バブル崩壊の原因を作ったのは、経済無策の政治家、経済官僚とその指示に
従った実行犯としての銀行にあるのです。そして、不良債権処理の現場を全く
報道しないマスコミにこそ、本当の責任があります。あるいは、報道しないよ
うにどこからか指示されているのかもしれません。この世は分からないことだ
らけなのです。
権力者が打ち出した「総量規制」が契機となって、その後長々と続く不景気、
破産、倒産、競売を招きました。その結果、自殺、失業、犯罪が激増しました。
どこかにこの世の不幸を喜ぶ悪魔がいるのかも知れません。
銀行からは「借金を返せないならば、土地を売って返しなさい。株を売って
返しなさい。生命保険を解約して返しなさい。子供を私立高校から公立高校に
転校させなさい」と強要されました。そして、土地は暴落、株価も暴落。命の
保証さえなくなった国民は銀行の脅迫から脱出する方法を考える人になって
いたのです。
マスコミはこれを未だに、某作家が表現した「失われた10年」を使ってい
ますが、もう「失われた20年」になるのです。マスコミの無能さは、これ一
つとっても理解できます。20 年経っても失われた原因が解らないのです。
42
2009 年(平成21 年)正月、オバマ氏がアメリカ大統領に就任すると、その
直後、日本旧政権の首相も財務大臣も相次いで訪米し、オバマ大統領やガイト
ナー財務長官に面会し、「日本には不良債権問題を解決した経験があります。
おおいに参考にしてもらいたい。」と申し入れたところ、こう言われたのです。
「日本の経験は、反面教師として学ばさせていただきます。」
日本のマスコミはここまでしか報道していません。なぜ日本の不良債権処理
の経験は反面教師なのか、分析もその背景も真意も報道していません。たぶん
理解できなかったのでしょう。
彼らは全員「ペーパー人間」になってしまっているからです。教科書や参考
書を覚え、ペーパーテストで優秀な成績を修めたペーパー人間は記憶力が抜群
です。本に書かれていることはよく知っているが、書かれていないことはまる
で解りません。テストには出て来ないからです。
彼等は今現在起きていることや、これから起きることには大変苦手です。教
科書や参考書に書かれていないからです。過去には強いが未来には弱いのがペ
ーパー人間の特徴です。彼らは「過去の囚人」なのです。今現在起きているこ
としか新聞には書かれていないから、ニュースペーパーを書いている囚人(と
らわれびと)は現場を取材しても自分の目にしたことしか現場を知らないので
す。目に見えない本質を考えたり語るのは彼等の仕事ではありません。現象の
み追いかけるのが役割であり仕事なのです。
43
困ったことに、この国の高学歴者のほとんどがペーパー人間になってしまい
ました。高級官僚は元より、学者、評論家、ジャーナリストの「3バカトリオ」
もペーパー野郎たちに独占されてしまったのです。ここにこそ、現代日本の悲
劇の原点があるのです。高学歴を得ることが将来を保証してくれるものと親か
ら洗脳されていたからです。今日の悲劇はここから始まりました。
バブル経済がスタートする前は、日本の中小零細企業の総数は、700 万社と
いわれていました。しかし、失われた20 年間で半減し、いまや350 万社にま
で減っているのです。全国各地の商店街はシャッター通りとなり、破産、倒産、
閉店、廃業で、失業者と生活保護世帯の激増を招いているのです。この大不況
の真の原因はどこにあったのでしょう。
犯罪と自殺者も激増し、生活不安と年金不安が蔓延し、老いも若きも夢と希
望をなくしてしまいました。収入も元気も減り続け、失業率と生活保護だけが
増え続けているのです。こんなヒドイ世の中にしたのは社会の指導者がペーパ
ー野郎に占拠されてしまったからです。
この原因は「不良債権処理の失敗」にあることを、日本の政府は気付いてい
ません。大変困ることに、学者、評論家、ジャーナリストの「3馬鹿トリオ」
も気付いていていません。何故なら、彼らは不良債権処理の現場を知らないか
らです。現場の実態を知らない者達がリーダー顔しているのです。
彼らにとって景気を回復するに当たって大切なことは、金融システムの保全
44
だと信じています。それは銀行を守ることだと信じ切っています。大蔵官僚の
天下り先を確保しておくことになり、天下り官僚の老後の保善になり銀行さえ
守りきればわが身を守りきれるのです。
3 馬鹿トリオは「下取り官僚」と表現すべきところ、相変わらず「天下り」
と言うから官僚は「自分たちは天上人なのだ」と勘違いしてしまうのです。錯
覚人生を正そうとも思っていません。
官僚にとって我が身の保善こそ最大の関心事であって、お客様の保善ではあ
りません。ここでいうお客様とは、銀行の利用客であり融資先です。官僚にと
って本当のお客様とは下取りの先でなく、自分に給料を与えてくれる国民なの
だとは気付いていません。
いい仕事をしてお客様に喜ばれ、お代を頂くのが自由主義市場経済の原理原
則であり、経営の基本であると何度も書いてきました。
生産の現場、販売の現場に立った経験のない彼らは、お客様に喜ばれるとい
う発想も実感もありません。皆、ペーパー人間になってしまっているのです。
なにせ、ペーパーテストは得意技であるし、ペーパーを作って上司に提出する
仕事ばかりやっていたのです。経営実務の執行は自分の仕事ではないからです。
自由の国アメリカは、市場経済の原点を踏み外すことはありません。国民を
苦しめ、中小零細企業を潰し、生活苦に喘ぐ人々を自殺に追い込む日本の不良
債権処理の手法を「反面教師」として捉えているアメリカ政府、大統領および
45
財務長官は、日本の実体を正確に把握しているのです。特にガイトナー財務長
官は駐日大使館に勤務していました。ですから、日本の不良債権処理という名
の銀行の都合優先のデフレ推進政策をよく知っています。
日本のことをよく知らないのは、生産と販売の現場を知らない官僚と「3馬
鹿トリオ」です。皆、経営経験のないペーパー野郎になってしまっているから
です。経済を知ったふりして語っても、経営は語れません。会社経営したこと
がないからです。高学歴の高級官僚は商売や農業を生業(なりわい)としてい
る低級人社会を理解できないのです。たぶん自分達は「エライ」人だと思って
いるのでしょう。おかげで庶民は「エライ目」に合っています。
この頃の業界で大騒動になったのは、「商事留置権」です。例の学者、評論
家、マスコミの3バカ大将たちは、現場を全く知りませんから、これについて
の評論も報道もありません。バブル崩壊の出発点となったこの騒動に触れてお
く必要があります。
今現在、アメリカやヨーロッパで、サブプライムローンやリーマンショック
の後の出口対策として、デフレスパイラルを招いた日本の体験を「反面教師」
としています。オバマ政権には日本の轍を踏まないようにしてほしいとの私の
意図から、商事留置権を少し回顧してみます。
商事留置権とは、銀行、デベロッパー(分譲会社)、建築会社の3 社による
46
トラブルのことを言います。銀行が、売って返せ売って返せの貸金回収業務に
力を注いだ結果が、土地相場の大暴落となり、担保物件の担保割れ状況を招き
ました。銀行は自分が蒔いた種で自分が困ってしまったことは既に述べました。
例えば、デベロッパーが銀行から100 億円の融資を受けて、分譲用の土地を
取得したとします。その際、銀行はその土地に100 億円の抵当権を設定します。
融資した日に即、その物件に抵当権を設定するのが銀行のルールです。
デベロッパーはその土地に、建てビルなりマンション分譲なりの事業計画を
立てます。設計会社に設計を依頼し、建設会社に建築を発注します。そして建
設工事が始まります。
しかし完成前に、バブルが崩壊して、地下相場の急激な下落にあわてた銀行
は融資先に担保不動産を売却して返済するよう強要します。銀行は常に自分の
都合が最優先なのです。しかし、売って返せ売って返せの運動のせいで一番困
ったのは銀行自身です。顧客の都合など2 の次なのです。
これこそが銀行の「合成の誤謬」です。銀行は自分の利益の為に最大限の努
力をした結果が自分を最悪の状況に追い込んでしまったのです。担保価値が急
落し、建設のための追加融資ができなくなってしまったのです。デベロッパー
も建設業者も大変困りました。追加融資が受けられないとなると、建設工事は
ストップとなります。
工事が中断となると、デベロッパーも分譲できません。建設業者も請け負い
代金をもらえないとなると、デベロッパーに物件の引き渡しができません。銀
行は常に自分の利益最優先、自分のリスク回避最優先だからです。他人の都合
は後回しなのです。銀行から追加融資を受けられないデベロッパーは施主であ
る分譲会社にドアの鍵も引き渡せません。3 者3 様にニッチもサッチもいかな
い困った状況になってしまったのです。自分の都合最優先でまさしく自己矛盾
そのものです。
貸金回収に入った銀行は、貸金が回収できません。分譲できない多くのデベ
ロッパーは、倒産状況です。建築代金が貰えない多くのゼネコンもバタバタ倒
産していきました。融資先の倒産で不良債権が急増した銀行の破たんも相次ぎ
ました。
そして数え切れない程の銀行がこの世から消えてゆきました。バブルの毒が、
毒を造った銀行自身に回って来たのです。「カネは毒」カネの毒を精力的に振
りまいた銀行がその毒に当たってしまったのです。
