アオの国から~徒然日記~

TRPG&ゲーム感想・日々の感想・映画&アニメ&漫画感想・歴史(主に長宗我部関係)等、私的趣味の気の向くままに。

伝奇小説と言いますが…

2010-11-23 18:53:22 | 小説&漫画&アニメ
 昨日のショックも多少癒えて来ましたので、『蓋島伝』について先月から溜めていた文章に加筆してUPしてみる。カルチャーウォークレポートはまだ写真編集中なので、もう少し時間かかりそう…。


 『蓋島伝~長宗我部元親秘録~』というこの伝奇歴史小説を読み続けているうちに気がついたことが一つ。と、言いますのはこの小説は今まで私が読んだ長宗我部元親を主人公に据えた小説の中では群を抜いて、土佐統一にいたるまでの道筋が詳細に書かれてあります。

 詳細、と言いましても、「安芸氏攻略後はここにこういう豪族が居て、こんな感じで攻略していったよ。」みたいな感じですが、ちゃんと奈半利城主は誰それ、その攻略法はこんなんだったよと書かれてあるわけですよ。
 また、津野氏にいたっては親貞が調略を仕掛けたが、津野氏の当主は調略に乗らず、結局親貞は周りの家臣団から調略を仕掛けて調略を蹴りつづける当主を代えるという事でやっとこ三年越しに調略がなった、と書かれていたのはこの小説だけ。
 更に兼定追放にいたって、元親が京都の一条本家まで出向いて一条内基に面会、兼定追放の見返りとして中村の収益はそのまま一条本家に入れるという事で密約なる、更に内基と兼定のやり取りが詳しく書かれていたのも…いわずもがな。
 そして特筆する点としては、なんと織田信長と長宗我部元親が似て非なる人物だったとも描かれており、互いの節目節目の戦いが微妙にリンクしている所もちゃんと書かれてあるのですよ!!でも、同じ時期に「この国の宗教サイテー、神仏を敬わぬ」といって比叡山を焼き討ちする信長と、「この国の宗教サイコー、神仏は敬意を持って接するべき。だから耶蘇教はダメ」と言って土佐神社を再建する元親。でも、一条内基からすると、元親は丁寧な「織田信長」だそうです(笑)。

 …とは言え、伝奇小説部分として、怪しげな忍術を使う忍者が出てきて、更に元親の真の敵が耶蘇教だったり、元親の当面の敵(兼定&ふロイス)が美少年と濃密エロでキャッキャッウフフしていますが(笑)、その一方で元親サイドではどの歴史小説よりも丁寧に真面目に統一過程が描かれてあります。…まあ…千雄丸が河童(口は鳥のような嘴で、肌は緑色、泳ぎが得意で頭に皿があると言ったらこいつしかいないだろう…)と友達という面白いネタもありますが(爆)。
 あ、あと大切なキャラクター達で元親の親衛隊の五連雀!!この人達も、もう大好き(笑)。元々は一領具足ですが、元親を守るために其々が怪しげな忍者の里(笑)で修行を積み、普段は農夫や猟師といった格好ですが実は忍者、という人達。”五連雀”と言う隊名も一昔前の特撮・ゴレンジャーを思い起こさせて楽しいですvv


 伝奇小説が元々好きだと言う事は前にも書いていましたが、それ以外にも歴史小説としての読み応えもあるので、実は今の一番のお気に入りとなっています。
 ジャンルも違うし、同列に並べるのも微妙な気はしますが……どちらもフィクション歴史小説と大まかに括ってしまった上で正直に言うと、長宗我部元親の小説としては「夏草の賦」と同じ位好きです。

 まぁ……本山将監親茂と吉良左京進親貞の扱いを考えると、「夏草の賦」以上ですが(苦笑)。元親に関しては天然系&妙に土臭い&土佐男らしい「夏草の賦」が好きですけど。


 そう、そして、昨日の話に戻りますが、連載八回目にして親貞暗殺(涙)
 …でしたが、それ以前の渡川の戦いでなんと、千雄丸11歳にして初陣です!元服もまだなのに…という忠澄に元服と初陣一緒にやったらいいよ、という元親(笑)。んで、初陣告げられても
「叔父上に常に心がけておけ言われてましたから。」
 と動じない千雄丸!!本当は従兄なのに18歳の歳差から親茂の事を「叔父上」と呼ぶのが可愛い。んで破天荒な従弟(河童や大鷲といったモノノ怪達が友達)をちゃんと教育していた親茂(千雄丸に会って一日で自分の運命を悟ったと思われ)。

 渡川の戦いで元親本隊が陽動部隊、親貞の別動隊が上流から一条軍の横腹を突く作戦は史実そのままでしたが、親貞の別動隊が河原への到着が遅れ気味で、本腰を入れかねている元親本隊を怪しみ始め、一条軍に陽動作戦が見抜かれそうになった時、千雄丸が自分が行くと立ち上がる。その横で千雄丸は自分が守るとばかりに元親に頷く親茂。
 元親の許しが出、百騎にも満たない旧本山家臣団の騎兵を率いて河原に立つ千雄丸&親茂。千雄丸が機を見て号令を出し、親茂が千雄丸を守りつつ旧本山家臣団と共に強行とも言える渡河作戦を行った結果、陽動作戦を見抜くチャンスを逃した一条軍は千雄丸と親茂率いる一隊に襲いかかる!しかし、多勢に無勢、数で押されそうになった時に、ようやく親貞隊到着。
 作戦通りに横腹を突く戦いになり、元親本隊も渡河準備が整っていた事から後は史実の流れになりました…。

 もう、ね!!千雄丸の横で守護神と化して寡黙に戦う親茂がかっこいいんですよ!!親茂初見が「夏草の賦」で、その描写から残念な人だったのか…と思っていましたが、その後色々調べて読んでいく内に、親茂初陣の朝倉城前での戦いで、
「叔父に弓引くは天地神仏に逆らう恐れ多い事だが、それは平安だった時のこと。今こうして相争う事になったならば許されよう。覚悟なされよ!」
 と弓を放つ場面はもう、好き過ぎてっ!!しかも元親狙った矢には堂々と名前を彫り込んであり、その剛毅さに元親も感服したようで…。
 ともかく、この蓋島伝の親茂にかなりドキドキしております(笑)。

 渡川で千雄丸(信親)の横で槍を振るい刀を振り下ろす守護神はきっと戸次川でも、寡黙に守り続けたのかな…としんみりしてみたり。

 そして…予想していたとはいえ、親貞暗殺……。ふロイスの渡川の戦いにおける敗戦の意趣返しで殺されました…(涙)。
 信長に倣って四国平定を三面同時侵攻作戦を立てていた元親の計画の一角が崩れてしまって、これからどうするのか楽しみです(史実なら久武親信が…はっ!親信も暗殺かも…で、ふロイスに籠絡された親直が家中を内部から崩すのでは…)。

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