「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
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センサー・バット(Ⅱ)

2005年12月30日 | センサー・バット
 異なる動作を自分でやってみるというのは打撃動作の多様性を認識するための簡便な方法です。実際振ってみて、打撃フォームと呼ぶに値するヘッドスピードが得られれば打法として成立する可能性があるわけです。

 しかしさらに簡便で、はるかに説得力のある方法はセンサー・バットで実際に働く力を測ることです。小池氏は何人かの打者のデータを採っていますが、得られたデータに関する感想が「パリティ」の中で述べられています。
今回ここに紹介した2名の選手では,力・モーメント発揮パターンの選手間の差がかなり大きなものであった。しかしながら筆者がこれまでに分析した選手の中には,選手間で非常によく似た発揮パターンを示す場合も存在している。そこで,作用力からバッテイングを類型化することによって得た各グループとパフォーマンスとの関係を調べることにより,打撃成績を向上させるようなスウィングスタイルを見つけることがある程度可能になるかもしれない。

 
 データの収集は、当初はセンサー・バット試用のサンプルを採るためであり、(地面反力と同じように)動作解析のために必要な手段以上の意味はなかったのかもしれません。しかし実際測ってみて、非常に興味のある結果が得られたということではないでしょうか?
 手からバットに加えられる力が打者によって著しい特徴があること、従ってセンサー・バットが打撃動作解析の強力な武器になることがはっきりしたように思えます。

 2人の被験者はアマチュアとはいえ実力のある選手ですから、簡単にはどちらか一方が優れているとは言えないでしょう。スウィングスタイルが異なり、それぞれに特徴があると考えるべきです。つまり、2つの打法が存在するということです。
 メジャーの選手について測れば、データはさらにバラエティーに富んだものになり、打撃動作の研究にとって打法の分類がいかに重要であるかを認識することになる筈です。

 投球については、「リリース前後の上肢の動きは投球のスタイルに関係なくほぼ同一」(桜井、Atwater)という言い方がされますし、Feltner(1986)には「キネティック及びキネマティック・パターンはどの被験者も似たようなものだった」と述べられています。(日米で違いがあるのですが・・・)
 しかし打撃については共通性よりも差異性に注目すべきでしょう。「打法の違いを認識せずにバッティングを論じたり、指導する事はできない」とさえ言えます。