従った実行犯としての銀行にあるのです。そして、不良債権処理の現場を全く
報道しないマスコミにこそ、本当の責任があります。あるいは、報道しないよ
うにどこからか指示されているのかもしれません。この世は分からないことだ
らけなのです。
権力者が打ち出した「総量規制」が契機となって、その後長々と続く不景気、
破産、倒産、競売を招きました。その結果、自殺、失業、犯罪が激増しました。
どこかにこの世の不幸を喜ぶ悪魔がいるのかも知れません。
銀行からは「借金を返せないならば、土地を売って返しなさい。株を売って
返しなさい。生命保険を解約して返しなさい。子供を私立高校から公立高校に
転校させなさい」と強要されました。そして、土地は暴落、株価も暴落。命の
保証さえなくなった国民は銀行の脅迫から脱出する方法を考える人になって
いたのです。
マスコミはこれを未だに、某作家が表現した「失われた10年」を使ってい
ますが、もう「失われた20年」になるのです。マスコミの無能さは、これ一
つとっても理解できます。20 年経っても失われた原因が解らないのです。
42
2009 年(平成21 年)正月、オバマ氏がアメリカ大統領に就任すると、その
直後、日本旧政権の首相も財務大臣も相次いで訪米し、オバマ大統領やガイト
ナー財務長官に面会し、「日本には不良債権問題を解決した経験があります。
おおいに参考にしてもらいたい。」と申し入れたところ、こう言われたのです。
「日本の経験は、反面教師として学ばさせていただきます。」
日本のマスコミはここまでしか報道していません。なぜ日本の不良債権処理
の経験は反面教師なのか、分析もその背景も真意も報道していません。たぶん
理解できなかったのでしょう。
彼らは全員「ペーパー人間」になってしまっているからです。教科書や参考
書を覚え、ペーパーテストで優秀な成績を修めたペーパー人間は記憶力が抜群
です。本に書かれていることはよく知っているが、書かれていないことはまる
で解りません。テストには出て来ないからです。
彼等は今現在起きていることや、これから起きることには大変苦手です。教
科書や参考書に書かれていないからです。過去には強いが未来には弱いのがペ
ーパー人間の特徴です。彼らは「過去の囚人」なのです。今現在起きているこ
としか新聞には書かれていないから、ニュースペーパーを書いている囚人(と
らわれびと)は現場を取材しても自分の目にしたことしか現場を知らないので
す。目に見えない本質を考えたり語るのは彼等の仕事ではありません。現象の
み追いかけるのが役割であり仕事なのです。
43
困ったことに、この国の高学歴者のほとんどがペーパー人間になってしまい
ました。高級官僚は元より、学者、評論家、ジャーナリストの「3バカトリオ」
もペーパー野郎たちに独占されてしまったのです。ここにこそ、現代日本の悲
劇の原点があるのです。高学歴を得ることが将来を保証してくれるものと親か
ら洗脳されていたからです。今日の悲劇はここから始まりました。
バブル経済がスタートする前は、日本の中小零細企業の総数は、700 万社と
いわれていました。しかし、失われた20 年間で半減し、いまや350 万社にま
で減っているのです。全国各地の商店街はシャッター通りとなり、破産、倒産、
閉店、廃業で、失業者と生活保護世帯の激増を招いているのです。この大不況
の真の原因はどこにあったのでしょう。
犯罪と自殺者も激増し、生活不安と年金不安が蔓延し、老いも若きも夢と希
望をなくしてしまいました。収入も元気も減り続け、失業率と生活保護だけが
増え続けているのです。こんなヒドイ世の中にしたのは社会の指導者がペーパ
ー野郎に占拠されてしまったからです。
この原因は「不良債権処理の失敗」にあることを、日本の政府は気付いてい
ません。大変困ることに、学者、評論家、ジャーナリストの「3馬鹿トリオ」
も気付いていていません。何故なら、彼らは不良債権処理の現場を知らないか
らです。現場の実態を知らない者達がリーダー顔しているのです。
彼らにとって景気を回復するに当たって大切なことは、金融システムの保全
44
だと信じています。それは銀行を守ることだと信じ切っています。大蔵官僚の
天下り先を確保しておくことになり、天下り官僚の老後の保善になり銀行さえ
守りきればわが身を守りきれるのです。
3 馬鹿トリオは「下取り官僚」と表現すべきところ、相変わらず「天下り」
と言うから官僚は「自分たちは天上人なのだ」と勘違いしてしまうのです。錯
覚人生を正そうとも思っていません。
官僚にとって我が身の保善こそ最大の関心事であって、お客様の保善ではあ
りません。ここでいうお客様とは、銀行の利用客であり融資先です。官僚にと
