--多くのピアノの先生方はこれを推奨される。
(5)レガート、ノンレガートでやってみる。
(6)テンポを変えてやってみる--手首の使い方が変わってくる。普通の曲についても遅いテンポから始めるよう多くのピアニストたちは推奨する。
(7)ダイナミック(cresc.、decresc.、アクセント)を変えてやってみる--これはピアノを弾く時の「自然」である。


これでほぼ無限のバリエーションが生まれ、一巡するのに何カ月もかかる程になる(それでも4のリズムの他多くについてはまだ試していない)。

ハノンでこれらをやってみて思いがけなくも興味深い結果となったのは1、2であった。
(1)の音程は10度(3度)、6度で響きがいいが、6度は3度の転回なので同じとみなし10度のみを採用する。


同度では退屈きわまりないこのフレーズも10度では「聴いて、面白い、工夫のしがいがある、指も拒否反応を示さない」響きになる。
いろいろな音程で試みたが、結局これしかないようだった。

(2)の時間をずらす試みでは、2拍が安定している。(1小節以上を離すと(1)と同じ効果となり無意味。)1拍、3拍ずらすことも可能だろうし、またバッハなど対位法の曲、カノンの曲でもそれがあるが、ここでの試みではうまく行かなかった。
結局これは、カノンを機械的に作ってみるということなのだが、とても面白い結果となった。
両方の手をそれぞれ別々に感じることが必要だ。「対位法的面白さ」を感じる。この練習が「対位法的感覚の訓練」に役立つのは確かだろう。

 

 

同度を2度、3度、4度・・・と順に広げてみる。面白い響きとなったのは結局2、3、4、6、7度だった。半音にも広げてみたが、この「複調効果」はこの音型では違和感が強くなかなか成功しにくい感じだった。ただ減5度はこの音型でも楽しめた。最も遠い調なのだが親しい感じがするとは不思議でもある。

 

ハノンには上のような音型とはまた一風変わった音型がある。
左右がいきなり10度の間隔で記されている。多分そうしないと最初の2つの音が左右でぶつかるからだろう。
ちなみにこのフレーズそのままがバッハの平均律1巻変イ長調の前奏曲で最後のあたりに出てくる。  https://www.youtube.com/watch?v=QaEFu6HGi2M  (57秒あたり) とても美しく私の好きな曲である。

 

 

この音型は時間間隔を1拍、2拍ずらして面白い効果となった。
1拍ずらした場合、音程間隔は同度、4度がいい響きである。

 

2拍ずらした場合は6度の音程がいい響きになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする