野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

地形図の話 ~外出できないなら机上登山はいかが?~

2020年04月21日 | 地形図の話
緊急事態宣言が出されて以降、思うように外出できない日々が続いております。私の場合も山歩きはもちろん、「武蔵野の記憶」のような散歩企画も控えている状況です。とはいえ、母親が病気になって以来、ここ数年山歩きを除いては不要不急の外出をしてこなかったこともあり、実のところあまり生活は変わっていません。通常よりちょっと控えている程度の感覚といえばよいでしょうか。

さて普段仕事や看病であまり外出できない私が読書や音楽鑑賞以外に趣味としているのが地図を眺めることです。タイトルにもあるように机上登山という言い方もありますが、私の場合もうすこし広く、登山道以外の車道や集落とのつながりなどもよく見ています。机上登山は平たく言えば地図を見て山歩きを妄想することです。当然使う地図によって想像できることも変わってきます。「山と高原地図」のようないわゆるガイド地図ならば、コース時間や宿泊・休憩施設、展望地・お花畑などの見所といった登山計画を立てるのに便利な情報が載っています。自分だったらどう歩こうかというような山旅を想像するのに一役買ってくれます。一方私がよく使っている地形図は登山計画を立てる上ではアバウトにしか使えません。距離と標高差から精緻に時間を割り出す人もいますが、傾斜の角度によって山の難易度は大きく変わる(傾斜があまりに急だと下りのほうが時間がかかることがよくある)ので、あまり当てになりません。ガイド地図のコースタイムは読書感想文だと揶揄されることもありますが、むしろ実測している分、意外と信頼度は高いと思っています。

地形図を机上登山に使う利点は風景を想像できることです。等高線から土地の起伏を想像できるのはもちろんですが、建物や送電線などの人工物、植生や土地の利用状況を想像しやすいものになっています。ただし地形図から想像するにはある程度知識が必要です。でも一度勉強してしまえばあとは地形図を見ていくことで自然と理解は深まってきます。本当は実際に歩いてみて、想像と現実とのギャップを感じ、そのギャップを埋めていく作業が重要なのですが、今は机上登山で我慢するほかありません。

地図を読むという作業は現地で道がわからなくなってから行うということが多いかもしれません。しかし机上登山はむしろ山歩きの計画を立てる段階で行うことに意味があります。これから歩く予定の山がどんな形をしており、どんなルートで登ることができるのか、困ったときはどのルートがエスケープに最適なのか、事前に考えることが遭難対策へとつながります。地図を使うのが苦手という人は結構います。私は地図を使いこなせない主な原因は事前に読み込んでいないからだと考えています。地図を使えるようになりたいと思うのなら、登山計画を立てる度に地図を読み込むようにしましょう。今は山歩きが難しいときですが、地図読みをして机上登山をこなすことは山歩きをする力を蓄えることにつながります。闇雲に外出自粛をするのではなく、余った時間を有効に使いたいものです。

最後におまけ。沼津高専の先生が作成したHPの中に「ウェブ地図コンテンツ集」というものがあり、その中に「ウェブで過去の地形図や空中写真を見る」という項目があります。「画廊天地人」さんの記事で知ってから古道探索などに活用しています。昔と今を見比べるだけでも十分楽しめますよ。
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