って本当のお客様とは下取りの先でなく、自分に給料を与えてくれる国民なの
だとは気付いていません。
いい仕事をしてお客様に喜ばれ、お代を頂くのが自由主義市場経済の原理原
則であり、経営の基本であると何度も書いてきました。
生産の現場、販売の現場に立った経験のない彼らは、お客様に喜ばれるとい
う発想も実感もありません。皆、ペーパー人間になってしまっているのです。
なにせ、ペーパーテストは得意技であるし、ペーパーを作って上司に提出する
仕事ばかりやっていたのです。経営実務の執行は自分の仕事ではないからです。
自由の国アメリカは、市場経済の原点を踏み外すことはありません。国民を
苦しめ、中小零細企業を潰し、生活苦に喘ぐ人々を自殺に追い込む日本の不良
債権処理の手法を「反面教師」として捉えているアメリカ政府、大統領および
45
財務長官は、日本の実体を正確に把握しているのです。特にガイトナー財務長
官は駐日大使館に勤務していました。ですから、日本の不良債権処理という名
の銀行の都合優先のデフレ推進政策をよく知っています。
日本のことをよく知らないのは、生産と販売の現場を知らない官僚と「3馬
鹿トリオ」です。皆、経営経験のないペーパー野郎になってしまっているから
です。経済を知ったふりして語っても、経営は語れません。会社経営したこと
がないからです。高学歴の高級官僚は商売や農業を生業(なりわい)としてい
る低級人社会を理解できないのです。たぶん自分達は「エライ」人だと思って
いるのでしょう。おかげで庶民は「エライ目」に合っています。
この頃の業界で大騒動になったのは、「商事留置権」です。例の学者、評論
家、マスコミの3バカ大将たちは、現場を全く知りませんから、これについて
の評論も報道もありません。バブル崩壊の出発点となったこの騒動に触れてお
く必要があります。
今現在、アメリカやヨーロッパで、サブプライムローンやリーマンショック
の後の出口対策として、デフレスパイラルを招いた日本の体験を「反面教師」
としています。オバマ政権には日本の轍を踏まないようにしてほしいとの私の
意図から、商事留置権を少し回顧してみます。
商事留置権とは、銀行、デベロッパー(分譲会社)、建築会社の3 社による
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トラブルのことを言います。銀行が、売って返せ売って返せの貸金回収業務に
力を注いだ結果が、土地相場の大暴落となり、担保物件の担保割れ状況を招き
ました。銀行は自分が蒔いた種で自分が困ってしまったことは既に述べました。
例えば、デベロッパーが銀行から100 億円の融資を受けて、分譲用の土地を
取得したとします。その際、銀行はその土地に100 億円の抵当権を設定します。
融資した日に即、その物件に抵当権を設定するのが銀行のルールです。
デベロッパーはその土地に、建てビルなりマンション分譲なりの事業計画を
立てます。設計会社に設計を依頼し、建設会社に建築を発注します。そして建
設工事が始まります。
しかし完成前に、バブルが崩壊して、地下相場の急激な下落にあわてた銀行
は融資先に担保不動産を売却して返済するよう強要します。銀行は常に自分の
都合が最優先なのです。しかし、売って返せ売って返せの運動のせいで一番困
ったのは銀行自身です。顧客の都合など2 の次なのです。
これこそが銀行の「合成の誤謬」です。銀行は自分の利益の為に最大限の努
力をした結果が自分を最悪の状況に追い込んでしまったのです。担保価値が急
落し、建設のための追加融資ができなくなってしまったのです。デベロッパー
も建設業者も大変困りました。追加融資が受けられないとなると、建設工事は
ストップとなります。
工事が中断となると、デベロッパーも分譲できません。建設業者も請け負い
代金をもらえないとなると、デベロッパーに物件の引き渡しができません。銀
行は常に自分の利益最優先、自分のリスク回避最優先だからです。他人の都合
は後回しなのです。銀行から追加融資を受けられないデベロッパーは施主であ
る分譲会社にドアの鍵も引き渡せません。3 者3 様にニッチもサッチもいかな
い困った状況になってしまったのです。自分の都合最優先でまさしく自己矛盾
そのものです。
貸金回収に入った銀行は、貸金が回収できません。分譲できない多くのデベ
ロッパーは、倒産状況です。建築代金が貰えない多くのゼネコンもバタバタ倒
産していきました。融資先の倒産で不良債権が急増した銀行の破たんも相次ぎ
ました。
そして数え切れない程の銀行がこの世から消えてゆきました。バブルの毒が、
毒を造った銀行自身に回って来たのです。「カネは毒」カネの毒を精力的に振
りまいた銀行がその毒に当たってしまったのです。