野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

地形図の話 ~準備~

2015年12月10日 | 地形図の話
1.はじめに

ボクは普段山を歩くとき、25000分の1地形図を使っています。山歩き用の地図としては他にも「山と高原地図」(昭文社 通称エアリアマップ)などのガイド地図がありますが、ボクは山では殆ど使いません。自宅で計画を立てるときに使うのが主で、山で使うときがあるとすれば広域の地図が見たいときだけ広げています。当然ながら、当ブログの記事も地形図を使っていることを前提に書いていて、読者の皆様も地形図の知識があるものとして書いています。

しかし山を歩いていると大半の登山者はエアリアを見ているか、そもそもまともな地図を持っていないかのどちらかです。おそらく彼らは地形図を読むことはできないでしょう。こう書くと馬鹿にしたように感じられるかもしれませんが、山にいる間は常に地形図を見て、地形を読み解くくらいでないと地形図は使いこなせません。場末の当ブログに来られる方は大半がバリエーションルートを歩くベテラン登山者かもしれませんが、他方で地形図の使い方が今一つわからないという方がいるのもまた事実。そこで新たに「地形図の話」というカテゴリーを設けることにしました。ボクも地形図を使いこなせているわけではありませんが、常用することで苦手意識は無くなっています。地形図に親しみ、気軽に使えるようになってもらいたい。そんな思いから地形図についての話題を書いていこうと思っています。

2.準備

まず、地形図の使い方ですが、ここではレクチャーはしません。地形図は実際に使ってみないと上達しないからです。ただそのためには前提の知識が必要なのですが、ボクは次の本をお薦めします。

「2万5000分の1 地図の読み方」 平塚晶人著 小学館発行(http://www.shogakukan.co.jp/books/09366111

この本は「山旅メーリングリスト」のわっきーさんが薦めているもので、ボクも「山旅メーリングリスト」を見て買った口です。この本の良い所は地形を読むために必要な知識しか書いていないことです。地図記号がどうとか細かいことは書いてません。その分、この本に書いてあることを実践すれば、ある程度地形図を使いこなせるようになります。ボクの言葉だとあまり信用ならないかもしれませんが、一応奥武蔵のバリエーションや東北の藪道を歩いて事故を起こしていないという程度の能力はあるものと思います。

次に地形図とコンパスですが、地形図は大きい書店に行くか、山用品店で手に入ります。出来れば実物を見たほうが良いと思うので、あまり通信販売はおすすめしません。もちろん手に入る環境がなければ仕方がないのですが。コンパスは本にも書いてありますが、スケール付のものを購入してください。それ以外のものを購入しても意味がありません。こちらは山用品店で入手できます。

地形図の折り方だとかは本を読んで実践してみるしかありません。ただボクは本の通りには使っていないんですよね。本にはコピーを取って現地ではコピーを使え、と書いてあるのですが、面倒なので地形図がすっぽり入るサイズの大きなビニール袋に入れて密閉しています。まあ繰り返し使うものなので、やっぱりコピーを取ったほうが良いんだろうとは思いますけれどね。あと地形図には磁北線を書き入れる必要があります。地形図は上が真北に当たりますが、コンパスの磁針は(日本だと)西(地図だと左)に傾いています。これを補正するために磁北線を書き入れる必要があるのです。市販の地形図には「西偏○°○′」などと書かれているので、これをタンジェントを使って計算します。計算はこちらのサイト(http://keisan.casio.jp/exec/system/1260261251)を使うと良いんじゃないでしょうか。出た数値は縦(つまり北)を1としたときの、左(つまり西)の数値なので、それぞれ10倍にして考えるとわかりやすいかと思います。


(秩父からの抜粋で、赤い線はボクが引いた磁北線です 西偏は7°0′なので、縦10cm横約1.2cmの所に点を打って斜めに線を引けば良いわけです)


(こちらがスケール付コンパス シルバコンパスとかオリエンテーリングコンパスとか言われてます 使い方は別の機会で)

3.心構え

以前高尾山へ行ったとき、よく読図の講習会をやっているのを見かけました。で、外部の登山者の中には必ず口の悪い人がいて、「こんなわかりやすい尾根で読図の講習会なんかやっても意味ないよ」などと言っているのを聞くことがよくありました。ボクも当時は似たようなことを思ったのですが、地形図を使い始めて7年も経つとむしろ高尾山のようなわかりやすい所から始めるべきだと思うようになりました。

地形図を使う理由は人それぞれだとは思いますが、大半はエアリアのようなガイド地図が無い所を歩きたいから使ってみた、という人が多いんじゃないでしょうか。きっかけはそれでも構わないのですが、読図の練習を始めるのであれば、普段歩き慣れた所から始めてほしい。地形図をある程度使いこなせるようになると歩き慣れた道でも景色が違って見えてきます。目の前の尾根、鞍部、沢。あるいは遠くの送電鉄塔や建物。植生の違い。目に入る情報の全てが地形図とリンクしていて、意味のあるものだということがわかってきます。また地形図を見るときも登山道を示す線を追うのではなく、沢と尾根という地形の違いから道となりそうな所を想像することができます。ただしそうやって見当が付けられるようになるには何度も地形図を見ながら歩いてみなければなりません。地形図を一目見ただけで現地の地形を区別できるのは空間認識能力に関して天賦の才がある人だけです。ボクらのような凡人は何度も経験し、また常に鍛え続けなければ地形図を読む能力は備わりません。だからこそ、普段歩き慣れた山を歩くときから、地形図を見て、考えて歩いてほしいのです。

4.今後の方針

今後は実際に山を歩いていて、気になる地形があれば、それを題材に地図読みをやってみる予定です。まあそんなに難しいことをやるつもりはありませんし、またできもしません。ただ「奥武蔵へようこそ」ではさらっとしか触れられない所もあるので、一つの地形を重点的に扱ってみたいなぁと思っています。

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2 コメント

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Unknown (奥武蔵の山人)
2015-12-12 21:41:03
tokoroさん 今晩は
こう云うのを私は待っていました。
地形図は持っているのですが使いこなしていない。
コンパスの使い方は北を見る・・・この程度なんですよ(笑)

山の中で育ったために子どもの頃から遊びの一環で
それこそ山勘で山に入っていましたその延長線で今があります。
しかし、それも奥武蔵近辺だからできることで
基礎が無いために他の地域ではあまり山勘は
あてになりません(笑)

続きを楽しみにしています。


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コメントありがとうございます (tokoro)
2015-12-12 21:49:40
山人さん いつもお世話になっております。

>続きを楽しみにしています。
ご期待に応えられるものができるかわかりませんが、実地でのコンパスの使い方とか、平塚さんの本にも書かれている地形図のクセ(というか特徴)がわかるような地形の紹介などしていきたいと思っています。

一応今年はあと一回山歩きをする予定があるので、その際に更新もできるかもしれません。
返信する

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